かつて小学校という国民国家の遺骸の指導のうち、軍事教練を模した「体を育てる」と称したクラス(P.E.:体育)において、「前へならえ」という整列をやらされた方は多いと思います。
手をまっすぐ前に出して、ソーシャルディスタンスを維持して並ぶ姿勢です。
これに対して、もう少しソーシャルディスタンスは狭くして、全体の範囲を狭めるのが「小さく前へならえ」です。
肘を体側につけて、前腕を進行方向前に伸ばします。
体育と言えば、面白い風習がたくさん残っており「休め」の姿勢は全く身体は休まりません。「きょーつけ」が力みすぎなので、その対概念としての脱力のつもりかもしれませんが、そもそも脱力は前提です。きょーつけのときに力を抜いて骨で立ちたいものです。
また「体育座り」という脊椎を屈曲させ、背中を伸張性収縮させ続けるひどいポーズもあります。猫背量産計劃なのではないかと邪推させるほどです。
それはさておき「小さく前へならえ」です。
肘を体側につけて、手を前に出します。
この姿勢で前腕は自由にして良いけど、上腕はこの先ずっと体側につけたままにしておいてくださいと言われたらどうでしょう?
これが僕らの身体です。
手は自由に動きます。前腕も比較的に自由に動きます。ただ上腕は体幹と一体化しており、動かないどころから体幹の一部として認識されており、上腕を動かすための筋肉群はどんどん廃用性萎縮していきます。でも一見すると上腕の筋肉群は鍛えられています。それもそのはず上腕の筋肉群は肘関節のためにあるからです(前腕は手のため)。手のひらの筋肉群は指のため、指の筋肉群(無いけど)は情報空間のため。
ですので、まさか上腕が動いていないなどと思いもせずに人生が終わります。
三角筋や大胸筋や僧帽筋の機能がよくわからないまま終わるのです。
ここの救世主が登場します。仮に名前をトムとしましょう。
そのトムが上腕と体幹を切り離してくれようとします。
トムは上腕と体幹の間に指を柔らかく入れます。無理に突っ込むとますます閉まるだけですので、柔らかな手で軽く触れて、そして待っていると心霊治療のように指が硬く閉じられた脇の間に沈み込んでいきます。
そして、櫛で一本一本髪の毛を梳かすようにして、Fasciaに働きかけることで、上腕と体幹が切り離されていくのです。
そしてついに最後には上腕が体幹から切り離されて、本来の姿に戻ります。
「小さく前へならえ」しかできなかった人が、普通の(大きな)「前へならえ」ができるようになるのです。
素晴らしい!
この「小さく前へならえ」しかできない身体から、Fasciaの通り道を開けてあげて、「(大きく)前へならえ」ができる身体になることをBody Design(ボディデザイン)と我々は呼んでいます。
Fasciaの通り道を開けるのです。
そのことで上腕と体幹を正常に切り離すのです。
脇を広げるとは通り道を開けることです。
その作業は高村光太郎の「道程」そのものです。
僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる、です。
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため
(高村光太郎「道程」1914年)
このブログでも言及されていますが、ミエリン鞘の感覚は必要です。脳のブロードバンド化です。Fasciaの通り道を開けることを単に物理的な問題と矮小化して理解してはいけません。脳の回路も同時に書き換えるのです(Untrainします)。
鬱蒼と生い茂ったジャングルを繰り返し歩くことで、道を作るようなイメージです。
まっさらな状態というのは、何もないのではなく、たくさん雑草が生えていて歩けない状態です(by黄帝心仙人)。
一度歩いたくらいでは、雑草がちょっと踏み潰されるくらいで、翌日には何も(道は)残りません。でも繰り返し繰り返し同じ道を歩けば、ちょっとしたけもの道くらいにはなってきます。そのうち道が大きくなり、歩きやすくなり、意図的に舗装すれば、走ることすら可能になります。
これがBody Designの精神です。
「小さく前へならえ」から「(大きく)前へならえ」するために、上腕と体幹を切り離すというイメージを持つと、我々はその上の段階で「小さく前へならえ」しているのが分かります。
たしかに、僕らは普通に「前へならえ」する程度に肩から下は自由です。
上腕も比較的自由に動かせます。
でもその上の階層は?
肩から先が腕だと勘違いするような社会的洗脳がありますが、実際は体幹に張り付いている上腕のような存在がリアルに存在します。
それが上肢帯(鎖骨と肩甲骨)。
*これは肩甲骨のみ赤くなっています。
鎖骨と肩甲骨で構成されている上肢帯は上肢の1つです。
上肢は4つのパートに分けられます。
上から上肢帯(鎖骨と肩甲骨)、上腕、前腕、手指です。
上肢帯は文字通り体幹に張り付いています。
だからこそ、上肢帯を体幹から剥がさないといけないのです。本当の「(もっと大きく)前へ倣え」(立甲?)をするためにも( ー`дー´)キリッ
というわけで、Body Designシリーズ、ますますお楽しみに!!
Body Designに卓越すればするほど、気功は当然のように上達します!
*3月5日のRay Body Designセミナー(腸腰筋編)もお楽しみに!
〜3月の日程(CAP制度継続!)〜仮のサブタイトルをつけました。
①3月12日(日)17時〜『Mind Design 〜Bodyって不思議な言葉だね、深く考えればMindだと分かる〜』
②3月23日(木)19時〜『ゴムゴムDesign 〜皮膚って不思議なFasciaだよね、筋膜の仲間外れだけど一番大事(な筋膜)なのにね〜』
③3月25日(土)13時〜『Joint Design 〜関節って不思議な概念だよね。深く考えれば(関節など)どこにもないんだから、自由に定義しようよ〜』
④3月25日(土)17時〜『神経Design 〜そろそろ神経のFasciaリリースにも手を付けたいね〜』
⑤3月26日(日)13時〜『Body Reading Design〜身体を読解する目の習得〜』
⑥3月28日(火)19時〜『ラピュタの飛行石Design 〜頭で分かっていても、腑に落として身体で(ラピュタを)実装できなければ画餅だよ〜』
そしてBody Design BootCamp1期生募集開始です!(旧アナトレBootCamp)
〜Anatomy2.0を用いて圧倒的な身体を目指す!〜
【Body Design BootCamp1期:開催日程】*2回目のみ変則的に日曜日です。他は土曜日開催!
2月25日(土)19時〜(第1回)
3月12日(日)13時〜(第2回)
4月15日(土)19時〜(第3回)
5月13日(土)19時〜(第4回)
6月10日(土)19時〜(第5回)
〈Body Design BootCampは全3コースです〉
・Body Design BootCampプラチナコース(リアル受講+毎月1時間プラチナセッション)(受講料45万円)
・Body Design BootCamp1期リアル受講コース(リアル受講+ビデオ受講)(受講料25万円)
・Body Design BootCamp1期ヴァーチャルコース(ビデオ受講)(受講料15万円)
(Ray式オイルBootCamp受講生向けの割引制度があります!)