久々にリアル書店をうろうろしていたら瀧本哲史さんの新刊に出会いました。
もちろん瀧本哲史さんは去年鬼籍に入られています。
これは2012年の東大の伊藤謝恩ホールで行われた講演会の記録です。
瀧本哲史さんって誰という人でも、おそらくこの著作は知っているでしょう。
麻布中学高校から東大へ進学し、大学院を経ずに助手に採用され(すごすぎです。首席だとそうなるらしいです)、助手からマッキンゼーに、そしてエンジェル投資家として活躍しながら、(学士しか持たないのに)京大で教鞭をとるというすごい人です(この本で、学部生のときにマッキンゼーから実は内定をもらっていたという話もされています)。
(マッキンゼーは当時は誰も知る人がいない会社だったそうで)。
c.f.[追悼 瀧本哲史さん 30年来の友人が語る「天才の人間性」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
いろいろなことの答え合わせができるような本で、非常に面白いです。
たとえば、奴隷についてシンプルにこう語っていらっしゃいます。
この奴隷というのは、タレブと同じ意味です。タレブも古代ローマより現代のほうが奴隷が多いと言います。
かつてアリストテレスは「奴隷とは何か?」という問いに、「ものを言う道具」と答えました。僕がいまの世の中を見ても、けっこうな数の「ものを言う道具」の人がいます。一応ものは言って人間のかたちはしているんですけど、自分の頭で考えていない人があまりに多いので、そういう人を人間にしなきゃいけないという問題意識というか、使命感もあります。(pp.18-19)
ここまではっきり言えるのはすごいです。
その上で、
現代社会では、しっかり自分の頭で考えられない人間は、「コモディティ(替えのきく人材)」として買い叩かれるだけですからね。(p.19)
と釘を刺します。
重要なポイントです。
瀧本哲史さんは「身銭を切る」ということについても非常に面白い指摘をしています。資本主義と身銭を切るの関係については、ティールやタレブと通じるものがあります。
瀧本哲史さんは、資本主義とは何かという問いに対して、ひとことで言えば「計画経済の真逆」と答えます。
計画経済というのは「どこかのすごい頭の良い人が、すべてを決める社会」です。(p.19)
これって、プラトンの理想とした哲人政治でもありますね。
旧ソ連とかがその代表でしょう。今の日本もじつはけっこう計画経済的なところが残ってて、東大とかを出ただけなのに、なぜか未来がわかるらしくて、「これらの半導体産業はこうなる」とか言って、勝手に会社と会社をくっつけたりするなんて話がありますよね。その結果、大赤字になってその会社が潰れちゃったりしても、彼らは責任とらないんです。(pp.19-20)
世界でもっとも成功した社会主義国家と言われる所以ですね。
この先が奮っています!
僕なんかは「すごく賢くて未来がわかるのなら、ご自身でやられたらいかがですか?」と思いますけど、そういう人たちって自分が責任を追わねばならないことは、絶対やらないんですね。(p.20)
知的バカは身銭を切らないんですね。
それに対して資本主義というのは、大前提として「誰が正しいかよくわからない」んですよ。だから、いろんな人が自分のアイデアを出して、自己責任でやってみる。すると市場がそれを判定して、うまくいくものは大きくなるし、ダメなものは淘汰されてやり直しみたいな、そういうゲームなわけです。(p.20)
これはすっきりする議論ですし、資本主義や市場ということに対する楽観的な視点ですし、その通りだと思います。
「自分のアイデアを出して、自己責任でやってみる」というところが重要です。身銭を切って、市場にデビューするのです。そして淘汰されて、強くなったり、リセットボタンを押して再トライします。
ちなみに、もう一つ「身銭を切る」ということでは、最後にこんなことを語っていらっしゃいます。
瀧本哲史さんはボン・ヴォヤージュという挨拶が好きだとおっしゃいます。
ボン・ヴォヤージュというのは、フランス語で「よき航海をゆけ」という意味です。
自分の船を持っている船長というのは、リスクを自ら取っている人で、意思決定者なんです。航海において意思決定をする立場にない船員は、「ボン・ヴォヤージュ」って挨拶は、しないんですね。
で、航海中に船がすれ違って船長同士で挨拶するときは、「あっ、あの船は、あちこちネズミに食われているなー」とか、「そっちへ行くと嵐になるんじゃない?」とかって、お互いに思っていても、そういうことは絶対に言わないんですよ。
「俺たちはお互いに自分の判断でリスクを取っている」ということに対する敬意があるから、余計なことを言わずに、ただ「よき航海を」なんです。(p.201)
お互いに自分の判断でリスクを取っていることに対する敬意というのが良いですね。
身銭を切っている同士のリスペクトです。
で、全然関係ないですけど、トランプさんです。
トランプさんにはお兄さんがいらして、トランプさんは大変尊敬していたけど、彼から繰り返し言われたのが「お酒を飲むな」ということだったそうです。
だから、お酒もタバコもやったことがない、と。
お兄さんは若くして40代で亡くなっています。
*ネットでトランプにポジティブな動画が流れてきて、バイデンにネガティブな動画が流れてくるのは、何らかのアルゴリズムによる操作が働いているのかな〜と思わざるを得ませんね。
そんな自意識過剰な厨二病的な陰謀論にも一理あるのかもという「告発」ですね。CAは滅びても、似たカンパニーが雨後の筍のように生まれているでしょうし、もっとうまくやるでしょうし。
昨年、アディトレスクールをやって良かったと思っているのは、多くの人が大幅に健康を取り戻したということだけではなく、アルコール中毒寸前の状態から生還した方が数名いらっしゃることです。
やはり中毒というのは深刻な問題です。
(トランプさんがお兄さんの話をしたのも、全米に広がるオピオイド系鎮痛剤の乱用とその中毒死に対する懸念の中ででした)。
瀧本哲史さんもお酒は飲まれなかったそうです。
[追悼 瀧本哲史さん 30年来の友人が語る「天才の人間性」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)]
(引用開始)
そう、彼は決してお酒を飲む人ではなかった。「酔うと多少タガが外れて楽しいからたまにはどう?」と勧めたら「アルコールの脳細胞に与える影響」について一席ぶたれた後に、「頭がクリアでない瞬間は一瞬たりとも持ちたくない」「でも飲んでいる人と話しているのは面白い」という趣旨のことを言われたことがあった。
その話が相当おもしろかったので、その後、二度と彼にお酒は勧めないけれど、私はいつも好き放題飲んでいた。彼はそういう独特の気づかいもする人だった。
(引用終了)
アルコールもタバコも問題だと思いますし、やはり糖中毒は深刻ですし、乳製品のカゼインも(代謝物のカセモルフィンはモルヒネと似ていて中毒になると言われます。だからこそ、子供はお腹を壊すことが分かっていても、牛乳を飲みたくなります)、小麦も同様です。
もちろんAddiction(中毒)にはSNSやネットをめぐるもの、人間関係をめぐるものもあります。
並べ上げると絶望的ですが、、、スケールの問題です。
世界の問題と自分の問題を混同してはいけないのです。
世界の問題と目の前のクライアントの問題も混同すべきではないのです。
ゴールが明確であり、いま足を引っ張っているアディクションが明確であるならば、それを切り離しつつ(最近の言い方で言えば、ソーシャルディスタンスをw)足ではなく手を引っ張ってゴールへ連れて行ってくれる良いアディクションに乗り換えて行きましょう。
昨年のアディトレスクール受講生が、「これは食べて良い、これは食べてはいけないという問題ではないのですね。全体的なことなのですね」という意味のコメントを寄せてくれたのですが、まさにそのとおりです
もちろん大枠としてのYesリストなどはガンドリーのようにあるでしょうが、その場、その場で自分の頭で考えることが大事です。そして実際にそのリスクは文字通り、自分が引き受けるのです。
汝の食事を薬とし、汝の薬を食事とせよ(ヒポクラテス)ですね。そして薬食同源ですね。
(ちなみにかつて料理人であり、自分のお店を経営したこともあり、トレーニングもガンガンやっていて、できたら国家資格保有者の方、募集中です(^o^)
レシピについてアドバイスできる人材は意外と希少です)
これはヒューリスティックな作業であって、大上段に構えるものではないのです(そこがヴィーガンに対して僕が批判的な理由です)。
というわけで、ボン・ヴォヤージュ!!
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課題図書というわけではないのですが、すでに読んでいる方は読み直して、スクールに臨んでください!!