バレエにとってアンディオールは永遠のテーマですね。
開けるかどうかではなく、どう自然に開いた状態を維持できるかが重要です。
(可動域があることは大前提で、踊りの中でいかに自然にターンアウトできるかがポイントです)
その意味で、アンディオールというのは「哺乳類」という分類方法と似ていて、さまざまな身体の使い方の総称だと思った方が良いです。
いろいろな身体の角度があり、その中で「アンディオール」と呼ばれる身体の使い方それぞれにあります。それを正確に次から次へと渡っていけるのが、アンディオールができているということです。
所作や姿勢の良さや、品などと似ています。
たとえば、アラベスクのときのアンディオールというのは、アラベゴンに感じます。
アラベゴンというのは一種のジャーゴン(正式な用語ではなく、ダンサー同士でしか伝わらない隠語)ですが、アラベスク+アラセゴンという意味で、もともとはネガティブな意味で使われています(今もほとんどダメな意味で使います)。
しかし、ギエム以降のバレエ界では、アラベゴンというのは角度を間違えなければ(すなわち真後ろにきちんと出すならば)、きちんとアンディオールされたアラベスクと認識されます。
ですので、きちんとバレエを習った人ほど、気持ち悪く感じます。
ちなみにこれは面白い話があります。やはりパリオペラ座は、このアラベゴンを嫌うそうです。教育システムがしっかりしていると新しい潮流に切り替えられません。
すなわち、パリオペラ座はなるべく身体をねじらずに脚を上げるのを好みます。
ですから、上の記述と矛盾するようですが、ギエムさんは脚をアラベスクで高く脚をあげられず、必ずパンシェによって高さを調整をしました。是非、ギエムのアラベスク写真をチェックしてみてください。
そして、アラベスクというとパンシェを取り込むのもまたギエム以降のバレエ界の特長です。
ただ、そのオペラ座の教育システムの中で「アンディオールはBackから開く」と教えていることは、このブログでも10年ほど伝えてきています。
Backとは腰椎から、もしくは仙腸関節からというニュアンスです。ただ、腰椎は脚ではありませんし、仙腸関節は「開く」というほどには開きません。
これはニュアンスであり、比喩であり、はたまた筋肉のことです。
筋肉で考えれば、大臀筋というお尻の筋肉のことです。
アンディオールもしくはターンアウトというのは、解剖学で考えるとシンプルに外旋となります。
外旋というのは、外側に開く(旋回させる)ということです。
解剖学で覚えたいのは3つの機能だけです。3つというか、3グループです。
まずはシンプルに曲げ伸ばしする屈曲と伸展です。
両方やると屈伸ですね。
膝を曲げ伸ばししたり、肘を曲げ伸ばししたりするイメージです。
股関節屈曲、膝関節屈曲ですね。
もう一つが外に向けて動かす外転とその反対の内転です。
手を横に広げたり、脚を開脚のように横に広げるのが外転、その反対が内転です。
それに対して、アンディオールやターンアウトのように回転させるのが外旋、その逆(ターンイン)が内転です。
で、股関節で大腿骨という太ももを最大に外旋(アンディオール)させるのは、大臀筋です。
ですので、アンディオール筋はシンプルに大臀筋となります。
ちなみに「股関節から開きなさい!」と言われますし、これは間違っていません。
ただ股関節というと、全面から大腿骨の骨頭をイメージしてしまいがちです。
これが英語で考えると、股関節はHip Jointです。
そう、ヒップジョイント。
お尻の関節となります。
股関節ではなく、尻関節www
股関節をコントロールしているのは、大臀筋なんだ!!ということがよく分かる語感です。
股関節をコントロールしているのは、大臀筋というお尻の筋肉と、大腰筋(腸腰筋)と呼ばれるお腹にある筋肉です。
(前回のセミナーで面白かったのは、大腿直筋の起始部をチェックするべく、いつものように寝た状態で脚をあげてもらったら(=股関節屈曲)、バレリーナはほとんど大腿直筋の起始が収縮せず、むしろ鼠径部が収縮しました。そう大腰筋ですね。もちろん起始ではなく、筋腹です)
ですので、ヒップジョイントというのは良い言葉です。
「股関節」というと、大臀筋が発火しにくいのです。
知識としてまず大臀筋(だいでんきん)というお尻の筋肉がアンディオール筋ということを覚えておきましょう。
そして、次にこの大臀筋の発火方法です。
普通にお尻に力を入れてしまうと全く違うことになります(バレエの先生は「お尻の力を抜いて!!」と言うでしょう。これも運動生理学的には正しいアドバイスで、脱力からしか力は入りません)。
そして僕らが力を入れるお尻はちょっとズレているのです。
ですので、大臀筋=お尻の筋肉、と考えずに、丁寧に腸骨稜を触りましょう(←ここ重要)。
いつもの復習ですが、まずくびれに触ります。
腰のくびれに手を当てて、そのままわずかに下にスライドさせると骨盤(腸骨)に当たります。
その骨盤の上端を丁寧に触りましょう。そこが腸骨稜です。
前に行けば上前腸骨棘(ASIS)という突起が感じられます。後ろに行けば仙骨があります。
上後腸骨棘(じょうこうちょうこつきょく)がきちんと触れれば最高です。
丁寧に触ります。
腸骨は後ろに行くにつれて高くなっていきます。
腰は相当に高いのです。
そして、その腰と呼んでいる位置は下肢(脚)の一部です。腸骨は下肢帯です。
ですから、腰だと思って触っている高い部分は脚の最も高い部分です。
特に後ろに行けば行くほど高くなっています。
そこが脚だと理解して、腑に落ちるとアラベスクのあげ方が変わります。
股関節で上げるのはナンセンスで、腸骨から上げるべきです。
とは言え、仙腸関節はほとんど動かないので、実際は2つの腸骨の関係を水平に並んでいる状態から、垂直に並んでいる状態に変えるイメージです。
腸骨は腰ではなく、体幹でもなく、脚です。
その上で腰椎をねじり、胸椎をねじり、頚椎をねじれば、美しいアラベスクとなります。
アラベスク(模様)というくらいですから、曲線を描きましょう。
股関節で大腿骨(という太ももの骨)を動かそうとしたら、それは上がりません。
腰を動かすのはパンシェ(骨盤を傾ける)じゃないかと思うかもしれませんし、その通りですが、パンシェかどうかは上体で決まると考えてください。
腸骨稜を丁寧に触ったら、ついでに大腸愈(だいちょうゆ)というツボ(経穴)を押しましょう。
僕が習った頃には、経穴の王様と言われていました(記憶が確かなら)。
大腸愈は重要なツボです。
大腸愈(だいちょうゆ)の場所はヤコビー線上で脊椎の棘突起から指2本分外などと言われますが、そこらへんはノリでOKです。というか、身体を見ていれば、押しやすい場所が見えてきます。
探し方はシンプルです。
腰のくびれに触れて、そこから下にスライドして、腸骨に触れます。
腸骨の上端を丁寧に触り、腸骨稜をくっきりさせます。
腸骨の最も高い位置がヤコビー線で呼ばれます。
そしたら仙骨の方まで丁寧に触ったときに、大腸愈(だいちょうゆ)が見えてきます(スクールやBootCamp講習会でやりましょう)。
そこを丁寧に押すことです。
腸骨稜も押して、大腸愈も押します。
腸骨稜のヘリが大臀筋の起始です。
起始を押して、大臀筋をゆるめて、大腸愈(だいちょうゆ)を意識することで、圧倒的なアンディオールが可能です。
アンディオール筋はたしかに大臀筋ですが、お尻の筋肉と思うと少し違うところに力が入ります。大腸愈を意識すると、引き上げもアンディオールも一挙にうまくいきます。
そのためにも、くびれから繰り返し腸骨稜(ちょうこつりょう)を触りましょう!!
1月5日12時より申し込み受付開始!!
【ハワイ大学医学部人体解剖実習】
【日時】 (現地時間)10月2日(金)夕方オリエンテーション、10月3日(土)〜5日(月)(ハワイ大学にて解剖実習)
【場所】 ハワイ大学医学部及びワイキキのセミナールーム(現地集合、現地解散です!、航空券とホテルは各自で手配してください!!)
【受講料】 396,000円(税込、PayPal決済可能です。請求先アドレスを記載してください)
【受講資格】 「まといのば」セミナー受講生(もしくはそれに準ずる方、他で「まといのば」の主宰のセミナーを受けている方もOKです)
【持ち物】 情熱とゴールと筆記用具
【お申し込み】1月5日12時より募集開始!!(先着入金順で確定です!)