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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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押してダメなら引いてみな〜首肩腰の施術には、首肩腰をやらないほうがうまくいくかも

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今回もテクニカルな話を。

 

昨日のメンターセッションでの話題で、サロンでセラピストとして働いている方で、「首肩がうまくゆるませられない」というご相談でした。

主要筋肉の起始と停止は覚えていて、実際に押してみているのですが、ゆるんだ感じがしない、、と。

 

 

 

たとえば、僧帽筋上部は肩こり筋などと言われて、非常に厄介な場所です。

 

いつでも多くの場合、ゴリゴリと硬い場所です。

 

肩もみをしても、肩をとんとん叩いても(孫がおじいちゃんにやるように)、全く意味がありません。その瞬間は気持ち良い感じがしますが、ほとんど効果はありません。

そのうちに肩というのはこういうものだと納得します。

ホメオスタシスとして定着して、何年も何十年も過ぎます。

 

 

逆に「筋肉が水のように柔らかい」というと比喩だと思う方が多いのですが、是非、プロの施術家になってトップアスリートや一流の武術家、一流のダンサーの身体の施術をしてみてください。

赤ちゃんの筋肉の方が硬いのではないかというほどの、筋肉の柔らかさです。

 

 

 

これは本当に驚かされます。

 

筋骨隆々で硬そうな立派な身体でも、見た目に反して猛烈に筋肉が柔らかいのです。

直感的には「これは脂肪???」というレベルです。ただ、よくよく触ると脂肪よりも柔らかいのです。

 

ゆるんだ筋肉は脂肪よりも柔らかいというと、「嘘でしょ」と思う人が多いのですが、事実です。

 

ただ、一流の方というのは、自分の身体をそうそうは触らせません。それはそうです。素人やアマチュアレベルの施術家やセラピストが下手にいじると壊されるからです。

貴重な美術品や工芸品を何も知らない子供に遊ばせたりはしません。壊される確率が高いからです。

それと似ています。

一流の人は、健康も一流であることは多いですが、それでも幾重にも重ねたシーツの下のえんどう豆に気付くように、ほんの些細な不調でキャリアを棒に振るほどの被害を被ります(ジョコビッチの小麦がまさにそうでした)(逆に不健康な我々は、えんどう豆どころか、岩の上でも寝れます)

c.f.靴の中に入った不愉快な小石も、敷布団の下にあるえんどう豆も全部丁寧に取り除いていく気功整体 2019年11月10日

c.f.「どこも痛くないときは、小さな石を靴の中に入れて、歩きなさい」(セルビアの格言)〜副腎疲労の解消 2019年12月04日

 

またスクールでも繰り返し言うのですが、あまりに世の中にファストフードならぬファストリラクゼーションやファストヒーリングが流行りすぎていて、そういう施術の方法が身に染み付いている人が多いです。

それは本人のせいというよりは、いま働いているサロンに影響されているゆえでしょう。

 

チャカチャカと表面をなでまわして、全く筋肉が見えていないまま、手技を繰り出しています。

 

ブラインドタッチと子供が戯れに真似をして適当にキーボードを触るのとは、似て非なるものです。

ピアニストが正確に楽譜通りに弾きながら、猛烈に早く指を動かしているのと、素人がデタラメに真似をするのでは、天と地ほどの違いがあります(でも、素人には味噌とクソの区別はつきません。ですので、粗製濫造のクソが大流行します。しかし単価は低いので、どんどんブラックになっていきます。それはサロンの現場だけではなく、クライアントにとっても不幸です。なぜなら時間とお金を費やしているのに、身体は改善しないからです。ファストフードのように一瞬の食欲を満たすだけで、身体は毒されるだけだからです)。

 

ファストフードがファストライフ(短命)を保証するように、ファストヒーリングも短命しか保証しません。それにファストヒーリングは全く早く(Fast)ありませんし。

 

我々が目指したいのはその逆です。

 

 

というわけで、首肩腰のヒーリングです。

 

結論だけを言うならば、首肩に関しては、筋肉へのアプローチではなく、骨へのアプローチです。骨へのアプローチというのは、骨をマッサージすることではなく、骨のアライメントの修正です。骨のアライメントというのは、関節の角度のことです。骨と骨の関係を変えます。

 

 

ちなみに、解剖学にあまりに秀でていると、欠けてしまう視点があります。

それが重力です(もう一つは慣性力です。「慣性力とはホメオスタシスのことですよね」、と思っている人がいますが、ここでは全然違います。ここで言っているのは、正確に物理学的な話です)。

 

筋力だけではなく、重力も、骨にも筋肉にも脂肪にもかかっています。

それが見えていないと、筋肉の収縮と弛緩だけでシミュレーションしすぎて、現実が見えなくなります。解剖直観に重要なのは、現場できちんと生きた骨と筋肉を観ることです。すなわち相手の身体、そして自分の身体を観ることです。

 

骨と骨の関係、そして重力ということを考えるというのは、平たく言えば、姿勢を正すということです。

 

姿勢を正すというと、「あー、そういうことか」と納得して、じゃあ、「背骨をピンと伸ばしてください!」みたいに言うセラピストがいます。

 

しかし、その前にやることがあります。

 

偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。(マタイ7:5

 

これはもちろん自戒をこめて書きますが、まずは自分の目から梁を取り除けるのが先です。

解剖直観と言っても、自分の身体が壊れていたり、スコトーマが巨大であれば(目の中の梁のように)、見えないのです。

 

まずは何が正しい姿勢なのかを定義し直し、それを実装する必要があるのです。

 

お客さんの身体の前に、まず自分の身体を治しましょうということです。ヒーラー自身の身体を治す必要があります。

 

ヒーラー自身が、正しい姿勢というのを実装していて、それを熟知していて、そしてはじめて指導ができますし、書き換えができるのです。

(これって、当たり前のようですが、なかなか「紺屋の白袴」であり、「医者の不養生」になりがちです)。

 

Boot Campでも、その後のソルジャーとして働き始めるときもそうですが、候補生同士でガンガン施術をしあいます。繰り返しロールプレイすることで、技術の向上をはかるとともに、施術されることで、身体が変わり、レベルアップもします。一石二鳥ですね(^o^)

 

実際に、スクールの最中にも、受講生がI字バランスであったり、スピリッツなどを披露する場面がありました。良いことです。ソルジャーが圧倒的な身体であることはマストです。

 

 

 

ということで、首肩の施術は(腰もそうですが)、姿勢が重要となります。

姿勢の修正です。

正しい姿勢というと、形から入りがちなのですが、実際は筋肉をゆるめ、アライメントを修正して、関節を良い状態にします。

 

しばしば我々は「正しい」姿勢として、間違った状態を覚えています。ホメオスタシスが本来の合理的な形からズレているのです。それをわずかに修正するだけで、筋肉も骨もガラッと変わります。

 

 

 

では、具体的にはどうすれば良いのでしょう。

 

これを書き始めるとまたまた長いのですが、、、シンプルな方針としては、筋肉同士の綱引きをイメージすることです。

 

たとえば肘を曲げようとして、上腕二頭筋を収縮させようとしても、反対側についている上腕三頭筋が邪魔します。上腕三頭筋が遠心性収縮します。伸ばされながら、収縮します。ネガティブですね。エキセントリックコントラクションします。

 

ポジティブ、ネガティブについては、上腕二頭筋だけに注目して体験してみましょう。

 

 

たとえば、アームカールで、肘を曲げているときは、上腕二頭筋を収縮させながら、起始と停止を近づけているので、ポジティブです。求心性収縮です。

 

しかし、ダンベルを下ろしていくフェイズでは、上腕二頭筋は収縮しているものの、肘は伸びていっています。筋肉は伸びています。起始と停止が離れていくのです。これが遠心性収縮です。上腕二頭筋にとってのネガティブです。

 

これを何度か味わってみてください。

 

知識で知るのと、実際にやってみて筋肉の中に入ってやるのでは全く違います。

 

知るためには、実際に試して、繰り返して、腑に落とす必要があります。

 

 

上腕二頭筋だけでの理解ができたら、今度は上腕二頭筋と上腕三頭筋のペアで考えます。

片方が遠心性収縮しているときは、片方は求心性収縮しています。

たとえば、上腕三頭筋を収縮させているときは(求心性収縮させているときは)、上腕二頭筋は遠心性収縮しています。

 

よく上腕二頭筋をアクセル、上腕三頭筋をブレーキと言いますが、主働筋が働いているときは、拮抗筋は安全上の理由でブレーキとして機能しています。

重いものを持ち上げるときは、肘を曲げながら、上腕二頭筋がアクセルとなり、上腕三頭筋がブレーキとなります。

 

 

ただブレーキに無頓着だと、ブレーキが強すぎてしまうので、ブレーキを必要最小限にまで絞ることが重要となります。

これを上手にやりましょうというスローガンが武術などで言われる「脱力」です。脱力とは単に力を抜くことではなく、動作の際に遠心性収縮の収縮をミニマムにまで絞ろうとする試みのことです。そのことで、アクセルを全開に踏めるのです。

体感としては、ちょっとしか力を入れていないのに、猛烈な力が出ます。

なぜなら、ブレーキなしにアクセルが踏めるからです。

 

これも上腕二頭筋で体験してみましょう。

やり方はシンプルです。

肘を曲げようとするのに、上腕三頭筋に思っきり力を入れるのです。そうすると、上腕二頭筋でがんばっても肘はなかなか曲がりません。

これが全身で起きているのが僕らの身体の状態です。

アクセルとブレーキが喧嘩をしているのです。

ブレーキは身体を守るために必要です(アクセルが強すぎると、関節がぶっ壊れます)。しかし、過ぎたるは及ばざるが如しなのです。

 

 

首、肩については、当然ながら骨のアライメントの問題は深刻ですが、骨は勝手には動きません(勝手に動くのは深夜の学校の理科実験室のガイコツだけですw)。

 

たとえば、大胸筋が拘縮して、上腕が内旋、内転していると、肩甲骨が外転され、僧帽筋が引っ張られます。首が前に倒れていると(下部頚椎の屈曲、でも上部頸椎は少し伸展)、また僧帽筋上部は伸ばされます。

僧帽筋は実はブレーキ側であり、遠心性収縮させられ続けているという認識が重要です。

 

ということは、その僧帽筋をゆるめたら、、、、そもそも筋膜リリースではほとんどゆるみませんが、きちんと付着部を押すとゆるんでしまいます。すると、もっと引っ張られてしまいます。ですので、あわててもっと固まろうとします。

ですので、首や肩の凝りに対して、首や肩をゆるませてはいけないのです。もっとひどくなります(逆にもっとひどくなったということは、ちゃんとゆるめられているということではありますがw)。

 

どうすれば良いかと言えば、大胸筋をゆるめ、上腕骨をニュートラルにしましょう。僧帽筋下部で肩甲骨を下制させ、菱形筋を(肩甲骨を徒手で縮めて、筋膜リリースした上で)締めてもらいましょう。そのうえで、手で頚椎のアライメントを整えます。そうすると、それだけ僧帽筋は驚くほどゆるみます。

 

*シュワちゃんの大胸筋はしっかりとゆるんでいます。肩峰と上腕骨の骨頭を見てみて下さい。

 

ただそれを維持するのは大変です。

何が大変かと言えば、ホメオスタシスを修正するのが大変なのです。

逆に修正されてしまえば、あとは簡単にそこに戻れます。

 

ですので、クライアントさんに施術をしながら、何が起きているかを解剖を交えて、説明して、アライメントを修正して、その状態を繰り返すことで覚えるように伝えましょう。

ちなみに、良い姿勢だと、圧倒的に身体は楽になりますし、IQも上がります。

IQというのは、情報空間での移動速度ですが、移動するためには観なくてはいけません。

情報空間を観る時、私達は物理的な目を使っています。

これも以前にも何度も繰り返していますが、たとえば、何かを思い出す瞬間の自分を観察してみましょう。

そのとき必ず中空を眺めています。斜め上を観てしまうのです。

逆に目が使えなかったら、思い出せなくなります。これが凝視法のカラクリです。

目を留めてしまうことで、海馬へのアクセスを防ぎます。

同様に首が動かないと思考は止まります。肩がつらくても、脊椎が辛くても同様です。

 

 

首肩については、C0(シーゼロ)と勝手に呼んでいる頭蓋骨関連の技術が重要です。

たとえば、大後頭隆起、顎関節、C1の横突起、乳様突起をそれぞれ押して筋膜リリースをするのは有効です。

斜角筋群も大事ですが、まずは胸鎖乳突筋をゆるめてください。ただ単に胸鎖乳突筋をゆるめても、首が不安定になるだけなので、頚椎を意識し、頚椎を上から順に(頭蓋骨から順に)動く感覚を伝えながら、胸鎖乳突筋をゆるめます!

 

というわけで、首肩腰の施術には、固まっているところを刺激しない方が良いです。

固まっているところは、固まっている理由があります。

そこをゆるめてしまうと、もっとひどいことになります。

綱引きの片方をゆるめず、強い方からゆるめて、頭を書き換えてから、固まっている方をゆるめましょう。順番が重要です。

(腰については、書きそびれましたが、多くの場合は大臀筋をゆるめるとうまくいきます。それ以前に大腰筋をやっておくとスムーズです。腰に関しても使い方の順番がおかしくなっているのです。ダンサーで言えば、後ろに反ろうとして、大臀筋を締めずに、腰椎だけで反ろうとするので、そこに負担が集中します。身体を使うときも、筋肉の順序があります。発火させる順序です)

 

 

ということで、いろいろと試してみてください!!

 


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