自分の身体であれば、どこに何があるかは何となく分かっていると思います。
しかし他人の身体を素早く判定するときは、座標とも言うべきものが必要になります。
せっかく解剖をしっかり覚えても、その知識が宝の持ち腐れにならないように、人の体を見たり触れたりするときに、鍵となる部分を素早く見つけましょう(たとえば「まといのば」で勧めているのは、くびれから腸骨稜と肋骨下部にふれる方法です)。
とは言え、自分の身体でもどこに何があるかは意外と正確にわかっていないものです。
ですので、人の身体を見る前に、まずは自分の身体でたくさん練習しておきましょう。たくさん触れておきましょう!
肘や膝というのはすぐに触れますが、頚椎5番とか、胸椎6番と言われてもにわかには触れません(数えるしかありません)。
ちょっと考えてみると、手首や足首、膝や肘、肩や股関節は比較的分かりやすい場所です。
ですので、まず見るべきは腰です。
いつもながらの手法ですが、腰のくびれに触れて、手を下に持っていくと寛骨(骨盤)、そしてちょっと上に持っていくと肋骨下部になります。寛骨と肋骨下部があまりに近い感じがすると思いますが、それは腰椎が反っているからです。骨格模型では脊椎のS字がほぼ伸びてしまっているので、広く見えます。
*グレイ解剖学(原著第3版)より
腸骨に触れられたら、そのまま上前腸骨棘(ASIS)までいきましょう。
ASISは鼠径靭帯の端になります(もう片方は恥骨結節)。
ASISをそのままたどって上がっていくと上後腸骨棘(PSIS)になります。
腰って意外と高いところにあるって思うと思います。
でも、そこは厳密には腰というよりは、下肢です。広い意味で脚です。脚は相当に長いのです。
そしてPSISは大臀筋の起始です。お尻の大きな筋肉はそんな高いところかはあるのです。
大臀筋は明らかに脚の筋肉です(英語では股関節のことをHip Jointと言います。お尻の関節です。大臀筋が股関節の筋肉だということが明確に分かります)。
お尻がかなり高いところから始まっていると同時に、腹筋は鼠径靭帯まで(恥骨結節まで)ありますので、ずいぶんと下まであります(腹直筋は恥骨結合や恥骨結節から胸椎の剣状突起あたりまでという長い真っ直ぐの筋肉です)。
逆に言えば、たとえば大腿四頭筋の大腿直筋は下前腸骨棘からくっついています(二関節筋)です。
ずいぶんと高いところから大腿直筋ははじまっています(それに対してほかの三頭筋は骨盤からではなく、大腿骨からですので膝のための筋肉です)。
ここらへんの上下が交錯している感じがくっきりと見えてくると、非常に面白くなってきます。
ASISに触れながら、鼠径靭帯を感じつつ(鼠径靭帯そのものが腹横筋、腹斜筋群が折り込まれているできています)、腹筋が鼠径靭帯(そして恥骨)まで伸び、逆に大腿直筋が下前腸骨棘まで来ていることを感じます。大転子にも触れましょう!
そして後ろにいって、ヤコビー線を感じましょう。
ASISから腸骨稜、PSIS、そして恥骨を見つつ、鼠径靭帯を確認して、大転子が確認できれば(ほぼ水平の位置に小転子があります。股関節です。大腿骨の骨頭ですね)
背中も正確に!
肩峰は目視できますが、よく触っておきましょう。
前側から見て、肩峰の隣が烏口突起です。肩峰と烏口突起の間に隙間をつくる施術は重要になってきます。
背中は肩甲骨を正確に捕まえましょう。肩甲骨がわかると筋肉の位置が決定できます。
もちろんC7とT1は首を前傾させて見つけましょう!
*以下、グレイ解剖学(原著第3版)より
Boot Campでお互いに施術をするときには、相手の身体のメルクマークになるところを素早く触れて確認して、その場で筋肉を書き込んでしまうことです(実際に真っ白なTシャツを来てもらって、そこにペンで書き込んでいっても良いと思っています)。
慣れてくると明確になってきます。
脊椎の棘突起も繰り返し数えているうちに、慣れてきます。
最初に正確に身体の地図を取る練習をしましょう!
身体に触れながら、身体の不思議さを感じながら、解剖を覚えると、知識に奥行きが出てきて、臨場感が高まり、すぐに頭に入ります!
【書籍紹介】
バスキアの愛した解剖学の教科書です(^o^)
(7歳から読んでいるので、筋金入りですね)
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