フレディ・マーキュリーがエイズで亡くなった翌年に、同じくエイズで亡くなったカリスマがジョルジュ・ドンです。
ベジャールバレエの顔であり、世界的なダンサーでした。
*クロード・ルルーシュ監督の「愛と哀しみのボレロ」での演技と踊りで伝説となりました。
ベジャールにとって最愛の人であったであろうジョルジュ・ドンを亡くし、そしてQueenのボーカルのフレディ・マーキュリーを亡くした深い哀しみと絶望の中で創られたのが「Ballet for life」です。
二人の命を永遠のものにしようというベジャールさんの強い気持ちが現れた美しい作品です。
このバレエフォーライフはほとんどがQueenの楽曲から取られ、そして印象的にモーツアルトが使われています。
この作品を何度見たか分かりません。
(すべてが最高ですが、たとえばジルと十市さんとクリスティーヌブランの絡みが最高です)
ですので、Queenを聴くとフレディ・マーキュリーと共にベジャールのBallet for lifeが僕には脳内再生されます。
特にラストのShow must go onでは、並んだダンサーの中央にいて拳を天につき上げるベジャールさんの姿が思い起こされます。
明らかにエイズで苦しんだフレディがそれでも歌い続けなければいけないと美声を響かせます。
ちなみにQueenは全員が女装してPVもつくっています(映画の中でも描かれていましたね。それが元でアメリカツアーができなくなったりというくだりで)。
ちなみにそのPVがこちら。そして驚くべきことに、フレディはここで牧神の午後を踊っています。
それも暗示するとかでもなく、明確に踊っています。
*QueenーI want to Break Free
*注目すべきは2分10秒あたり。フレディ・マーキュリーが牧神の午後を演じています!
凡庸なモノ言いですが、彼らはインテリなのです。
ロジャーは生物学の学士を持ち、ジョンは電子工学を学んで主席で卒業、そしてブライアン・メイはフレディ亡き後に大学に戻り博士を取っています。理系でインテリなのです。
ベジャールが哲学者の父を持ち、彼自身も博覧強記であったのと似ています。
音楽や舞踊が不必要なレベルまで貶められているこの時代に、この事実は知っておくべきでしょう。
話は飛びますが、東京バレエ団で長くプリンシパルをつとめた井脇幸江さんの最後のバレエ団での舞台が牧神の午後でした。
井脇さんは牧神の午後をマラーホフとも踊っています。驚くべきことに牧神の午後を当たり役とした元パリオペラ座エトワールのシャルルジュドとも踊っています。
その井脇さんが今月25日のジゼル公演の2日前にあの「ベニスに死す」をテーマにした西島数博さんの作品に出演されるそうです!
ベニスに死すと言えばトーマス・マンの傑作ですが、やはりマーラのアダージェットを用いた映画が思い出されます。
今回の作品も映画にインスパイアされたもののようです!
というわけで、そちらも楽しみです!
もちろんジゼル公演も!
Show must go onですね!
僕らヒーラーもいつも元気なわけではなく(というか、いつも病んでいたり痛みを抱えています)、でも、Show must go onです。
死が幕を下ろすまではこの世界という舞台で微笑み、立ち続け、踊り続け、演じ続けましょう!
All the world's a stage,
人生は舞台
And all the men and women merely players
男も女も役者にすぎない(シェイクスピア)