ワトソン・クリックのDNAの発見のポイントは、遺伝という不思議な現象の原因を物質に求めたことです。いわば遺伝のモノ化です。
これはシュレディンガーが「生命とは何か」で予測していたことであり、10年もしないうちにワトソンとクリックの発見によって、実証されました。
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もちろんDNAが遺伝物質であることは知られていましたが、ワトソン・クリックの発見はもはや後戻りできないところまで明確に遺伝を塩基配列によって説明したことです。
平たくいえば、モノ化したのです。
生命とは思えないような、分子の連なりが我々の生命の原因なのです。
これは単なるプログラムでしかなく、翻訳したアミノ酸がなければ、何でも無い物質でしかありません。
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*面白いです!
そして、生命が生命でないような物質にその原因があるというのが不思議なことです。
それも単なるプログラムという。
人間というものは結局のところ、遺伝子にとってただの乗り物(キャリア)であり、通り道にすぎないのです。彼らは馬を乗り潰していくように、世代から世代へと私たちを乗り継いでいきます。そして遺伝子は何が善で何が悪かなんてことは考えません。私たちが幸福になろうが不幸になろうが、彼らのしったことではありません。私たちはただの手段にすぎないわけですから。彼らが考慮するのは、何が自分たちにとっていちばん効率的かということだけです。(村上春樹『iQ84 Book1』
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そしてこの遺伝子たちも遺伝子同士の熾烈な争いに巻き込まれています。
ここでのポイントは遺伝子同士の争いであって、個体間ではないということです。
もちろん個体同士でも種同士でも争います(寺子屋でも述べたように、共生というのは仲良く暮らしているのではなく、イス取りゲームでひとつだけが勝ち残るというニッチ戦略です)(ちなみに子供の世界もこれを模倣しているかのように、勝者はひとりで棲み分けが起こります。「一番じゃなきゃダメなんです」。ですので、二番手は他の比較優位を探します。金太郎飴のミメーシスが許されるのは守られた井の中の大人の世界だけですw)
リチャード・ドーキンスは『利己的な遺伝子』の中で、ボートレースにおける、ボートが個体、ボートを漕ぐ8名の選手がそれぞれ遺伝子というメタファーで説明しています。何度もレースが行われ、いつも勝ち残る遺伝子をコーチは探します。そしてそのコーチこそが自然淘汰です。
ともあれ、定義によれば、運、 不運はランダムに起こるのだ。だから、一貫して負けの側にある遺伝子は不運なのではない。だめな 遺伝子なのだ。(リチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』)
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*40周年版も即買いしてしまいましたw
弱肉強食とか、個体保存や種の保存という考え方がどうしてもぬるっとしていて、しっくりこないのは、そのセレクションが我々に見えないところで起きているからです。
それは遺伝子プールの中で起きているのであって、外に視えているものはその不完全な写像なのです。
最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である(ダーウィン)
この有名なダーウィンの言葉も個体ではなく遺伝子として考えると味わい深いのです(遺伝子自体が変化することは、最近の知見です。エピジェネティックスというだけではなく)。
進化には時間方向に沿った進化と共時的な進化があります。
いわゆる進化と言えば、時系列での進化です。
遺伝子というのはひたすらにコピーされていきますが(その点でもコンピュータープログラムと同じです)、稀にエラーが起こります(なぜ、エラーが起こるかと言えば、「完璧なコピーなどない」からです。不完全性定理が後ろに走ります)。
完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。(村上春樹『風の歌を聴け』)
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*もう何度読んだか分かりません!
免疫細胞などを考えても、大量につくってみて、ほとんど廃棄します。
遺伝子の完璧なコピーを支えているのは、とりあえずつくってみて、ダメなものを破壊するというヒューリスティックなシステムゆえかもしれません。
で、その検閲と破壊システムをすり抜けたのが突然変異(Mutations)です。
そしてその突然変異が器質となって発現し、環境の激変に持ちこたえ、生殖細胞にまで導入されて次世代に伝えられると、進化となります。
(たとえば、急激な氷河期のときに、血糖値が高いことが環境にとって優位となりました。血液が不凍液になるようなイメージなのでしょうかwそのことが糖尿病遺伝子が残っている理由とされます。これから科学者の予想通り氷河期が来るのだとしたら、生き残れるのは糖尿病の人かもしれません)。
でもこの垂直の進化はゆっくりです。ゆっくりすぎるほどゆっくりです。
たとえば、数百万年笹を食べ続けているクマであるジャイアント・パンダはいまだに消化器は肉食のままです(だから苦労して苦しんで食べています。しかし味蕾細胞が壊れてしまい、アミノ酸の旨味成分を感じることができないので、肉食にも戻れないというかわいそうな状況)。
700万年前には笹を食べ始め、200万年前には笹オンリーになったのに、まだ消化器は対応していないのです(なぜ食べれているかと言えば、腸内細菌叢が笹を分解するからです。そして驚くべきことに、笹専用腸内細菌叢と別に肉用の腸内細菌叢もまだ存在するそうで、、、、)
ということは、たかだか1万年前の新石器革命(農耕革命)に我々の消化器は対応しないよねーー、というのが、ダーウィニアンメディシン(Darwinian medicine)です。進化医学ですね。
加工食品が悪いとか、精製された糖や油がどうとか、添加物がーとか、そういうこともとても大事なのですが、それよりも根本的な問題は、我々の臓器は1万年では適応しないということです。
(引用開始)
ヒトのもつ消化機能は、およそ1万年前にはじまった農業の発明以前の摂取食物に対して適応している。(略)農業の発明以来、ヒトは穀物をベースとした食物を摂取するようになったが、進化に要する時間の尺度は長く、ヒトの消化管はまだ穀物ベースの食物に適応していない。ましてや、高度に加工された現代の食物に対して、到底適応しきれていないのである。
(『ヒューマン・ニュートリション』5.現代の食事炭水化物が公衆衛生に与える影響 pp.74-75)(引用終了)
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ですので、農耕革命以前の食事に戻しましょう!というのが、最近流行りのパレオ・ダイエット(旧石器時代ダイエット)。
(考え方はあっているけど、その食事内容が理念とあっていないので、問題があるかもというのが、「プラントパラドックスプログラム」ですねw)
というわけで(どういうわけだw)、アトキンスダイエット、糖質制限、パレオ・ダイエット、ナチュラルハイジーン(Fit for life、果物食主義 、フルータリアン)、ベジタリアン(菜食主義)、ビーガン(厳格な菜食主義)、China Studyとマクガバンレポート、マクロビオティック、Intermittent Fastingなどについて、まとめたものを「まといのば」がコンテンツ化します!
(たとえばジョブズが膵臓癌になったのは、極端な果食主義ゆえの、果物の毒性が原因という説があります。少量なら薬でも、大量なら毒になることはよくあります)
それぞれの理論というのはそれほど難しくありません。なぜ膨大な量になるかと言えば、、、食を巡る問題はデリケートでVital(命に関わる)ので洗脳に時間がかかるからです(もちろん厳密な議論には時間がかかるということはあります。しかしなぜ必要以上に冗長である必要があるかと言えば、書き換えに時間がかかるからです)
でもある方法を使えば、その学びを強烈に圧縮できます。
それは従来とは逆の考え方なのですが、効果はてきめんです(*^^*)
で、そのコンテンツをリニューアル版の美女ボディとして、リリースします。
(美女ボディは美肌クリームのコンテンツの一つですので、理論を含め今月の美肌プロ養成スクールでがっつりと公開します!)
というか、これはセミナーやセッションなどでは、来年夏に公開予定と言っていたのですが、ちょっと前倒しします。
なぜ前倒しするかと言えば、これが効果を上げるための方法論が見えたからです。
ダイエット法や健康法をもし安易にデザインするとしたら、「これを食べましょう」「これは食べてはいけません」、「この運動を5分やれば」みたいなものになりがちです。
もしくは数ヶ月間を息を止めて走るように、無茶をするか。
でも、それは持続可能な変化をもたらしません。
持続可能な変化というのは、まず脳内で始まります。
そして、生活をすぐに変えないことがポイントです。
え?
重要なことなので、繰り返しますが、
生活をすぐに変えないことがポイントです。
実はこの話はヨガスクールでも行いました。
我々は何か新しい知見を得ると、それに飛びついてしまいます。
その知見の良し悪しではなく、その「飛びつく」行為が良くないのです。
まずは、何も変えないと決めて、静かに学びます(ちなみにこれが「学びを強烈に圧縮できるある方法」です)。
知的好奇心にまかせて学ぶだけです。実践しないと決めるのですw
それぞれの食養生に欠けている視点というものもありますし、進化論から考えるとすっきりとすることもあります。そこらへんを「まといのば」流にまとめあげます。
そして当然ながら気功技術とトレーニングも多用していきます。
当然、重要なのはゴールです。
もし自分に応用するとしたら、ゴールがまず大事です。ゴールから演繹されて、知識が再配列されます。
だからこそ、最初はPlainにシンプルに知識を一気に修得していきます。
イズムに囚われなければ、学びは早いので。宮沢賢治ではないですが、「自分を勘定に入れず」が
最高の戦略です。
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
一日ニ玄米四合ト味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ (宮沢賢治『雨ニモマケズ』)
というわけで、お楽しみに!!
(あ、ちなみに、「なんで実践しないで、結果が出るんだ!」と不思議に思うかと思いますが、カラクリはシンプルです。
頭が変わると世界が変わるからです( ー`дー´)キリッ
というと、身も蓋もないのですが、たとえば、もっと物理に即すると、腸内細菌叢が変わり、味蕾細胞が変わり、胃腸が変わり、脂肪細胞が勝手に変わると、見えるものが変わり、食べ物の定義が変わるからです。
我々の食行動は意識的なものというより、半ば全自動の無意識的なものです。
無意識の巨大なシステムを意識の小さな手で押し止めようとするから、無茶があるのです。
それよりは、巨大なシステムの中枢のプログラムをちょこっと書き換えてしまうのが一番です。
巨大なシステムの結果の方に、すなわち普段の半ば無意識の行動に手を出すよりも、中枢のプログラムを書き換えるのが一番ということです)
というわけで、今月の美肌プロ養成スクールにて初公開です!!
美しく健康になるための方法を自分に実践しながら、他人にも施す仕事をやっていきたい方へ!!
美肌プロ養成スクール、是非お楽しみに!!!!
【美肌プロ養成スクール 〜美肌クリームを使ってビジネスを〜】
【日時】 8月18日(土)15:00~20:00(初日を15時スタートにします!)
8月19日(日)13:00~18:00
【場所】 四ツ谷のセミナールーム
【受講料】 230,000円(銀行振込、もしくはPayPalでのカード決済可能もです。請求先アドレスを記載してください)
【受講資格】 「まといのば」セミナー受講生(もしくはそれに準ずる方、他で「まといのば」の主宰のセミナーを受けている方もOKです)
【持ち物】 筆記用具
【お申し込み】お申し込みはこちらから。
【書籍紹介】
読む必要はありませんが、もし興味があるという人がいたら、その人向けに紹介します!!
植物が体内に仕込んだ毒(植物毒、レクチンというタンパク質)によって、我々の体内のシステムが壊されているという心臓外科医による食養生本です。
ちなみにだからといって糖質制限のように肉食を薦めていません(理由も明確で)。
そしていま普通に手に入る肉はほとんどが穀物でできているので、どちらにせよレクチンを大量摂取します。その上、多剤耐性菌のリスクは年々大きくなります。
腸内細菌叢、ミトコンドリア、進化生物学、ビーガンなどについて、これまでの知見を踏まえて、その良い点、悪い点が整理されて、その上での解決策を示しています。
面白いです。
でも、実践しようとして読まない方が良いと僕は思います(理由は上記のとおりです)。
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*文字数オーバーのために、書籍紹介はここまでです!
削除したものは、どこかでまた改めて紹介します。
特に進化医学については、きっちりと!