死から復活ということを、生物学的な死からの奇跡的な回復と考えると、ラザロも浮かばれません。
面白い例があります。
復活を信じないグループからひっかけ問題のような問いかけをイエスはされています。マルコ12章18節からの一連です。
話はシンプルです。ある女性が7人兄弟の長男と結婚しました。
しかし、長男は死亡、次男と結婚、しかし次男も死亡。三男と結婚。以下同様に続き、結局7人兄弟全員と結婚しました。
現在であれば保険金殺人などを疑いたいところです(いや、事実ではなく仮定の話ですが)。
で、イエスに質問です。
復活のときに、「この女はだれの妻なのでしょうか。七人とも彼女を妻にしたので」、と。
実際に7人と結婚しているけど、この場合は復活に際して、一妻多夫なのかという質問です。
アホな質問です。しかしひっかけ問題です。
それに対してイエスはばっさり答えます。イエスは「聖書知らなすぎ...」とバッサリです。
シンプルに回答を言えば、神とは生きたものの神であり、死んだものの神ではないということです。
「神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である。」(マルコ12:27)
ここらへんのイエスの態度ははっきりしています。
マタイ8章22節に有名な「死者は死者に葬らせよ」というシーンがあります。父を葬りたいという弟子に対して、先を急ぐイエスはついて来いと言いました。
終末とか黙示録などと言ったときに、つい我々は週末のような時間軸を考えてしまいます。ウィークエンドのような感覚です。来年か再来年に大地震が来るように、そのあたりに「終末」なるものが来ると思っています。
しかし終末は週末ではなく、いまここにあるものです。神の国と同じです。
その文脈で、十字架の死も復活も終末も考えない限りは、我々の心の中にイエスは立ち現れてこないでしょう(多分w)
ですから、我々はいつも瞬間、瞬間に死に、瞬間、瞬間に生まれ変わっているのです。
輪廻転生です。
そう考えると、映画「インターステーラ」の中で繰り返し繰り返し紹介される詩の意味が変わってきます。あの詩は死に瀕している人間に向けてのものですが、それは老いも若きも関係ないのです。
Dylan Thomas(ディラン・トマス)の “Do Not Go Gentle Into That Good Night”です。
こちらの予告編でも1分45秒くらいから流れます。
Do not go gentle into that good night,
Old age should burn and rave at close of day;
Rage, rage against the dying of the light.
おとなしく夜を迎えるな
賢人は闇にこそ 奮起するもの
消えゆく光に対して果敢に挑むのだ(映画字幕)
上記の邦訳は字幕をそのまま採用しています。
Old ageは本来は老齢でしょうが、ここではあえて賢者と訳されています。
これは詩の冒頭であり、のちにWise men,Good menなどと言い換えられているので、適切かと思います。字幕では、短いセンテンスで内容を端的に伝えます。
それに対して、鈴木洋美さんの訳(「映画で英詩入門」)ではこのようになっています。
あの快い夜のなかへおとなしく流されてはいけない
老齢は日暮れに 燃えさかり荒れ狂うべきだ
死に絶えゆく光に向かって 憤怒せよ 憤怒せよ
映画の中でも繰り返される中で「怒れ、怒れ」と訳されていました。
Rage, rage, が耳に残ります。
怒りましょう!
本人による朗読があります。詩は声に出して読むものですね。そして暗誦するものですね。特に、まだ我々が人間と動物の中間にいるときに、身体に叩き込んでおくものですね。
Do not go gentle into that good night,
Old age should burn and rave at close of day;
Rage, rage against the dying of the light.
Though wise men at their end know dark is right,
Because their words have forked no lightning they
Do not go gentle into that good night.
Good men, the last wave by, crying how bright
Their frail deeds might have danced in a green bay,
Rage, rage against the dying of the light.
Wild men who caught and sang the sun in flight,
And learn, too late, they grieved it on its way,
Do not go gentle into that good night.
Grave men, near death, who see with blinding sight
Blind eyes could blaze like meteors and be gay,
Rage, rage against the dying of the light.
And you, my father, there on that sad height,
Curse, bless me now with your fierce tears, I pray.
Do not go gentle into that good night.
Rage, rage against the dying of the light.
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この女はだれの妻なのでしょうか〜死者は死者に葬らせよ〜Do not go gentle...
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