ハタ・ヨガのハタとは陰陽という意味はむしろセカンダリーであり、月と太陽とか呼吸であるというような相補性とも言うべき意味は副次的でしかないと考えます(というか成瀬師の教えにより、我々もそれに強く同意するということです)。
*陰陽とは中国であり、Yogaはインドですが、しかしハタに陰陽という視点は有効です。ただ副次的に。
ハタとはむしろシャクティーであり、大いなる力です。それは猛烈な力であり、実際の筋力もそこに包摂されると「まといのば」では考えます。ボディビルダーやフリーウエイトの選手たちが猛烈な力を込めて力を込めて、爆発的な運動エネルギーを出す瞬間もまたハタなのではないかと考えます。
ボディビルダーでありトレーナーであるクリス・アセート(Chris Aceto)は火事場のクソ力と言います。これを毎回のトレーニングで発揮することがボディビルダーには求められる、と。
負荷が直接には筋肥大にかかわらないことはボディビルダーの常識でしょう。過負荷は間接的に筋肥大に関わるのです。すなわち、脳を経由するということです。
重量などの負荷 ⇒ 筋肥大
というリニアな関係ではなく、
重量などの負荷 ⇒ 脳の発火(ハタ) ⇒ 筋肥大
という関数であるということです。
この関数(関係)が理解できているアーノルド・シュワルツェネッガーなどは比較的に小さな重量で圧倒的なパフォーマンスを築くことができます。その視点でボディビルダーたちの話を聞くと非常に面白いです。
脳が発火すれば良いので、上手に脳を追い込めば良いということです。
上手に追い込むために負荷を使うのです。
そして脳を上手に追い込んでキツイトレーニングをすれば、負荷があまり大きくなくても、大きな筋肥大を期待できます(我々は筋肥大を目指してはいませんが、筋肉を鍛えるという点では同じです。筋肉を鍛えるとムキムキになるというのは、誤解です。我々はアライメントにフォーカスすることと、炭水化物を大量に摂らないことなどによって、上手に遅筋にアクセスして、しなやかマッチョを目指します。ここらへんのカラクリは非常に面白いと僕は考えますので、寺子屋「生化学」などを通して共有していきましょう)。
ちなみに脳を追い込む方法は、非常にシンプルです。
一言で言えばアライメントです。骨と骨の関係です。そして適切な負荷です(自重も含めた物理的な重量負荷と複雑なアーサナやアンシェヌマンなどの情報的な負荷です)。
ビルダーたちに言わせれば、そしてバレエダンサーもそうでしょうが、アライメントとはポジションということです。
正確なポジションをたえず維持するということです。
筋肉トレーニングをきちんとしたトレーナーについて学ぶときに、最初に(そして最後まで)口を酸っぱくして言われるのは、「正しい姿勢で」「正しく(身体を使う)」ということです。
バレエでも「ポジション」「ポジション」とやかましく言われますし、所作や作法のクラスでも「姿勢を正しく」と言われるでしょう。Yogaでももちろん正姿勢の意味でのアライメントや、正しい姿勢やポジションを(良い先生からは)やかましく言われます。
ボディビルダーの世界でもチーティング(日本語で言うカンニングとかズル)を戒(いまし)めます。すなわち、どんなに疲れてきても正しい姿勢をゆるがさないことが重要です。チーティングをして、変な姿勢でウェイトを持ち上げるとそのときは確かにレップス数を稼げて良いのですが、長期的には(実際は短期的にも)トレーニング効果が落ちるのです。
エゴを黙らせて、自分に忠実に、ポジションに忠実にトレーニングを積み重ねることが重要です。
もしエゴを有効活用したいのであれば、誰が見ていても見ていなくても、正確なポジションとアライメントで身体を動かすことに対して自尊心を満たす方向で活用しましょう。
ちなみにボディビルダーがもし負荷をかけることではなく、脳に負荷をかけることで効果が上がることを知ったらどうなるか?(これは実際のビルダーの言葉の引用を受講生には見せていますが、ブログでもいつかまとめます。アクセスできる情報のほうがリアリティが上がるでしょうし)
これもシンプルです。ケガが減るのです。圧倒的にケガが減ります。
ケガはなるべくなら避けたいエラーです。もし残念ながら起きてしまったら、素早くデバッグすることが重要です。ケガが起きたら、ますますハタをして、アライメントを整えることです。間違ってもRICEなどを妄信してはいけませんw(まあ、ここらへんも「正しいものは正しい」というヒステリックな神学論争になるので、余計なことを言わずに静かにしています)。ケガを上手に利用できれば、ケガというエラーを利用して身体をよりレベルアップさせることも可能です(そのためにケガをするという意味ではなく)。
我々はもちろんボディビルダーを目指しているわけではありませんが、筋肉を効率的に鍛えるという点では同じです。
ですので、学ぶべきはきちんとしたポジションとアライメントを維持すれば、そして正しく身体を使い続ければ、ケガを防げるし、筋肉は効率的に素早く鍛えられるということです。
ちなみに「私は激しい運動やスポーツもしていないし、ケガとは無縁です」と言える人は幸いです。そのような人にこそハタが必須です(イエスの山上の垂訓をパロった皮肉です、念のため)。
運動もスポーツもしたことがない、移動は機械によってばかり(車でも電車でも、飛行機でもセグウェイでも)行っている人は、身体がスパイラル状に劣化しながら、壊れていっています。ただそれに気付くためには、ある程度の身体のレベルが必要です。一般人(という言い方が適切かどうかは不明ですが、大多数の人)は全身にケガを抱えています(だからこそ、いわゆる普通の方を施術することを僕らは嫌います。なぜならケガの自覚症状もなければ、身体をきちんと変えていくモチベーションもゴールもなく、それなのに要求だけは偉そうだからです。無知は傲慢の源泉です。「気功は魔法ではない」などと言っても通じない頭の不自由な人を相手にするほど暇を持て余せません。残念なことですが)。
筋肉は運動器官であると同時に、感覚器官です。
うまくできたもので、平たく言えば、動けなくなると鈍くなるのです。
逆に動けるようになると、敏感になります。
敏感になるとは、身体の不調や積年のケガに気づきやすくなるということです。
ハタをしていて、身体のレベルアップが適切に行われれば、次々と身体は不調と痛みに見舞われます。そのときに、それを好機として、片っ端からそれらのエラーを修正していけば良いことです。
難解なアーサナができることや、急いでマッチョになること以上に、身体の基本的な耕しこそが重要です。目先のアーサナを追わずに、身体を深く耕し、ケガなどの岩を取り除くことです。耕せば耕すほど荒れ地に埋まっていた様々な障害が表に出ますのが、根気よく対処すれば長期的に豊穣な地になります。荒れ地から豊かな土地へと体質改善していきましょう。地道に愚直に、です。
気功整体師養成スクールやヨガ講習会でも話題に出しましたが、ハタを継続していくと、ハタと筋トレの区別がつかなくなります。ハタをしていることが、筋トレになり、筋トレもハタとしてやるようになります。ハタは猛烈に身体をゆるめますので、ストレッチ効果は抜群です。その意味でハタとストレッチも境界が消えます。ストレッチと筋トレがセットになる世界は圧倒的な本来のリラクゼーション状態です。リラクゼーションとは安静ではありません。身体を猛烈なエネルギーがかけ巡ることで起きる現象です(脳を酷使してもリラクゼーションになります。脳と身体を酷使する芸術やバレエは圧倒的なリラクゼーション効果があります)。
そうするとアーサナの質も変わります。巷のヨガ教室のように、アーサナが単なる引き下がった身体での、関節の可動域だけでやる陳腐な体操では成長など望めません。しかしアーサナが、筋トレでありストレッチでありハタであり、そして猛烈にリラックスするワークへと昇華すらなら我々が望む圧倒的な成長が望めます。それこそが攻めのヨガであり、身体を深く見つめる瞑想のヨガとなります(そのためにも正確な人体解剖学の知識が必要です。ここで言う正確さとは無駄な細かさでも、専門用語の正確さでもなく、ゴールに照らして有効であるという意味です)。
その領域を1期のYoga講習会、そして2期では目指していきます。
この感覚をつかめば、24時間ハタの臨場感は一気に上がります。
すべての所作、すべての動きがハタであり、アーサナであり、筋トレであり、ストレッチであり、リラクゼーションになるということです。
その領域(空間)では、脱力とはハタであり、アライメントを整えることでしかないことがよく分かります。そのためにもひたすらに土台をつくりましょう。足場をつくりましょう(どんなにアウターマッスルを間違えてつけてしまっても、その足場はアライメントを強烈に意識している限り、ハタと共に消えます)。
*Yogaスクールで圧倒的な身体を獲得しましょう!
*Yogaスクール1期の受講もまだ間に合います!
*ちなみにYogaスクールの受講生は「Yogaスクール開校!事前学習としてこれだけは読み込んで理解しておいてください!」を熟読しておいてくださいm(__)m
【参照文献】
ハタ・ヨーガ完全版/BABジャパン出版局
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脱力するとはハタをすること?!〜引き下げたら筋肉はむしろ固まる。ゆるむのは頭だけ〜
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