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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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筋肉を鍛えると、柔軟性は本当に失われるのか? 〜赤ん坊の柔軟性を目指してはいけない理由〜

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「筋肉を鍛えると、どうして柔軟性失われるのでしょうか?(もしくはそれは思い過ごしなのでしょうか)」

という趣旨のご質問をYogaスクールの受講生から頂きました。

これは今後の身体の成長を考える上で、かなり重要なテーマだと思います。

筋肉についてはつきやすい人とつきにくい人がいるというのはボディビルの世界では常識のようです。たとえば筋肉がつきにくいハードゲイナーとしてはブルース・リーなどがあげられます。



一方で筋肉がつきやすい人もいます。

基本的に筋肉は刺激に対して(メカニカルなものも代謝など含むケミカルなものも)筋細胞が破壊されて、それが回復する過程で成長すると言われます。

ですので適切な刺激とタンパク質(アミノ酸)が必要です。

で、きちんと筋トレして、きちんと栄養(タンパク質)摂取すると、筋肉は成長し鍛えられます。

しかし、その過程で柔軟性が失われるような感覚があります。筋肉が固くなり、動きが鈍くなります。

なぜでしょう?


このカラクリはシンプルで、新しい筋肉はまだ脳との接続になれていない新入社員のようなものだからであろうと考えます。即戦力として筋肉になったものの、まだまだその会社に慣れていない状態です。

ですから、新しく筋肉がついたら(胸板が厚くなり、腰が引き締まり、シックス・パックな人が増えてきました)きっちりハタをやることです。新入社員歓迎会のような、むしろ新人歓迎稽古のようなハタをがっつりやることです。




そうやって新しい筋肉をきちんとその会社(カラダ)のやり方に慣れさせることです。

これが1つです。

もう1つは柔軟性の定義の違いです。

赤ん坊はやわらかいと言います。これは筋肉が触って柔らかいという意味と、関節の可動域が大きいという両方の意味があります。

よく脱力や筋肉をゆるめるときに、「赤ん坊のような柔らかい身体に!」などと言います。
「まといのば」でもそう言ってきました。

かつては全員が赤ん坊として柔らかかったのだから、その状態の記憶を取り戻せば良い(その状態のフレームになれば良い)という意味で使います。




しかしこれは半分本当で、半分嘘です。

一種の方便です。

「私の身体はもともと硬いんですっ!」という人に対して、「いやいやあなたも赤ん坊のころは柔らかかったでしょう」という思考のフレームの書き換えのために行います。

成長する中で筋肉を固めてしまっただけで、使い方を改めれば「もとの柔らかい身体に戻れます」という意味です。

自分もかつては柔らかかったのだと思うと、人はなぜかそこに戻れるような気がします。

戻れるような気がすれば、あとはひたすらにトレーニングを積めば良いだけです。


しかし、よくよく考えてみれば、赤ん坊は柔らかくはありません。
いや柔らかいのでですが、その柔らかさは我々が目指す柔らかさとは違います。

少なくとも我々は赤ん坊の身体などをゴールにはしていません。

赤ん坊の身体の柔らかさの秘密は、単に筋肉があまりに無いというだけのことです。最初は立ち上がることはおろか寝返りすら打てないほどに筋肉がありません。彼らは必死で瞬間瞬間、筋トレを続けています。気付いたら寝返りをうち、首が座り、お座りし、ハイハイし、立ち上がったかと思えば、転び、歩いていると思ったら、もう走り回っています。

筋肉を鍛える日々です。

我々が赤ん坊から学ぶべきは、表面的な「柔らかさ」ではなく、そのゴールの臨場感の高さと変化率でしょう。


ひるがえって、我々が筋トレをして身体が固まるように見える現象ですが、これは第一に筋肉が新しくなり、脳の命令をすぐに反映できないということがあります(これは気合できちんと正確なトレーニングをして、新人を一気にベテランにすれば良いことです)。

もう1つは柔軟性に対する誤解です。

バレエでは引き上げという概念があります。

我々の言葉で言えば、腹圧をかけることで脊椎(セキツイ)のアライメントを整えるということです。ぐにゃぐにゃのセキツイをまっすぐにするということです(ぐにゃぐにゃと言っても、ぐにゃぐにゃと柔らかいのではなく、文字通りぐにゃぐにゃの位置にあって、その状態で固まっているということです)。


*積み木のようにそっと積み上げていくのがアライメントの感覚です。

腹圧をかけると身長が高くなるカラクリは、セキツイがきちんと直列するためでしかありません。
身長が伸びるだけではなく、内臓の負担は猛烈に軽くなります。ウエストも理想的に締まり、バストアップします。というか、その状態が本人の本来の状態だということです。ただ知識がないがゆえに、我々は本来の姿からは程遠い身体に甘んじさせられています(まあ我々は知識と情熱でこっそりとしなやかマッチョを目指しましょう!)

で、柔軟性に対する誤解という話ですが、赤ん坊のような筋肉が無いタイプの柔軟性というのがあります。筋肉がなければ、身体(骨)は自在に動きます。理科室のガイコツが夜な夜なカタカタ動くようなイメージです。しかしその柔らかさは全く使えないのです。

誤解を恐れずに言えば、泥酔したときの柔らかい身体です。死体のようにバランバランになります。酔拳のようにコントロールできることはまれで(笑)、コントロールの効かない身体です。

すなわち、筋肉がない場合と筋肉があってもコントロールが効かない(泥酔時や昏睡時)状態の柔らかさというものがあります。

鍛える前のかつての「柔らかさ」というのが、このタイプの柔らかさであった可能性があります。すなわち、引き上げをせずにグニャリと柔らかい状態です。すなわち、引き下げることで柔らかさを演出することも可能だということです。


しかし、この柔らかさは身体の上達を阻害します。

Yogaスクールでも柔軟性を阻害してでも、きちんと筋肉をコントロールするように伝えています。
ハタを気功ストレッチのように多用すれば、柔軟性をあっさりと獲得することは可能です。しかしそれでは、次のステージへ行けません。単に柔らかいのではなく、コントロールできる柔らかさを得るほうが良いのです。その方法は、いまは遠回りでも、王道であり結果的には最短距離となります。

ただ単に柔らかいだけの人を目指すのではなく、ただ単に柔らかいだけの人以上に柔らかく、ダンサーのようにコントロールが効く身体を目指します。

たしかに、引き下げてグニャリとした状態に比べると、ハタで鍛えたあとは一見すると固くなります。しかし、引き下げてグニャリと曲げるタイプの柔軟性はしばしばコアのコアの部分を強く固めることがありますし、ハタで鍛えているときちんと身体を細かくコントロールしないと、かつての柔らかさまで行けないことに気付きます。

しかし、知恵の輪をきちんと解いて、細かくコントロールして柔軟性を獲得しなおせば、もっと遠くまでいける身体が手に入ります。


*このアーサナのコツもヨガ講習会でやりましたね(^^)


端的に言えば、引き下がったた状態の柔軟性は赤ん坊の柔軟性と同じなのです。高度な動きに使える柔軟性ではないのです、一度きちんと大人として身体を鍛えて、その上で同じ柔軟性を獲得するべきということです。その点で、ハタは筋肉を鍛えながら、柔軟性を獲得する方法なので一挙両得です。ただ単純な柔軟性であれば、簡単ですが、少し複雑になると様々なコツ(骨)が必須になります(コツはこのブログでも公開していきます)。


ちなみに、余談ながら栄養失調のアスリートなど激しい運動をしてきた人の場合に、タンパク質を大量摂取する生活になると筋肉が一気に新しいものに切り替わります(身体は筋肉と骨と神経、それから体液でできています)。そうすると、筋肉が一気に硬くなるという体験をします。身体が重く、バキバキな感じで、動けない感じになります(これは糖断食の禁断症状とも似ているので、区別が必要です。もしくは断食モードに入っているときも同じ症状が出ます。ここで見分けるポイントは筋肉です。プロのアスリートなのに触ってみても筋肉が以前とくらべて圧倒的に硬い場合はこのケースであることが多いように思います)。

これは特殊なケースですが(割合として、アスリートは少ないので)、強制的に施術など気功整体で新人歓迎教育をする必要がある場合もあります。

実際にヨガ講習会などでも、気功整体を受講生に施すケースが増えてきました。

いずれにせよ、個人はひたすらハタを続けて、身体を理想的な状態へ移行させていくことです。どのケースであっても同様です。


2期以降は、1期のハタを継続しつつ、きっちりとアライメントを学び、身体の構造を学びながら、コツ(骨)を1つ1つ身体に染み込ませていきます。お楽しみに!


*Yogaスクールで圧倒的な身体を獲得しましょう!
*Yogaスクール1期の受講もまだ間に合います!


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