今日、セッションをしながら、シン・TENETスクール、そしてその特別編でもある異世界転生スクールの先の風景を、その方とシェアしていました。
僕自身は過去に遡れば未来となり、未来へ向かうと過去になるというウロボロスの蛇的な宇宙観を持つゲーデル先生のアインシュタイン解を深く信奉しているので(理解せずに信じるのが信仰のポイントです(笑))、「その先」と言っても、過去に遡るような感慨ですらあります。
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c.f.
ソクラテスという古代ギリシャの気の毒な哲学者がいます。
彼の有名な言葉とされているものは、この先の世界では言うことを許されないでしょうが、あえて書くとすると、、、、ソクラテスは結婚を強く勧めました。なぜなら、良い妻を娶れば幸せだし、悪妻であれば哲学者になれる、と。
そんな全方位を敵に回す発言をし続け、討論という名のイビリを続け、ディベートという名のイジメを続けたために、Youtubeだけではなくお茶の間の人気モノになり、とうとう何を思ったのかランウェイを歩くように、、、ではなく、ソクラテスの話しですね。
ソクラテスはとうとう民衆による裁判で死刑を言い渡されます。
とは言え、古代ギリシャの死刑は現代ほど野蛮ではなく、殺すのではなく自殺の斡旋でした。毒人参のジュースを仰いで自決するというものです。
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*真ん中で半裸の元気なおじいちゃん(享年70歳)がソクラテス。死ぬ前に家族は帰されます。近くにいるのはプラトンでしょうか。
そんなソクラテスに対して、友人たちは亡命を勧めます。
当然の提案です。
そもそも牢屋も鍵がかかっていません。いつでもご自由にどうぞと言うことです。
ただし亡命したら、もちろん祖国の地は踏めません。
亡命というとヌレエフを思い出しますね。
天才バレエダンサーであり、たしかに現代バレエの歴史を塗り替えた人です。
c.f.
ヌレエフのように亡命しようよ、とソクラテスの友人はソクラテスを諭すのですが、ここでソクラテスが奇妙な返答をしています。
この話を今日のパーソナルセッションでしました。
(引用開始)
まあこんなふうに考えて見たまえ。ここから逃亡しようと◻といっても何といってもかまわないが、◻している僕たちのところへ、国法と国家とがやって来て、僕達に近寄ってこう◻いたとして見るのだね、「ソクラテスよ、まあ一ついってくれ、いったいお前は何をしようとしているのだ。お前は、お前がしようとしている行動によって、われわれ法律と国家組織の全体とを、お前の力の及ぶかぎり、破壊するというちょうどそのことを企図しようとしているのではないかね。それともお前は、一度下された法の決定が何の実行力もなく、私人によって無効にされ破棄されるようなことがあっても、なおその国家は存立して顚覆を免れることができると思っているのか」と。
(略)
「ソクラテスよ、私達の言葉に驚かずに、答えるがいい、お前は問をかけたり、これに答えたりすることが習慣になっているのだから。それじゃあ、お前はわれわれと国家とに対してどんな苦情があって、われわれを滅ぼそうとするのだ?まず第一にお前が生を受けたのはわれわれのおかげではないのか、われわれの保護の下でお前の父はお前の母を娶りお前を産ましたのではないのか。」
(引用終了)
ソクラテスの著書(ではないのですが)として知られているものは「ソクラテスの弁明」とこの「クリトン」です。クリトンとは、クリリンとは一切関係のないソクラテスの長年の親友。
彼が亡命しよう!!とソクラテスを誘いに来るのですが、ソクラテスがお得意の話法でそれを断ります。ただそれだけの物語です。
ここで面白いのはその論理展開だけではありません(その論理展開とは一言で言えば「悪法もまた法なり」でしょう。違うか)。
面白いのは、国法と国家が人格化されていることです。
人格化されているばかりか、ペラペラとしゃべり始めます。
これがシン・TENETと異世界転生の先の風景です。
これは単なるメタファーでも比喩でも物語でも神話でもない重要な意味を持っています。
たとえば、このような物語は幾度も繰り返されています。
でも、目の悪い僕らはそれを物語や神話や比喩やメタファーだと思いこんでしまうのです。
違うのに。
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*ホッブズの主著「リヴァイアサン」の表紙。国家とは地上の神であり、レビヤタン(リヴァイアサン)という悪魔。その肉体は国民で構成されている。
我々は天動説を体感しつつ、地動説を信じるように、古いパラダイムを自明のものとしてしまいがちですが、理性を働かせ(グノーシスを働かせ)シン・TENETな世界を生きましょう!!