まずはテクニカルなことをいくつか。
深層外旋六筋に関して、「まといのば」ではネガティブなコメントばかりを出していますが、深層外旋六筋の拘縮が問題無いと言っているわけではありません。
ただ、それ以前にやることがたくさんあるだろうという話です。
トウシューズの選び方の前に、まずプリエだろ、みたいな話です。
優先順位の問題です。
たとえば、大腰筋がゆるんでいて、大臀筋もしっかりゆるんでいるのであれば、深層外旋六筋も見るべきです。深層外旋六筋と言っても、梨状筋を観る感じです。
深層外旋六筋について語る人の多くが、身体ができていなくて、頭でっかちに見えるので、ついからかいたくなってしまうのです。
解剖を良く知っていることと、自分の身体をきちんと知っていることはイコールではありません。特にペーパーテストに長けたタイプだと、ただの机上の空論になりがちです。
もっと身体に落とし込んでから、口を開いたら?と思います。
まあ、それはともかく梨状筋の施術方法ですが、これはシンプルです。
そもそも大臀筋が十分にゆるんでいれば、梨状筋は解剖直観で透けて見えます。
透けて見えるというのは、触れば梨状筋に触れられるということです。
脂肪は油の塊ですが、筋肉は水の塊です(←これかなり重要な知見。実際に施術の際に)。
ですので、大臀筋がいかに分厚くても、所詮(しょせん)水袋でしかないので、深層まで触れるのです。あとはランドマークをしっかり意識すれば、梨状筋に触れることができます。
そして梨状筋は多くの場合、強く拘縮しています。
というか、拘縮していない人は、梨状筋を意識に挙げられる人だけです(もしくは廃用性萎縮で筋肉そのものが無くなっているか)。
ですので、「梨状筋はどうやって施術すれば、良いですか?」という質問に対しては、「触ってゆるめる」、が回答となります。
ただその前提として、皮下脂肪が少ないこと(←かなり重要w)、そして大臀筋がしっかりゆるめられていることが大事になります。
大臀筋がゆるんでいて、ヒップの皮下脂肪が少なければ、梨状筋はその存在を強く主張してきます。
まさに透けて見えるのです。透けているように、触れることができます。
梨状筋に関しては、十分に小さな筋肉なので、普通に筋肉に対して圧迫をかけます。骨盤に向けて押し付けてあげれば(中間広筋や上腕筋と同じ戦略で)ゆるみます。
ただし、そのときに何らかの技術を流すこと、もしくは脱洗脳をかけましょう。その方が早くて済みます。マニピュレーション(手技)だけで練習するのも大事ですが、まあ時短になります。
手技のポイントはフィードバックが物理的に取れることです。
というわけで、梨状筋もしっかりゆるめていきましょう。
梨状筋とか、腰方形筋とか小胸筋とか、蝶形骨とか好きな人がとても多いのですが(大腰筋もそうですね)、それはおそらく見えないと思っているからです。
心と同じで、一見すると見えないものに価値を観る人がいますが、すべては明らかにされるのです。
小胸筋は余裕で触れますし、これも梨状筋と同じ戦略で、もしくは脇から大胸筋の下に指を突っ込んでも触れます。
腰方形筋も同じで、角度さえミスラなければ触れます。
でも、これらの筋肉は小さいのです。
見えないことで、価値が上がるわけでもありません。
知らない人が多いからと言って、価値が上がるわけでもありません。
(知らない人が多いから、ドヤ顔できるからといって、施術で結果が出るわけでもありませんw)
筋肉に関しては、ヒエラルキーが明確にあり、トップダウンです。トップダウンのトリクルダウンです。上位の筋肉からしっかりゆるめていきましょう。そして最後の仕上げに、細かな筋肉をゆるめます。
First things first.
です。
ただ、たまに困ったお客さんで、そういう筋肉を指定して、調子が悪いという方もいます。
腰方形筋のせいで、腰痛が、、、
とか、
梨状筋が固まっていて、坐骨神経痛が、、
とか、
小胸筋のせいで、腕神経叢の麻痺が、、、
みたいな人です。
そういう人には、きっちり付き合いましょう。
まずは、その筋肉に触れて、ゆるめてしまいましょう。
そこはきっちりお付き合いすることで、症状が改善する場合もあります(気分の問題ですが、、、、でも、身体の問題の多くは、気分の問題と知識の問題です。あとは栄養)。
きちんと相手の要望に沿いながら、その周辺や原因と思われるところを片っ端からチェックして、テストしていくことです。
ちなみに働きかけを一部分だけと思っている人は、セミナーを真面目に受け過ぎです。スクールでデモンストレーションするような施術を普段やる人はいません(たぶん)。
あんなバクチのような施術はしません。
もっと同時多発的に施術は行います。そして結果が出そうなところから、フィードバックをガンガン取っていきます。もしくはあっさり結果が出るところを、先にやって、相手を喜ばせつつ、難しいところを指摘して、相手の自尊心を刺激します(不思議なもので、深刻なケガや慢性疾患は誉れなのです)。
釣りに喩える人もいます。
たくさんの釣り糸を垂らしておいて、引きがあるものから順に対応します。
釣り糸が一本ということはありえないのです。正直、100本くらいを垂らしておいて、無意識に観察させて、反応があるものから、どんどんケアしていきます(かつては機関銃ヒーリングみたいな名前をつけていました)。
それが失敗しない施術のポイントです。
そして最大のコツは、、、「愛」です。
いや、マジで。
多くのヒーラーは治せば良いと思っています。
それは間違いです。
治すのはヒーラーのエゴと、手帳に書き込んでおきましょう。
クライアントにとって最も大事なのは、治ることではありません(いや、本当に)。
ちなみにかなり重い疾患を長く抱えている人に対して、魔法のように治して、、、クライアントが感激して泣くというのは、ドラマや映画の見過ぎです。いや、そういうことが無いとは言いませんが、意外とクライアントはショックを受けます。
自分の人生は何だったのかと、、。
むしろショックを受けます(ショックを回避しながら、喜ばれながら、魔法のように治す方法もあります)。
重要なのは、「治す」ことよりも、「愛」ですw(大事なので繰り返します)。
愛情を持って、相手を観ることができれば、相手のバックグラウンドや抱えているより大きな問題が透けて見えます。その問題が身体に反映して、疾患を起こしていることがわかります。
ですので、重要なのは疾患を治すことではなく、疾患を通じて、相手の抱えている問題を理解することです。
そしてその疾患ごとクライアントを受容し、愛することです。
いわゆるスーパーヒーラーみたいな人材はいらないのです。
彼らは自分の腕を見せびらかすためにヒーリングをしているようなものです。
しかし、そのエゴはいつまでも満たされず、苦しい思いをすることになります。
乾きがいつまでも満たされないのです。
称賛でも、お金でも満たされない地獄に陥ります(大丈夫、そんなレベルに達するヒーラーはそもそも超一握りなのでw)
それよりはクライアントを愛することです。
たとえ予言の賜物(たまもの)があり
あらゆる神秘 あらゆる知識に通じていても
愛がなければ私は何者でもない
むきだしの愛、むきだしの言葉 〜「最も小さい者のひとり」と蜘蛛の糸〜 2013年08月20日
余談ながら「愛する」って日本語としては馴染みがない言葉ですよねー。
東京帝国大学教授の地位を蹴って、小説家になった文豪が
I love you.
を
「月が綺麗ですね」と訳したとか。
彼はイギリス留学もしています。
ノイローゼになりますがw
その点で、ドイツで彼女を作った森鴎外とは違いますw
ちなみに、愛すると言っても、全力を注ぐのは、施術の時間のみ。
あとは無意識では考えても良いですが、意識では積極的に忘れましょう。
どれくらい忘れるかと言えば、再訪されたときに「はじめまして」とつい言ってしまうレベルで(冗談です)。
ですので、強いて言えば、パートタイム・ラヴァー(スティヴィーワンダー)ですね(って、悪い冗談です)。
【書籍紹介】
いや、面白かったです。
タイトルはAvalacheからの引用。
まさに正論って思います。