施術において、手首や肘を使わず、なるべく胸を使いましょう、と指導されることは多いと思いますが、「胸を使う」ってどういうことでしょうか?
ちょっと抽象的に感じる指導です。
中丹田を膨らませとか、ハートのチャクラを回せとか言われても、ますます抽象的な概念な気がします。
でも、解剖直観の視点から見ると、これはきわめて具象的なことです。
重要なのは胸です。
施術をする姿勢となって、実際に手を動かしてみましょう。そのときに反対側の手で胸に触ります。具体的に言えば、大胸筋に触れます。
そして、胸から手にかけて圧倒的に脱力させて、手のひらを吸盤のようにイメージして、手首や肘や肩はやわらかく、しかし固定して、手を動かそうとしてみてください!
そうすると、大胸筋が動いているのがわかります。
この大胸筋が動く感覚を大事にして、それを増幅していきます。
そうすると上手に施術ができます。
間違っても、手首でがんばったり、肘でがんばったり、肩をこわばらせてはいけません。
一番大きな筋肉は大胸筋ですので(三角筋やローテーターカフもありますが)、そこを最大限に使いたいのです。
スクール受講生の皆さんは、おそらく大腿四頭筋の施術の際に「胸を使う」ように言われていると思います。
手に力が入ってはダメです。
なぜダメかと言えば、その緊張が大腿四頭筋に伝わって(同調して)固まってしまうからです。
手は限りなく力を抜いて、ポサッと起きます(ただ吸盤のように吸い付いてください)。
その上で、背筋を伸ばし(姿勢を正して)大胸筋で操作します。
なぜ姿勢を正す必要があるのでしょう。
これはシンプルな理由です。
猫背の人というのは、大胸筋がすでに拘縮しているのです。ですので、動かせないのです。
固まっているものは動かせません。
ニュートラルなポジションに置かないと、使えません。
逆に胸を使うようになると、大きなエンジンを積んだようなもので、かなりパワフルに施術ができます。
ちなみに、「体重をかけて押す」と言ったときに、本当に体重をかける人が居ますが、それは言葉の綾のようなものです。
体重をかけてしまったら、ピサの斜塔状態になります。
クライアントにとっても、セラピストにとっても危険です。
体重をかけるとか、身体の重みをかけるという時は、基本的には股関節の屈曲を使います。
股関節の屈曲です。
意外と盲点になりがちな、股関節の屈曲です。
(プリエは膝の屈伸ではなく、股関節の屈伸でした(^o^)
膝関節と足関節はセカンダリーです)
股関節を曲げ伸ばしすることで、強いパワーを生み出します。
これが施術において、腰を使うこと、そして胸を使うことの意味です。
抽象的なお題目に感じますが、実は具体的で実践的な教えなのです。
重要なのは大胸筋であり、大腰筋なのです(それだけではありませんが)。
腰(ハラ)、胸と来たら、頭ですね。
頭の使い方はもっと大切になります。
その話はまた今度!!