天才と呼ばれる人の若い頃の作品が驚くほど普通であることに驚かされることがあります。
山の頂上に忽然とあらわれたかのように見える人々も、麓からコツコツと歩いているのです。
ラファエロでしたか、自分のこれまでやってきた努力を知れば、自分の作品を見た感動が薄れるだろうとまで言っています。
(レディ・ガガはHard workについて語りました。運ではなく、Hard workです)
天才とか才能とか素質に関する神話を捨てることが重要です。
「天賦の才能について、持って生まれた資質について話すのはやめてくれ!」とニーチェは言いました。
天才もコツコツと山を登り、レンガを積み上げていくのです。
(引用開始)
天才といえども、最初はレンガの積み方と家の建て方を習い、そのあとに材料をさがし求め、そして外観をととのえることに変わりはない。人間の活動はすべて、驚くほど複雑だ。天才の活動も例外ではなく、『奇跡』は一つもない。(引用終了)(『マスタリー』 p.438)
逆に早くに才能を見いだされてしまうと、守りに入りがちになるとも言います。
スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授によると、「神童は幼少のころから世間の称賛と注目を浴びるので、自分の『魔法』のような地位を守ろうとしてリスクをとらなくなり、学習の速度を遅らせてしまう」という。
同様に、コロラドスプリングスにある全米オリンピック・トレーニングセンターで50人の熟練のコーチに集まってもらい「15歳の最有力選手が2年後のオリンピックでメダルを獲得する可能性を正確に予見できますか?」という質問に対しても手を挙げたのは体操のコーチのみだったそうです。50人中1人です。そしてそれは体操の特殊な事情によるもののようです。
2年間でどこまで伸びるかは分からないのです。
我々はコーチ以上に自分の未来に対して悲観的です(と断定してはいけないのかもしれませんが、断定しておきます)。
面白いと思うのは、いわゆる才能開発所の教師たちに、どの子が将来才能を開花させるかという質問をすると、一様に「分からない」と答えることです。
これは未来予測は自分の「能力の輪」の中に無いから判断できないということです。
我々はつい様々なニュースについて、様々な事象について、自分が意見を発することができると思ってしまいます。判断する力を持つ、と。
でも、シンプルに「分からない」と答える勇気も必要かと思います。
才能を磨き上げることに長けている教師たちが、彼らの未来について聞かれたときに「分からない」と答えるのは非常に示唆的です。
まさに能力の輪を磨くことに長けている人は、自らの能力の輪の境界についても良く知っています。
このことはあの祈りを思わせます。
神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。
変えるべきものを変える勇気を、
そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えて下さい。(Serenity Prayer)
*アルコホーリクス・アノニマス(AA)が採用し、多くのスピリチュアル系の方が好む祈りですね。非常に重要な祈りです。
この祈りの内容を「能力の輪」で読み解くのであれば、、、
変えるべきものは能力の輪の中にあり、変えることのできないものは能力の輪の外にあり、「変えられないものと変えるべきものを区別する賢さ」は境界を知る知性にあります。
ニーチェの言う通り、我々は天才神話を忘れるべきなのです。
ニーチェはより踏み込んで、その天才神話とはCreativeAvoidance(創造的回避)だと見なします。
(引用開始)我々は、自分自身を高く評価しているにもかかわらず、自分にはラファエロのような絵を描く才能も、シェイクスピアのような劇的な戯曲を生み出す才能もあるとは思わないので、彼らの才能は並はずれてすばらしいとか、めったにない出来事だとか、いまだ神を信じているなら、天上からの恵みだと思いこむ。こうして我々の虚栄心、我々のうぬぼれが、天才崇拝を助長する。彼らは我々とはまったくかけ離れた存在である、奇跡であると考えれば、彼らは我々を傷つけはしない(引用終了)
天才は我々とは全くかけ離れた存在である、奇跡であると考えれば、天才の存在は我々を傷つけないのです。
逆に考えると、なぜ小さな集団がたくさんの天才を輩出するかと言えば、天才が全くかけ離れた存在でも、奇跡でも無いと感じてしまうからです。
天才というのがおこがましいとしても、「まといのば」もそういう集団として機能したいと思っています。
セミナーで隣に座っている普通の人が、普通に気功の高度な技を使っているのを見れば、意識は大きく変わります。そして聞いてみれば、その人も数年前までは気功の存在も知らず、知っても疑っていたと聞けば、奇跡でも何でもないことが分かります。
気功はただのテクノロジーです。
テクノロジーですし、ただのテクニックの集合です。
踊りのステップを覚えて、身体になじませていくように、武術の型を身体に落とし込むように練習をしていけば、誰でもできるものです。
「多くの天才は子供のころに周囲の人から才能を見落とされ、人知れずスキルを伸ばす」というのは、多くの人にとって福音です。
マイケル・ジョーダンは高校2年生のときに実力不足とみなされてバスケットボールチームの登録を取り消されます。その後も決して順風満帆ではありません。チャールズ・ダーウィンは教師たちから低学力児の烙印を押された金持ちのボンボンです。ウォルト・ディズニーもしかり、アインシュタイン、パスツール、ゴーギャン、エジソン、トルストイ、フレッド・アステア、ウィンストン・チャーチルとお馴染みの偉大な人々のリストが並びます。
彼らは「周囲の人から才能を見落とされたゆえに、人知れずスキルを伸ばす」のです。
僕らもそれに続きましょう!!!
【書籍紹介】
以上の引用は、
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また、ニーチェの引用は、お馴染みのこちらから。
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p.s.今月から新しく採用し、実際にMenTor生(終了生含む)に配信したOnLine MenTor版気功基本12setはかなり強烈な内容です。
12setだけを繰り返し繰り返し学んで、実践できれば、十分にプロとして活躍できます。
たくさんの教材の量に溺れそうになっている方は、12setだけを繰り返し実践してみてください。そしてとりあえずプロとしてデビューしてしまって、市場の荒波に揉まれるのも方法です。その方が加速学習ができます!