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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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世界が闇に沈んでいくとき世界というのは結局自分自身だということに納得せざるをえない(『悪の法則』

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気功の世界が非常に特殊な世界だと思っていると足をすくわれます。

 

少しばかり気功をかじり、少しばかり周囲を驚かせ、見知らぬ人に賞賛され、あたかもグル(導師)のように崇められたりすると、傲慢となり、勘違いを起こします。

 

 

自分だけが真理をつかんでいると感じて、自分だけが裸の王様であることを忘れてしまいます。

 

そうすると、発言が上滑りし始めます。

 

ある程度、共有された用語や定義された用語を自分勝手に語り出したり、間違って使い始めながら、そのことに気付かなかったりします。

 

学問や武道にきちんと向き合っていたり、身体操作やダンスなどをしていると、あまりこのような傲慢さには陥らない気がします。というのも、彼らには明確な規範があり、それは自分の外に存在することをよく知っているからです。だからこそ傲慢な勘違いくんが陥るような「俺がルールだ」ということにならないのです。

 

 

最近もメンターの受講生にアドバイスしたのですが、重い物を持ち上げる経験というのは大事です。いや、厳密には重い物が持ち上がらないことに気付く経験は大事です。

重い物を持ち上げるとは、筋トレのことです。

あまり言われることがありませんが、筋トレの教育効果というのは、自分がどれほどがんばっても、どんなに限界まで挑戦しても、どうしても上がらない重さがあることを身にしみて知ることです。

自分の限界が存在し、その限界は想像以上に手前であり、自分の力が微々たるものであることを身をもって知ることができます。身体と無意識に「限界」が書き込まれます。

 

そうすると人は謙虚になります。

その謙虚さや限界というのは、頭で創り上げたものではなく、現実であり、リアルであり、外にあります。

 

逆にその一方で、それでも変わらずに淡々と日々鍛錬を続ければ、かつて全く歯が立たなかった重さを軽々と持ち上げられるようになることも知ることができます。継続は力なりですし、良い意味でコツコツと積み上げることの重要性もまた無意識に深く書き込まれます。

 

今日は「全く無理」でも、未来には期待できるのです。期待値のコントロールで、現在の期待値をミニマムにして、将来の期待値をMAXにすることをナチュラルに実装できます。

 

 

圧倒的な他者や圧倒的な外部世界、自分の外にある規範性や、自分の外にある限界というものに自覚的であれば、良い意味で謙虚になり、そして、やるべきことにのみ集中できるようになります。

 

ある程度、優秀で、ある程度、努力もしているのに、うまくいかないという人は、多くの場合、甘やかされすぎているのです。

 

 

「この新しい大衆は、彼をとりまく世界に甘やかされてきたのである」(オルテガ) 2015-12-14

 

 

(引用開始)
誰かを甘やかすというのは、彼の欲望になんの制限も加えないこと、自分にはいっさいのことが許されており、なんの義務も課せられていないという印象を彼に与えることである。こうした条件のもとで育った人間は、自己自身の限界を経験したことがない。外部からのいっさいの圧力や他人との衝突のすべてから守られてきたために、そうした人間は、ついには、自分だけが存在していると思い込むようになり、自分以外の者の存在を考慮しない習慣、特にいかなる人間をも自分に優る者とはみなさない習慣がついてしまう。自分よりも優れた人間がいるという感じを彼に実感させうるのは、彼よりも強い人間が、彼に欲望の一つを放棄するように強制し、分を守り控え目にするように義務づけることができた場合だけである。
(引用終了)(オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」pp.80-81)

 

 

内部表現書き換えにある程度、習熟すると、一人一宇宙という感覚が明瞭に手に入ります。

この一人一宇宙の感覚はとても大事です(感覚ではなくて、理論ですが、その理論を体感することは大事です)。しかし、そのとても良い体感も、横滑りすると、傲慢となります。

 

 

ついには、自分だけが存在していると思い込むようになり、自分以外の者の存在を考慮しない習慣、特にいかなる人間をも自分に優る者とはみなさない習慣がついてしまう。

 

 

これは危険です。

 

 

ただ少なくともこのレベル(一人一宇宙)に達していない人は問題外です(ヒーラーとして、コーチとしてです)。

 

そのレベルに達したら、再び「彼よりも強い人間が、彼に欲望の一つを放棄するように強制し、分を守り控え目にするように義務づける」ことが必要となります。それは人間でなくとも、バーベルでも自然でも、法則でも良いと思います。

 

 

自分は深い深い井戸の中のその中の井戸の蛙でしかないのです。

 

 

気功の世界が特殊な理論だと考えると、つい裏付けとなる論文や研究などを知りたくなります(それを読む以前に、その前に基礎教養が不可欠だったりします)

 

たとえば、一人一宇宙や、自分が死ぬと宇宙(世界)は存在しなくなるという感覚(他の人の宇宙は存在しますが)は、特殊な特殊な世界の話しではなく、古代ギリシャから哲学の世界では繰り返し言われてきたことです(無知な者だけが、それを知らないのです)。

 

たとえば、映画『悪の法則』にはこんなシーンがあります。

そこには我々がようやく到達したと自負する真理の一端があっさりと開陳されています(ここでの「真理」とは、ある程度の普遍性を持った知識程度の意味で使っています)。

 

*映画もまた教養とIQと心がないと、見えてこないものがたくさんあるのです。

この主題歌もかっこいいですよねー。("Sail" by AWOLNATION

 

主人公が危機に巻き込まれる中で、有力者に電話で相談します。

その有力者が答えるのがこちら。

 

そう。人生は引き返せないことを悟る地点に来てるとね。」と言ったあと、こう続けます。

 

 

(引用開始)

 

世界を実際以上に暗いように言いたくないが、世界が闇に沈んでいくとき世界というのは結局自分自身だということに納得せざるをえない。

 

それを自分が創り出したものであってそれ以上でも以下でもないんだ。

 

あんたが死んで存在しなくなれば世界も存在しなくなる。

 

もちろんそのほかの世界が沢山残るわけだ。

 

でもそれは全部ほかの人たちの世界であって、それを理解するといっても幻として受けとめるだけのことだ。

 

唯一あんたにとって意味のある世界は消えてしまう。そして二度と戻ってはこない。

 

現実が全部なくなってしまった状態というのは意識には理解できないことだ。

 

実際になくなってしまえば理解するも何もないわけだがね。

 

あらゆるご大層な理念はその事態を前にしたとき内実は問われることになる。

 

 

(引用終了)

(p.150 コーマック・マッカーシー『悪の法則』引用者注:ブログでの読みやすさのために、適宜、句点と改行を追加しました。)

 

 

抽象度の階層性(レイヤー)というのはシンプルな原則に従っています。

 

下の階層から、上の階層は見えません。

 

4階から5階は見えないのです。しかし、逆に5階からは4階は見えます。

 

いやグラス・シーリングのようなもので下からも見えないことはないのですが、そこへ移動できません。そしてそのガラスは磨(す)りガラスでできていて、ランダムに見えます。

 

その意味で、下から上は見えないのです。

 

 

一方で上から下はよく見えます。5階から4階はよく見えるのです。

よく見えるというのは、法則に従い、そして整合的に見えるということです。

次にどうなるかを高い確率で予測できるということです(これはもちろん予知能力ではなく、統計的な推論です)。

 

上から下はよく見えるので、操作可能なのです。コントロール可能です。予測ができるので対応できるからです。

 

逆に下から上は見えず、見えていてもランダムなので、そこに秩序や整合性やオーダーが見えないので、何も見えないのと変わらないのです。

 

ですので、そこで下の階にいるものには「無知の知」が必要となります。

(不完全性定理ゆえに最上階が存在しないので、全ての者が下の階となります。一つ上の階という概念を煮詰めたのが「空」です。それは蜃気楼のようなもので、追えば逃げます)

 

 

上の階は見えないし、あたかも存在しないかのように自分には感じるけれど、確実に自分を超える系は存在することを私は知っている、ということが重要です。

 

確証も無ければ、見ることもできないけれど、しかし、理論的に知っているということです。

 

この無知の知によって、自分の無意識に軛(くびき)をしない限り、「ついには、自分だけが存在していると思い込むようになり、自分以外の者の存在を考慮しない習慣、特にいかなる人間をも自分に優る者とはみなさない習慣がついてしまう」のです。

 

そして、この習慣ができてしまったものに対して、それに気づいた上位レイヤー(階層)の者がたしなめる義務は存在しません。豚に真珠どころか、噛みつかれるので。

 

彼よりも強い人間が、彼に欲望の一つを放棄するように強制し、分を守り控え目にするように義務づける」というのは、幸運なことです。

 

 

僕自身は自分を傲慢に勘違いしやすい人間だと自覚していますが、一方で師匠やメンター達にはとても恵まれています。たしなめてもらえるのです。

 

その点、僕自身は自分のメンバーに対して(特にかつて熱心に通っていたメンバーに対して)、そのように「強い人間」として振る舞うことを、自分に課していましたが、、、最近は半ば諦めています。

怒りもしてきましたし、怒鳴りもし、爆弾も投下し、苦言も呈してきましたが、効果はほとんど無いので(厳密にはコストパフォーマンスが悪いので)、いまがんばっているメンバーに対して、希少なリソースを投下したいと思っています。

 

 

自分の限界を明瞭な形で知る経験を多く積むことで、良い意味で謙虚になります。そしてその謙虚さが自分の世界の限界を押し広げて、内なる世界を少し豊かにします。

 

それが筋トレでも、ダンスでも、武道でも、ビジネスでも、良いので、言い訳ができないレベルで自分の限界と自分の小ささや弱さを痛感する機会を多く持ちましょう。

 

逆説的ですが、それが自身を強くします。

 

鍛えてきましょう!!

 

 

 

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