以前はよく追い込んでいたものですが、最近は追い込むことに意味はないのではないかと思っています。
以前は、強いプレッシャーを受講生によくかけていました。
(今も必要なときはプレッシャーをかけます。チャンスというのは本当に一瞬なので、そこで掴んで、一気にモノにしないと、次のターンが来るのは10年後だったり、来世だったりwします。でもそれ以外のときはダラダラとやっていけば良いのです。慣性が最強です。言い換えれば惰性が最高です。惰性で成功しましょう)(もっと言えばほとんどの人は惰性で成功してしまっているのですが、その成功が本当に望んでいたことではなかったか、イメージと違ったために苦しみます。多分w)
でも、追い込みや強いプレッシャーは短期的には意味があっても、長期的には均(なら)されてしまって、むしろエネルギー効率が悪いと思うようになってきました。
PayPalマフィアのボスとして知られるピーター・ティールが自分の直したいと思っていることは何かと問われて、こんな風に答えています(2014年)
「若い頃をふりかえると、僕は不健全なコースを歩んできて、競争に勝つことばかりを考えていたのも不健全でした。そういう人間は、他の人と争う場面ではいい成績を上げますが、陰でたくさんの犠牲を払っているんです」
人は模倣(ミメーシス)する動物であり、他者の欲望まで模倣してしまうために競争が起きるとティールは自身の先生であるジラールの議論を紹介しています。
余談ながら、ミメーシスはもともとはアリストテレスの用語です。
アリストテレスの先生であるプラトンの提唱したティマイオスから生まれた概念です。
ティマイオスはプラトンの対話篇のひとつであり、その登場人物の名前でもありますが、端的に言えば、模倣です。この著作の中ではあの(悪名高きw)アトランティス伝説について語られ、そして建築家という意味のデミウルゴスが世界をイデアを模倣して作ったことが語られます。
この模倣の概念をアリストテレスも受け継ぎ、ミメーシスこそが人間本来のあり方であり、諸芸術の様式だと考えました。
Good artist copy, great artist steal.(Picasso)
*はじめて紹介したのはおそらくこちら「悲しいときにただ悲しい顔をしていても事態の改善はない」〜ジョブズもピカソも盗む〜
ジラールはそれに対して、人はミメーシス(模倣)は避けられないが、そこに丁寧さを加えることで、模倣による競争を避けられると考えました。
単純な模倣は、他人の希望を模倣してしまい、少ない財(それが現実には実在していなくても、たとえば世界杯のように)競争してしまい、熱狂してしまうのです。そして「陰でたくさんの犠牲を払」うことになります。
ティマイオス絡みで余談ですが、これのティマイオスに強く影響を受けたのがオリゲネスです。
悪魔学や聖書学を学ばれた方には懐かしい名前ですね。頻出でした。
言うところの悪魔、そして彼の天使たちについての真理、そも彼が悪魔になる以前は何者であったのか、何故に悪魔となったのかについての真理を弁えぬ者には、悪の起源は知られる由もない・・・・(オリゲネス、3世紀)
*オリゲネス(Origenes Adamantius, 185年頃 - 254年頃)は、古代キリスト教最大の神学者。いわゆるギリシア教父とよばれる神学者群の一人で、アレクサンドリア学派(英語版)といわれるグループの代表的存在。『諸原理について』(De Principiis)など膨大な著作を著したが、死後異端の疑惑をかけられたため、多くの著作が処分された。キリスト教の教義学を初めて確立し、その後の西欧思想史に大きな影響を与えたと評される。(Wikipediaよりw)
*西洋思想史はプラトンとオリゲネスの脚注に過ぎないとも言われます。
そして、このミメーシスならぬティマイオスをしたデミウルゴスと言えばグノーシスがそしてユングが創造主であり怪物として捉え直した「神」でした。
オリゲネスはグノーシスに対抗し、グノーシスを取り込んだ(取り込まれた)原始キリスト教の教父です(のちに異端とみなされます)。ちなみに「知る」という意味のKnowは印欧祖語のGnoが由来で、グノーシス(gnosis)と同じ語源です!(kとgは無声音か有声音かの違いでしかありません。そしてKnowはかつてクノウと発音していました)
追い込むことと、プレッシャーをかけることと、競争をあおることは似ていて、短期的には良い成績をおさめますが、長期的には厄介です。
もっとシンプルで良いのです。
たとえば、ホメオスタシスということを定義に則って考えると、我々は「がんばる」必要がないことがわかります。
ホメオスタシスとは環境との相互作用です。環境が変わると、生体は変わらないために変わります。
暑くなると汗をかくのは、体温を急上昇させないためです。
恒温動物として体温を維持したいために、汗をかくという変化を行うのです。
体温を変えないために、自分が変わるのです(汗をかく)。
ということは、環境を上手にデザインしてあげれば、身体は変わるのです。
汗をかくように変わるのです。
変わらないのは、自我だけです。自己イメージと言っても良いでしょう。
たとえば、ある集団の中に属すると、ミメーシスによって、その集団の場のホメオスタシスに同調してしまい、勝手に能力がつきます(我々は日本語圏にいるので、日本語を習得しました)。
ということは、自分がどの集団(コミュニティー)に属しているかを、定義し直せば、汗をかくように能力が着くということです。
ハンズ・オブ・ストーンという映画の中で伝説のトレーナーに扮するロバート・デ・ニーロがこんな風に言います。
It's all in the head.(すべては頭の中さ)
*パナマ出身のボクサーであるロベルト・デュランの伝記映画。
「すべては頭の中次第だ」と伝説のトレーナーであるレイ・アーセルは繰り返し言います。
考え方次第で、牢獄の中も牢獄の外にいると考えられる、と。
ボクシングも身体は三分の一で、あとは頭だと。
(そう言えば、シルヴィーギエムという往年の大バレリーナが、つま先をほめられたことに対して、でも大事なのはつま先ではなく、ここなの、と頭を指さしていたことを思い出します)
平たく言えば、その集団に入る必要はなく、入っていると思えば良いのです。
理想のコミュニティーにすでに属していると考えてしまうことです。
その上で安心して、淡々とシンプルにやるべきことをやっていくと、、、気付いたら高い山も登りきったことに気付けます。
シンプルなことをシンプルにやるということで思い出すのは下のCMです。
南アフリカの文盲のおじいちゃんが、ある日、思い立ってABCからゆっくりと学ぶというCMです。
感動的です。
*New Bells South Africa TV Ad
我々も現状に対する期待値をとことん下げて、淡々と楽しんで学んでいきましょう。
ABCからで良いのです。CatをKatとしても良いのです(周りが指摘してくれます)。
ただ、いつの日か(それも意外と遠くないときに)大きなゴールを達成できるという未来への期待値はMAXにしておきます(そのMAXが成長していると日々更新されてしまうので、毎日ゴール更新が必要なのですが)。
このマインドセットで、争わず、プレッシャーをかけず、淡々とやっていくと、意外と早くゴールは達成されるのです。
徒然草でも言われていますが、下手くそでも気にせずに上手い人にまじってやっていれば、才能がある人を超えて成長していくと言います。
(引用開始)
能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。うちうちよく習ひ得てさし出でたらんこそ、いと心にくからめ」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。いまだ堅固(けんご)かたほなるより、上手の中にまじりて、毀(そし)り笑はるるにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜む人、天性その骨(こつ)なけれども、道になづまず、みだりにせずして年を送れば、堪能(かんのう)の嗜まざるよりは、終(つい)に上手の位にいたり、徳たけ、人に許されて、双(ならび)なき名を得る事なり。(引用終了)吉田兼好『徒然草』
(うまくできないうちは、こっそりと練習して、上手になってから人前に出よう!とか言っているやつで上手になったやつはいない。むしろ全く素人のうちから、うまい人の中にまじってガンガン練習して、バカにされても笑われても気にしないで淡々とやると、才能があっても稽古しないやつとかよりよっぽど上手になるし、Topに上り詰めてしまうこともあるよ)
というわけで、是非、気功に興味があり、きちんと学びたいと思うならば、もっと勉強してからと言わず、飛び込んでみて下さい!!
(ただ逆を言うようですが、納得するまで過去記事をとことん読みたいと思ったら、読むのが正解です。セミナーなどLiveでも自分が知っていることしか、吸収できないので。まずは過去記事で自分という関数を書き換えるのが急がば回れです)
というわけで、直近のセミナーはこちら!
セミナーを受講したあとは明らかに系が変わるので、同じブログ記事を読んでも理解の深さが変わります。臨場感も変わります。成長が加速します!
【はじめての気功『スプーン曲げとレモンの味変えという魔法 〜身体アップデートへの応用〜』】
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ティールの競争についての引用はこちらから。
キンドルになってページ数という概念が消えて、少し厄介です。
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オリゲネスの引用はたしかこちらから。
悪魔学などは寺子屋でバックナンバーも販売していますので、そちらも参考にしてください。
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精悍な身体で敵役を演じるUsher(アッシャー)はそもそもはグラミー賞受賞のR&Bシンガーです。
彼が演じる役のモデルとなったボクサーのシュガー・レイ・レナードに会ったときに、「自分を演じるのには太り過ぎだ」と言われたそうですΣ(・∀・;)
そのときで体脂肪率8%だったそうで、、、そのアッシャーが採用した減量法がこちら。
いろいろな減量法を試してもダメだったのに、、、、というやつですね。
このときの話も面白くて、ルー・タイスがボクシング大会をしたのに通じます!(ボクシング繋がり?!w、いえいえ、弱い紐帯の強さをMAXにできる人が強運なのだなと思います!)
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