気の存在を体感してもらうためのワークとして、合気道で「折れない腕」というワークがあります。
脱力して腕が長い長いホースの一部のように感じ、そこに大量の水が流れると考えると、どうやっても腕が折れないというワークです。
よく合気道の公開演武の前にエキシビション的に屈強な男性に協力してもらうという形があります。
屈強な男性にしっかりと腕を握ってもらい、それを小柄な華奢な師範があっさりと投げるというやつです。
ご承知のようにこのカラクリは「しっかりと握る」という点にあります。力を入れて握れば、弱くなるのです。逆に軽く触れるようににぎると強くなります。
パラドキシカルですが、これは筋肉にカラクリがあります。
まとめると、、、、
力を込めて強く握りしめる → 弱くなり
脱力して、軽く触れるようなイメージで握る → 強くなる
です。
このカラクリはシンプルです。
基本的には運動エネルギーというのは、筋肉から生まれます。
しかし筋肉が生み出すエネルギーにはアクセルとブレーキがあるのです。
腕を曲げるときに上腕二頭筋を使いますが、そのときにブレーキとして上腕三頭筋が働きます。
すなわち、二頭筋で屈曲させている最中にも、三頭筋はブレーキとして機能しているのです。
ですので、筋肉が生み出す力というのは(上腕二頭筋ー上腕三頭筋)という式になります。
ただ本人が出している力の総和は(上腕二頭筋+上腕三頭筋)です。
ここにパラドックスが生じるのです。
本人は猛烈に力を出しているつもりでも、それはアクセルとブレーキを同時に思いっ切り踏んでいることになり、エンストしてしまうのです。それよりはアクセルを少しだけ踏み、ブレーキをなるべく解除していれば、スムーズに出発できるのです。
これが脱力のカラクリです。
脱力とは力を抜くということではなく、筋肉を適切にコントロールするということです(その結果として必要最低限の力で圧倒的なパフォーマンスができるのです。逆にそのようにしない限り高いパフォーマンスは発揮できません)。
人の体は拮抗する筋肉で構成されています。
単純化すれば、屈筋と伸筋です。
屈曲方向に大きな力を出したいと思ったら、思いっ切り力を入れて(ブレーキも思いっ切り踏む)のではなく、なるべく脱力して必要なだけアクセルを踏むのが一番です(ブレーキはなるべくかけずに)。
がんばっている状態(自分の体感)・・・・・屈筋+伸筋
実際の運動エネルギー・・・・・・・・・・・屈筋ー伸筋
です。足し算と引き算なのです。
屈筋に100、伸筋に90の力を使うとすると、100−90=10なので、10の運動エネルギーが外に生み出されます。
一方で、屈筋に30でも伸筋に10の力を使うとすると、30−10=20なので、さきほどの2倍のエネルギーを生み出せます。
使っているトータルの力は100+90=190と30+10=40なので、5倍も違います。
5倍もエネルギーを注いで、2倍負けているので、効率は10倍です。
これが合気のシンプルなカラクリです(これだけではもちろんありません)。
脱力が奨励されるカラクリはこのようにシンプルです。
とするといかに力を抜くかといことは課題になるわけです。
しかし、そこで終わってしまっては勿体無いのです。
実際はここからが楽しい合気と気功の世界のスタートです。
折れない腕の技はたくさんあります。
気の流れを止めたり、逆流させたり、小さな指をわずかに曲げることで関節のゲシュタルトを屈曲に変更させるのも有効です。腕の下に台があると考えて、それを破壊するのも有効です。
気の流れが大きな円を描いて、相手の肩に到達すると考えても、OKです。
肘にぶら下がるイメージで肘を先に下げるのも有効です。
術者が気功が使えるのであれば、気功をガンガン使いましょう。たとえば自分のクンダリーニやセンターを発火させても強くなります。丹田でも強くなります。腸腰筋を発火させても強くなります。
ひたすらいろいろな技術を召喚しては、折れない腕ごっこを楽しむと、いくらでも遊べます。
そしてそれぞれの技術の精度や効果がクリアになってきます。
昨日のセミナーでもやりましたが、そこに合気の「赤い糸」を足しても面白いですし、Dotsを足しても相当に面白いです。
今回紹介したいのは、Dynamic丹田です。
これまでは静的なモデルであった丹田ですが、実際は丹田というのは生き物であり、活発に動きます。それをあえてダイナミック丹田と命名しました。その感覚を強く味わってほしいからです。
たとえば下丹田はコロコロといつも動いているボーリングの球のようなイメージです。
十分に重いけど、いつもコロコロといろいろな方向に動くのです。
目指していけないのは不動心です。心が動かないのは最悪です。誰かが哀しんでいても、誰かが喜んでいても、心が動かないのではロボットです(そろそろロボットも感情を理解し始めます)。
心は動きたいのです。心が動いても、感情に振り回されなければ大丈夫です。
そのためにも下丹田のボーリングの球をコロコロと動かしましょう。
まず下丹田を強く持ちます。
強く持つコツは下丹田の気功技術が召喚された気の玉を強く下腹部に入れることです。そのときに思いっ切り力を入れれば入れるほど、下丹田が強くなります。
今回のセミナーでは、この下丹田のテストとして、片足立ちの折れない腕をやりました。
受け手が片足立ちになります。
しばしば脚でバランスを取り、脚で踏ん張ってがんばる人がいます。これは決して悪いことでは無いのですが、軸の感覚が悪くなります。脚で踏ん張らないでも下丹田だけで、片足で十分に勝てることを体感してもらうためのワークです。
かなり高度ですが、皆さんきちんとできていました。
その上で、両足でも片足でも良いのですが(最初は両足で)下丹田をゆらゆらさせます。ゆらゆらゆらゆらさせます(高岡先生はヘラヘラと言いました。ヘラヘラ腰と。名言です)。その状態になると、別次元に強くなります。
固めて強くするのではなく、ゆらゆらさせてより強くするのです。
驚いたのはデモンストレーションでやったY字をやりながらの折れない腕を成功させた受講生がいたことです。
場のレベルが上っていくことは嬉しい限りです。
口先や妄想ではなく、客観的に評価できる気の強さとテクニックを持つことは重要です。気功はどうしても内にこもりがちになります。他人とワークしていると言っても仲間内だけだと、厄介です。グル(導師)化してカルトのようなコミュニティーで自分たちだけで妄想が暴走しがちです。でもそれは軟弱な土台のひ弱なものでしかありません。外の世界で使えないのです。
(メンターのメンバーは仕事で気功を使っている人が多いのですが、それはとても良いことです。日々、外の世界で闘っているのと同じことだからです)
客観的な能力を絶えず評価されることが重要です。
評価されていれば、どうやっても傲慢になれなくなるのです。
むしろ打ちのめされることばかりです。そしてそのような環境の中で、「じゃあ、自分は何が得意なのだろう」「自分はどのニッチをやりたいのだろう」と冷静に考えられます。
きちんと地に足の着いた気功の上達を目指しましょう!!!
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