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ゲーデルは不完全性を、チューリングは計算不可能性を、チャイティンはランダム性を発見した。

ゲーデルの不完全性定理が重要であることを知っていても、その証明がどのようなものであるかを知る人は多くありません。

チューリングはチャイティンは偉大ですが、それはすでに仮想にせよリアルにせよ(Lispにせよ)その計算の大半はブラックボックスの中で行われます。

それに比べてゲーデルの偉業は手作業で行われます。

エクセルとそろばんのようなものです。

いや、スパコンと手計算と言っても良いかもしれません。

 

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*ゲーデル!

 

ただ途方もないことに、ゲーデルはすべての論述命題を書き出すという無茶を行っています(無限にあります)。

ですので、彼は最古のコンピューターを用いました。

それは古代ギリシャから受け継がれているコンピューターです。

そう自然数です。自然数というのは奇妙な性質を持っています。

 

自然数は素数とその積(合成数)で成り立っています。

 

自然数=素数+合成数(素数の積)

 

です。

 

そして合成数の素因数分解は一意的に決まります。この素因数分解の一意性を巧妙に用いることで、無限にある論理式をすべて自然数の形で表すことに成功します。

 

この手並みはあまりに鮮やかで論理的です。

 

 

ゲーデルの不完全性定理の論文を猛烈に圧縮すると以下の通りとなります。

 

どんな形式体系も、論理式は外見上、原子記号(変項、論理記号、括弧、句読点)の有限列であり、どの記号列が意味ある論理式であるか否かを正確に記述することは容易である。同様に、証明は、形式上(ある特定の性質をもつ)論理式の有限列に他ならない。もちろん、メタ数学的な考察においては、原始記号そのものがどんなものかは重要ではなく、われわれはこの用途に自然数を割り当てることにする。

すると、論理式は自然数の有限列、証明は自然数の有限列の有限列となる。こうしてメタ数学的概念(や命題)は、自然数や自然数の列についての概念(や命題)になる。(略)さて、以下では、体系PMで決定不能な命題、つまりAもnot-Aも証明できない命題Aを構成する。(略)以上の議論がリーシャルのパラドックスと類似していることが注目される。「うそつきのパラドックス」とも密接に関わっている。(脚注14どんな認識論的パラドックスも、決定不能命題の存在論の同様な証明に使える)(略)

 

附記

 (略)その後の発展の結果、とくにA.M.チューリングの仕事のお陰で、いまや形式体系の一般概念について厳密で、疑いなく妥当な定義が得られるようになり、それにより定理ⅥとⅪの完全に一般的な表現が可能になった。すなわち、つぎのことが厳密に証明される。ある程度の有限的算術を含むどんな無矛盾な形式体系にも決定不能な算術命題が存在し、さらにそのような体系の無矛盾性はその体系において証明できない。

『プリンキピア・マテマティカ』およびその関連体系における形式的に決定不能な命題について』

 

 

記号論理学を学んだことがある人は分かるように、論理式を証明するというのは、中学校のころにやった多項式の計算と似ています。ひたすらに上の行から下の行へと計算を続けて、これ以上計算できないところまで行きます。多項式の計算はそれで終わりですし、論理式であれば、その形を見れば、真か偽かは即座に判断できます。

 

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 © Nattanon - Fotolia.com

 

ということはすべての論理式は文字の羅列となります。言い換えれば、「原子記号(変項、論理記号、括弧、句読点)の有限列」です。その十分に長い有限列を一定の手続き(アルゴリズム)に従って解いていくのが証明であれば、証明は有限のステップにおさまります。

適切に原子記号に自然数を与えれば(そして論理記号が累乗であったりすれば)、すべての論理式にユニークな自然数を与えることができます。

そうすると「論理式は自然数の有限列、証明は自然数の有限列の有限列となる」というのは納得がいきます。

これってバイナリーと似ています。

プログラムを最後に0,1に置き換えるのと本質的には変わりません。

ゲーデルは十進法であらわしていますが、それを二進法に変換しても何ら変わりません。

 

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これで自然数というコンピューターの準備が終わりです。

 

そこに魔法の粉をひとかけら振るだけです。

 

その粉はいわゆる「嘘つきのパラドックス」として知られるものです。

 

「この命題は偽である」とか「私は嘘つきです」という命題です。この命題が真か偽かは実は決定不能です。この決定不能命題が上記の自然数コンピューターには不可避的に含まれるということをゲーデルは示しました。

 

「この命題は偽である」の何が問題なのでしょう。

 

「この命題」の「こ」が指し示すのは「この命題は偽である」という文章全体です。命題とは文章と思って構いません。

 

もしこの命題が偽ならば、「この命題は偽である」という命題が偽なので、「この命題は真」ということになります。この命題が真であるならば、「この命題は偽である」という命題が真であるといことになるので、偽であるということになります。

 

こんがらかりそうですが、是非、ご自身で作業してみてください。

 

真なら偽、偽ならば真とコロコロ変わるのです。

 

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*真なの偽なの?どっちなの??

 

「私は嘘つき」という命題も同じです。

嘘つきならば、すべての発言は嘘なので、この発言も嘘ということになります。

よって「私は嘘つき」ではないとなり、私は正直者になります。

厄介です。

私は正直者だとしたら、「私は嘘つき」という命題も真実です。

ということは、正直者ゆえに、私は嘘つきということになるのです。

ここでも矛盾が生じるのです。

 

私は嘘つきだけど、一度だけ本当のことを言ったなどと例外を設ければ良いのですが、論理の世界はどこまでも堅物です。例外を認めないのです。

 

自己言及のパラドックスとして古くから知られているパラドックスを、見事にメタ数学で記述したのが、ゲーデルの偉大さです。

 

ちなみによく誤解されますが、自己言及自体がパラドックスを生むわけではありません。ある種の自己言及がパラドックスを引き起こします。

 

たとえば「私は正直者です」という自己言及命題はパラドックスを引き起こしません。仮に「私は正直者」という命題が真だとしても、正直者が自分を正直者と言っただけなので、問題ありません。

 

この命題を見事に自然数コンピューター(素数で動くコンピューターです)に放り込んだことで、自然数論における不完全性定理を示しました。

 

さて、以下では、体系PMで決定不能な命題、つまりAもnot-Aも証明できない命題Aを構成する。

 

このAでもnot-Aでも証明できないという命題こそが、決定不能命題です。
タイトルになっているところの決定不能命題です。
ちなみに、ゲーデルの不完全性定理の正式なタイトルは「『プリンキピア・マテマティカ』およびその関連体系における形式的に決定不能な命題について」です。

プリンキピア・マテマティカと言ってもニュートン先生の物理学の本ではありません。

ラッセルとホワイトヘッドの論理学の書籍です。

 

ちなみに、ゲーデルの不完全性定理が嘘つきのパラドックスだと言うと、それは違うと批判する数学の先生方がいますが、お言葉ながらゲーデル先生も認めています。

 

以上の議論がリーシャルのパラドックスと類似していることが注目される。「うそつきのパラドックス」とも密接に関わっている。(脚注14どんな認識論的パラドックスも、決定不能命題の存在論の同様な証明に使える)

 

嘘つきのパラドックスとも密接に関わっていると書いてあります。

 

ちなみにゲーデルはこの論文を一巻目として、次に数学全体で証明する方法を模索していたようです。しかしチューリングがサクッとお手製のヴァーチャルなコンピューターで示してしまいます。

それを見て、ゲーデルとしては自分がやろうと思っていた仕事が終わったことを知ります。

 

静かにこう書いています。

 

その後の発展の結果、とくにA.M.チューリングの仕事のお陰で、いまや形式体系の一般概念について厳密で、疑いなく妥当な定義が得られるようになり、それにより定理ⅥとⅪの完全に一般的な表現が可能になった。

 

まあ、疑いなく妥当な定義が得られたのは良かったです。

 

そして、最後に高らかにこう宣言して終わります。

 

すなわち、つぎのことが厳密に証明される。ある程度の有限的算術を含むどんな無矛盾な形式体系にも決定不能な算術命題が存在し、さらにそのような体系の無矛盾性はその体系において証明できない。

 

論文を読むといつも思うのはそこに偉人の肉声が息づいているということです。

 

我々は少なくとも2つのことを手にします。

 

一つは不完全性定理が示された本質的なカラクリ(証明)の手触りを手にすること、そしてゲーデル自身の肉声を感じることです。

 

情報空間を疾走する人にとって、その中心にある虚無、いやランダムネスに触れるのは重要なことです。どれほど外観がプラトン的であり(カント的であっても)、その奥深い部分にはランダムネスがあり、それがむしろ世界をいつも若々しく瑞々しくしているのです。

 

その虚無に論理的に科学的に数学的にアプローチするのが、この講座です!!

 

是非、寺子屋「ゲーデルの不完全性定理」お楽しみに!!!

 

 

【リニューアル寺子屋第15回「ゲーデルの不完全性定理」】
【日時】 4月24日(火) 19:00~21:00(21:30まで質疑応答!22時半までやっていることも多いです(・_・;))
【場所】 東京・四ツ谷の「まといのば」のセミナールーム
【受講料】  3万円
【受講資格】 ブログ読者
【持ち物】 筆記用具と動きやすい服装
【お申し込み】お申し込みはこちらから。

 

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*クルト・ゲーデル

 

 

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4月予定のヒーラー養成スクールはちょっと変則的な日程ですが、GW中に開催します!(ですので、5月は2回スクールがあります!)


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日程決定!!

 

5月19日、20日(土・日)内なる覚醒スクール

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