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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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寺子屋「コンピューターサイエンス」の板書写真を受講生専用サイトで公開!

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受講生の皆様にはお待たせしておりますが、寺子屋「コンピューターサイエンス」の板書写真を受講生専用サイトで公開しました。

コンピュータサイエンスの肝となる概念は非常にシンプルです。
コンピュータとはチューリングやフォン・ノイマンたちが提唱した新しい考える機械のかたちですが、その機構はきわめてシンプルです。

形式化された論理学の一つにブール論理がありますが、すべての論理式は4つの論理回路で構成でき、その回路も物理的に作成可能です。Not, Or, AndそしてCopyという4つの回路を組み合わせていけばすべてのコンピュータ回路が作れます。すなわちコンピュータの論理回路の原子(アトム)となるのは4つに還元可能ということです。

シンプルに体感として理解するには、コンピュータの中に小さなこびとさんがいるとイメージします。
そのこびとになって作業するつもりになりましょう!と寺子屋では伝えました。

こびとを構成しているのは、小さな手と小さな脳です。それだけです。
小さな脳は上記の4つの論理回路です。脳というほどのものでもなく(いやいや我々の脳もコンピュータというほどのものではないのですが)、小さな手とはビットの1,0しか扱えないほど小さいということです。コンピュータは絵も見ず、1と0以外の数字も見ず、文字も読みません。動画も見ずに、ひたすらに1と0を機械的に処理しています(機械だから当然ですが)。命令も1と0に還元されて処理されます。そして処理したものは1,0の羅列から、10進法の数に変換されたり、文字に変換されたり、編集された音声や動画として納品(出力)されます。

我々の脳をホムンクルスのメタファーで考えたときに、その脳というホムンクルスは身体の中にぷかぷかと浮かぶだけで、見ることも、触れることも、味わうことも、嗅ぐことも、聞くこともないのと似ています。彼(脳)はそれぞれの感覚器官からの情報を電気(イオン)に変換されて認識するだけだからです。脳は直接ではなく、間接的に世界に触れます、感覚器官を通して。

チューリングマシンもそうですが、非常に単純な作業を永遠とくり返す中であたかもきわめてクリエイティブで複雑なことを達成します。

セル・オートマトンはそのようなシステムの一つであり、上記の概念を目で見えるようにしてくれます。

パスカルの三角形も同じです。単なる直近の(上の段の)二つの数を足し合わせ続けるだけで、不思議な三角形ができます。

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その不思議さの一つに二項係数があらわれることがあります。パスカルの三角形からテイラー展開までは数歩でたどりつけます。

パスカルの三角形の出力結果を、2で割った剰余で分類するとします。すると美しいフラクタル状の図形が出てくることはよく知られています。
2で割ったら余りが無いか、余りは1のどちらかに分類されます。
2で割って余りが無い数を偶数、余りが1の数を奇数と呼ぶので、「2で割った剰余で分類する」というのは偶奇で(偶数、奇数で)分けるということです。
計算をしてから、偶数と奇数に分類をするのは大変なので、最初から偶数と奇数だけでパスカルの三角形を記述することにします。奇数を1、偶数を0です。

そうすると、このパスカルの三角形のアルゴリズムはシンプルになります。1か0しか出てこないですし、そのアルゴリズムはいわゆるXOR(エクスクルーシブOR)です。XORも4つの基本的な論理ゲート(And,Or,Not)からもちろん構成可能です。
すなわち、1+0=1、0+1=1、0+0=0、1+1=0です。最後の一つの奇妙さだけ認めれば普通のことです。奇妙と言っても、奇数+奇数=偶数と考えれば普通に見えてきます。

このXORでパスカルの三角形をひたすらに書き続けると(寺子屋では実際に手を動かしてやってもらいましたが)、コンピューターくん(さん)の気持ちになれます。超単純作業を永遠と繰り返します。1と0しかなく、回路は(この場合は)一つだけ。

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ところが上記のような美しいフラクタル様の図形が描画できます。
コンピュータくんは単純な作業を単調に繰り返し、実際に出力されるのは非常に複雑な図形というこのパラドキシカルな感覚を味わってもらえれば幸いです。これはコンピュータの中の人の感覚ということです。

セル・オートマトン的には下記のようになります(黒いままですが、クリックして拡大していただくと、描画されていきます)

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我々は自然を見ても、コンピュータを見ても、この複雑な秩序はどこからもたらされたのだろうと考えます(しばしばうっかり「神様の意思」を見てしまったりします。愛すべき無邪気さです)。だれがこの設計図を描いたのかと。しかし我々がコンピューターくん(さん)として描画していたときには、フラクタルも考えていませんし、シェルピンスキーのギャスケットのことも考えていません。ひたすら、1と0を処理していただけです。この感覚がコンピュータの感覚です。

このコンピュータのこびとの感覚を小さな系として閉じることが重要です。その感覚を繰り返し保持してから、量子コンピューターやチューリングマシン、フォン・ノイマン型、ユニヴァーサルコンピューティングなどを見ていけば様々なことがスルスルと紐解けると思います。

そんなことを考えつつ板書写真と音声教材で復習していただければ幸いです。

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【書籍紹介】
セミナーで引用した参考書籍です。
いずれもおなじみですね。
宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?/早川書房

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ファインマン計算機科学/岩波書店

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