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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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お腹を締めようとすると肋骨が出ます、、これって締め方間違っていますよね、、、

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「お腹を締めようとすると肋骨が出ます、、、これって締め方が間違っていますよね?」というご質問をいただきました。



バレエのよくある悩みの一つですよね。
肋骨下部が飛び出してしまうのは、やせ過ぎのせいとされていた時期もありますが、いまはそう考えられていません。

ものすごく踊れる人でも、肋骨が出ている人はいます(たとえばかつてのスティーブン・マックレーがそうでした。最高位になってから身体を修正するというのは、恐るべき努力だったかと推察します)。

バレエにおける引き上げというのは、ざっくりと言えば基本的には体幹の筋肉の収縮を指します。
なぜ体幹の筋肉を収縮させないといけないかと言えば、身体をコントロールするときの中心となるのが、体幹だからです。

体幹がグニャグニャであれば、四肢をどれだけ緊張させても、身体を保持できません。
体幹がグニャグニャというと、シルク・ドゥ・ソレイユやコントーションの身体を思い出すかもしれませんが、そうではなく通常の人の一般的な身体の使い方のことを指しています。

体幹と四肢の関係は、バレエにおけるパ・ドゥ・ドゥみたいなものです。女性がどれだけがんばっても、リフトする男性に力がなくて、タイミングが悪ければ、パ・ドゥ・ドゥは失敗します。




僕らは見えやすい四肢ばかりに力をこめようとしますが、実際に力を込めるべきは体幹です。

その意味で、脱力とは何かと言えば、四肢の脱力であり、逆に体幹には力を入れます(より厳密には体幹も抜いて、そこから順序良くマッスルコントロールする必要があります。順序正しく力を入れていくということです。筋肉をきちんと鍛えたら、どの方向でどの順番で力を入れるかというコーディネーションがきわめて重要になってきます。逆にこの順序をしっかり分かっていると、少ない筋肉でも効率的に動けます)。

というわけで、お腹を締めること、もしくは引き上げです。

またまた余談ですが、「引き上げ」や「吊られるように」という表現というのは非常に誤解を生みやすい抽象的な観念です。
「もっと引き上げて」とか「力ではなく、吊られているように」というアドバイスは物理学的に考えるときわめて奇妙な気がします。

そもそも我々のセンターを引き上げてくれるクレーンは用意されていないのです。
いや情報空間にイメージすればいいと言う人もいるでしょうが、じゃあ、やってみろと言いたくなります。

では、どうすればその指示に従えるのでしょう?



このカラクリはシンプルです。
物理学がこの謎を解いてくれます!

シンプルに踵で(正確には内踝の直下で)床を押すことです。

物理の授業で習った重心線のことを思い出しましょう。もし書き込むのが重心線しかなければ、我々の身体は床を突き抜けて地球の中心に落ちていってしまいます。

我々が床の上で踊れるのは、床からの反発力、すなわち抗力が働くからでした。

重力と抗力の拮抗関係ゆえに、我々は床の上で静止できます。

拮抗、まさにヨーガで言うハタです。


*ハタヨーガのハタとは月と太陽という意味で、拮抗する二つの力です。


とすると、さきほど観念的すぎるといって退けたところの「引き上げる力」、そして「吊る力」、これはどちらも下から上向きの力です。

上から何かに吊られると考えるとそのようなクレーン車はないのですが、下から突き上げると考えると、我々は床が存在することに気付きます。

すなわち、物理的な力としての引き上げ力、吊る力とは、床からの抗力であるということです。

床からの抗力を逃さないことこそが引き上げのポイントです。

たとえば、関節がクッションになってしまえば、踵から突き上げたエネルギーは消失してしまいます(ここで誤解しないで欲しいのは、関節を柔らかく使うことと、この議論は矛盾しないということです。これはまた別の議論が必要となります)。

実は床からの抗力こそが、引き上げの力であり、上から吊らされているというときの引っ張る力だとしたら、身体をまっすぐにすることが、重要になります。

踵にくる抗力を脛骨に伝え、脛骨に来た力を大腿骨に伝え、その力を骨盤、そして脊椎、そして頭蓋骨に伝達していくイメージです。

そのとき骨がグニャグニャしてしまっては、そのエネルギーが散逸してしまうので、骨のアライメントを正確にすることが必須となるのです。アライメントは審美的な要素もあるのですが、本質的にはエネルギー伝達のためです。そしてもちろん怪我防止のためでもあります。


ちなみにこの感覚を体感する良い方法は、内踝の刺激も有効ですが、坐骨が効果的です。相当に面白い変化が身体に起こります。
ペアワークですが、ひとりが腿を上げて、ひとりが坐骨を掌底(というか手根骨)で坐骨を突き上げるようにして叩くワークです(受講生にはお馴染みですね)。
坐骨は慣れないと探すのに少し苦労しますが、肛門のすぐそばと覚えておくとすぐに見つけられます。意外と坐骨同士は狭いのです。


By Fred the Oyster - , CC 表示-継承 4.0, Link
*3番が坐骨です!!


このワークで立ち方が変わり、姿勢が良くなり、全身の力が抜けてリラックスします。

このカラクリはシンプルです。骨に意識が通ったのです。
坐骨を刺激すると、その刺激は振動として(いわば音として)骨に響いていきます。
この骨の響きは非常に原初的な感覚を思い起こさせます。

我々が四足歩行から立ち上がったときの記憶です。このときに骨を貫いた感覚が身体の記憶として思い出されるのです(たぶん)。この身体の使い方こそが、遺伝子に書き込まれた使い方であり、それを思い出すことは一種の快感です。

その結果として、姿勢が良くなり、立ち方が変わり、全身の力がほどよく抜けて、リラックスするのです。ずっと忘れていた感覚を取り戻す喜びに身体の細胞が沸き立ちます。





さて、この「骨で立つ」というのは、きわめて重要なのですが、非常に不安定です。
それを筋肉の張力だけで、なんとかしているというのが従来のモデルでした。

最近は少し考え方が変わってきています。
筋肉の機械的な張力でいまにも崩れそうな骨を支えているというのは、正しいのですが、それ意外に別な意味での筋肉の張力、すなわち筋膜自体が体全体を膜のように覆ってそれも支えになっていると考えられています。

すなわち骨を中心にした父系的な大黒柱的な支えと、やわらかく全身を包み込む筋膜によって外側から押さえる形で支える母系的な支え(というか支配w)です(前者は家父長的リーダーシップで、後者は優しい独裁です。いや冗談です)。

いずれにせよ、骨と筋膜の両方の全く異なるアプローチがあるということです。

筋膜という考え方は万能に見えてきますが、誤解です。骨が無ければ、立つことすらできません。ですから、骨で立つは依然として有効です。


長くなったので、結論を急ぎます!!

骨で立つためにも、筋肉を引き締めることが必要です。

体幹は特に重要です(なぜなら体幹のコントロールによって、四肢も動かし、体幹も動かすからです)。


お腹を締めると言ったときに、腹横筋や腹斜筋で締めるのは当然ですが、これらはすべてお腹を筒状に覆ってくれるだけです。

実は底が抜けていて、蓋もはずれているようなものです。

筒状なのです。

ですから、底をつくり、蓋を閉める必要があります。

底は言わずもがなですが、骨盤底筋群です。ここはきわめて重要です。
この力が落ちてきていることが、脱肛や脱子宮をもたらします。尿失禁などもです。
いわゆる骨盤臓器脱です(これについてもむかし、むかしに書きました(*^^*))。


そして、蓋(ふた)にあたるのが横隔膜です。


*横隔膜は、かなり巨大な筋肉です。


ようやく今回の結論に至れます。


お腹を締めると肋骨が出るのは、お腹を締めて中身があふれてフタからもれているようなものです。

フタを閉めましょう。

すなわち、横隔膜のコントロールをしましょう!!

横隔膜のコントロールなんてできない!という人は呼吸を考えると、激しく運動して激しく呼吸しているときは、実は横隔膜で息をしています。横隔膜ももちろん筋肉ですので、鍛えれば使えるようになります!!!

というわけで、お腹を締めようとすると肋骨が出るのであれば、横隔膜をコントロールしましょう!!
(「え、いや、どうやって??」というのはまた次の課題です!)


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