Echo(エコー)とは何ですか?という質問を最近のヒーラー養成スクール受講生から頂きました!!
というわけで、Echoについて復習しておきましょう!!!
Echo(エコー)というのはもちろんギリシャ神話の登場人物の一人の名前です。
大好きな男の子のストーカーになったものの、全く振り向いてもらえず、ショックのあまりにヨーロッパのスーパーモデルも真っ青なくらいにガリガリにやせてしまい、2次元レベルに薄くなってしまって、しまいには姿が消えてしまったというかわいそうなニンフ(妖精)です。
ガリガリにやせて姿は消えてしまったものの(もしくは肉眼で見えるレベルでは観測不能な細さになってしまったものの)いまでも音はエコーしています。
エコーを耳にしたら、そこにかわいそうなニンフのEcho(エコー)を感じてみましょう(^o^)
*左手にいるのがエコー、水鏡をのぞきこんでいるのがストーカーされていることに気付かないナルキッソスくんです。
かわいそうなエコーちゃんは何を聞かれても、オウム返ししかできないので(まあ、そのようにゼウスの悪妻に呪われたのですが)、ナルキッソスくんに嫌われてしまいます。
そう言えばそんな詩が日本にもありましたね。
『遊ぼう』っていうと『遊ぼう』っていう。
『ばか』っていうと『ばか』っていう。
『もう遊ばない』っていうと『遊ばない』っていう。
そうして、あとでさみしくなって、『ごめんね』っていうと『ごめんね』っていう。
こだまでしょうか、いいえ、だれでも
金子みすゞ「こだまでしょうか」
*あれから5年ですね。
木霊(こだま)もまた精霊です。
それにしてもこの詩はロゴス(Logos)とエコー(Echo)を考える上で絶妙な詩ですね。
この子たちはオウム返しに見えて、心が通じあっていますが、エコーとナルキッソスは通じ合わなかったのかもしれません。もしくはナルキッソスくんは水に映る自分に夢中で(まあ、そう神々から呪われたので)系が閉じてしまったのかもしれません。
いずれにせよ、我々が建物の中で自分の声が反響するとき、そこにこだまならぬEcho(エコー)の姿を見ています。
で、このエコーですが、ヒーリングにも重要な技術として紹介しています(かなり以前からw)。
その使い方はシンプルです。
一言で言えば、きちんと人の話を聞くということです(「お前が言うな」というツッコミはスルーさせていただきます( ー`дー´)キリッ)。
そのときの聞き方のポイントは圧縮しないということです。
あるビット数の情報が音声情報として鼓膜を震わせたときに、我々はそれを脳内で文字情報に変換しつつ、同時に圧縮を開始します。圧縮可能な情報として、圧縮をします。
すなわち要約してしまうのです。
「で、結局、会社の愚痴だよね」とか「いつもの兄弟げんかだろ」とか「子育てはお前に任せたと言っているだろ」とか「お友達とは仲良くね」という風に圧縮した上に、いつものテンプレートで答えてしまいがちです。
これはジェンダー・バイアスな物言いかもしれませんが、わかりやすい例の1つとして書きます。
よく女の子が「話を聞いて欲しい」と男の子に言ってきたりします。
これはかなり正確に要望を伝えています。彼女たちは「話を聞いて欲しい」と言ったのであって、「この問題の対策を考えて欲しい」、「この状況を打開する正解を求めて欲しい」、「この人間関係を解決して欲しい」とは言っていないのです。
ソリューション(解答)が欲しいのではなく、聞いて欲しいのです。
しかし、男性はすぐに答えを出したがります。
火星人と金星人のスレ違いはこんなところから始まります。
そして善意同士がスレ違います。
「話を聞いて欲しい」と言われたら、まず正確に話しを聞くことです。
どれくらい正確に聞くかと言えば、言われたことを文字通りに復唱できるレベルに正確に聞きます。
「会社でこんなことやこんなことがあって、上司の誰々さんからこう言われた」というセンテンスを「課長からいつものように注意された」と変換してはいけないということです。
このセンテンスは正確に「会社でこんなことやこんなことがあって、上司の誰々さんからこう言われた」と聞くべきなのです。
そして重要なポイントは圧縮しないということです。要約しないことです。翻訳もしてはいけません。
僕は「トレースする」という表現が好きなのですが、トレースというのはたとえばアニメの絵の上にトレーシングペーパーを乗せてなぞるようなものです。トレースは追跡とか追いかけるという語感です。正確に相手が言っていることを追いかけます。
特にその言っている意味ではなく、音を追いかけます。
まさにこだまのように。
英語講座を受講された方はご存じのように(受講されていなくても、外国語学習されている方は御存知だと思いますが)、これはShadowing(シャドウイング)というテクニックです。
Shadowingとはまさに影のようにぴったりとついて、相手が言っていることを脳内で繰り返します。
そのときに邪魔をするのは意味の解釈です。
意味を追いかけてしまうと、影が本体から切り離されてしまいます。意味をむしろ無視して正確に音を追いかけます。
このShadowingを日常生活で母国語であってもやるのが、Echoです。
これはかなり強力なメソッドです。
かなり強力なので、NLPにせよ、気功にせよ、カウンセリングにせよ、必ずテクニックの中に含まれています(と思いますw)。
そしてこれはセミナーでも繰り返し言っていることですが、僕はこのEchoが天才的に上手なモデルとしていつも思い浮かべる女性がいます。
モモという少女です。
もちろん物語の登場人物(というか主人公)です。「モモ」というミヒャエル・エンデの傑作の主人公です。
ミヒャエル・エンデは、シュタイナーの忘れ形見であるシュタイナー教育を受けた人として記憶しているのですが、Wikipediaを見ると2年で退学とあります(晩年に日本語版を翻訳された佐藤真理子さんと結婚されています)。
ミヒャエル・エンデと言えば「はてしない物語」の印象があります(こちらも素晴らしいです)。
「はてしない物語」と言えば「ネバーエンディング・ストーリー」として映画化もされています、、懐かしい。
*この映画はまさにハッピー・エンディングなのですが、エンデのすごいところはこのハッピー・エンディングの後の醜悪さをきちんと描いていることです。映画は原作の前半分なのです。
ちなみに、昔はこうでしたよね~と老人の繰り言を言わせてもらうと、トム・クルーズの「カクテル」も原作はかなりディープに暗い作品です。映画を見て、原作を見る楽しみがあったものですが、今は映画と原作があまりに近すぎます。ケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストンのボディガードあたりからではないかと勝手に思っています。
しかし、オデッセイの原作本は面白いです。映画を見て「?」の部分が解消します!オススメです。
*かっこ良すぎるトム・クルーズ。
*かっこ良すぎるケビン・コスナー。
NeverEndingStoryはともかくモモです。
モモがまさにこの話を聴く人を体現しています。
僕等の言い方をするとEchoができているのです。きちんと傾聴できています。
なので、どのような言い争いも喧嘩も問題もモモの前で話すと解決していきます。
モモはMBA仕込みのソリューションを提示したり、システム構築をするわけではありません。
ただ聴くだけです。ただひたすらに聴くだけです。
聴いているだけで、問題が勝手に整理され、情報処理されていきます。
このときのカラクリが(勝手な想像ですが)Echoです。しっかりと聴いているのです。
ポイントになるのは、圧縮しないで聴くこと、そしてできれば声色までも正確に聴くことです。
たとえば文字に変換して、音声を捨ててしまってはいけないということです。音声ファイルも残しておきましょう。というか、文字はどうでもいいので、音声だけ残しておきたいのです。
そしてこれは次のフェイズになりますが、そのShadowingした音声をずっと頭の中でRepeatさせましょう。
これも語学学習のテクニックですが、Shadowingしたら、すぐさまその音を並行してRepeatingさせます。並列処理です。
これは徹底的にShadowingの訓練を徹底的にしたあとに、勝手にできてくるので、その時点で訓練を開始すれば良いと思っています。むしろ二兎追うものは一兎をも得ずになるので、Shadowingだけを徹底的にやるといいです。
道路掃除夫のベッポがこういうシーンがあります。
「一度に全部のことを考えてはいかん、次の一歩のことだけを考えるんだ。
すると楽しくなってくる。楽しければうまくはかどる。これが大事なんだ」(モモ)
「火星の人」(「オデッセイ」として映画化)の中にもこれは繰り返し出てきます。
艱難辛苦にあって彼は「一度に1つずつ」と何度も自分に言い聞かせます(これは4月にやるスクールでかなり突っ込んでやります!)。
エコーに関しても一気にRepeatingまでやらずに、ひたすらにありとあらゆることに対してShadowingだけをしていきます。
すると気づいたときに、音が視覚化されていて(音が大聖堂の中を飛んでいるのが見えるようなイメージです)、その音を見るとその音が再生されます。まさに大聖堂の中をパイプ・オルガンの音色が何重にもエコーして共鳴しているようなイメージです。
そして音と光が上から降ってくるように。
教会というのは母親の胎内のイメージであり、プラトンの言うような洞窟のイメージでもあります。
薄暗い中で上から光が降り注ぎ、見上げるとステンドグラスに聖書の世界の絵が(マリアや十二使徒の絵が)描かれて、パイプ・オルガンの音色もまた上から降ってきます。
これほど官能的なデザインもないと言えます。
気功技術「Echo(エコー)」も最終的にはそうなるイメージです。
脳内の大聖堂の中に無限に言葉がこだましている感じです。
【参考書籍など】
火星の人/早川書房
¥価格不明
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火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)/早川書房
¥691
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火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)/早川書房
¥691
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The Martian [Blu-ray + Digital HD]/20th Century Fox
¥価格不明
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わたしと小鳥とすずと―金子みすゞ童謡集/JULA出版局
¥1,296
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こだまでしょうか、いいえ、誰でも。―金子みすヾ詩集選/宮帯出版社
¥1,026
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はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)/岩波書店
¥3,089
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はてしない物語 (上) (岩波少年文庫 (501))/岩波書店
¥778
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はてしない物語 (下) (岩波少年文庫 (502))/岩波書店
¥864
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モモ (岩波少年文庫(127))/岩波書店
¥864
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モモが素晴らしいと思うのは1つに1つずつという原則をこう説明しているところです。
具体と抽象の美しい往復があります。相手の想像を喚起することができる具体的な内容で一気に抽象的な概念を導入してしまいます。
「なあ、モモ」と、ベッポはたとえばこんなふうにはじめます。
「とっても長い道路をうけもつことがあるんだ。おそろしくて、これじゃとてもやりきれない。
こう思ってしまう。」
「そこで、せかせかと働きだす。どんどんスピードを上げていく。ときどき目をあげて見るんだが、
いつ見てものこりの道路はちーともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。
心配でたまらないんだ。そしてしまいには息がきれて動けなくなってしまう。道路はまだ残って
いるのにな。こういうやり方はいかんのだ。」
「一度に道路ぜんぶのことを考えてはいかん。わかるかな?つぎの一歩のことだけ、つぎの
ひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだ。たのしければ仕事がうまくはかどる。こういう
ふうにやらなきゃあだめなんだ。」
「ひょっと気がついた時には、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。どうやって
やりとげたかはじぶんでもわからんし、息もきれてない。」
「これがだいじなんだ。」
プラトンの洞窟の比喩もそうですが、2500年経っても色褪せない比喩です。
これをたとえば映画を使って説明したら、100年も持ちません。
たとえば、いま幻灯機と言っても分からないでしょうし、無声映画であるトーキーも弁士もほとんど通じないでしょう。街頭テレビくらいしか分からないのでは?
しかし洞窟は永遠ですw
とは言え、いいですね~ベッポのセリフはしびれます。
「ひょっと気がついた時には、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。どうやって
やりとげたかはじぶんでもわからんし、息もきれてない。」
これがまさに「努力はいらない」のカラクリです!
あ、カクテルも忘れずに!
カクテル [Blu-ray]/ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
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カクテル [DVD]/ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
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感動的な原作です!!
カクテル (文春文庫)/文藝春秋
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ラストに紹介するのはかわいそうなエコーの物語が集録されているオウィディウスの変身物語です。
オウィディウス 変身物語〈上〉 (岩波文庫)/岩波書店
¥907
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気功技術「Echo(エコー)」とは音と光が響き渡る大聖堂のごとく
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