まずはいくつかお知らせを!!
今月開催予定だった寺子屋「はじめてのシュメール」と英語講座は2月に延期します!!
そして寺子屋シュメールの次はおそらくは最近予告しているとおり「日ユ同祖論」あたりをやります。
The lost tribesですね。
日本人のルーツは古代ユダヤの失われた10部族にあったという日ユ同祖論です。
これはなんというか僕はあまり好きではない説であり、一生涯、敬して遠ざけたいと思っていた説です(笑)
ただ最近の「まといのば」のムーブメントというか、ニーズを考えると、ここで「失われた10部族」の物語と古代日本、天皇制、そして「隠された十字架」で悪名高い有名な厩戸皇子こと聖徳太子(歴史から消えたり復活したりします)についても触ようかなと思っています。国家の発行するブロマイドであるところの紙幣にもっとも採用された歴史上の人物でもあります。
*聖徳太子と言えばこの肖像ですよね(^o^)
秋篠家の2人の麗しい娘さんがクリスチャン大学に入ったことなども(そしてそれがキリスト教大学であることにあまり驚きも反発もなかったことも)含めてざっくりと議論したいと思います。
昨年の寺子屋で取り上げましたが、フロイトの最後の著作が「モーセと一神教」でした。これはエジプトの神官モーセが起こした宗教としてユダヤ教を考え(それもアトン教の純化としてのモーセ教)、そして40年に及ぶ治世の末に殺されたという仮説でした。この仮説自体はユダヤ人フロイトが唐突に思いついたというよりは、有名なところで言えばゲーテなどもそう考えていましたし、繰り返し出てくる仮説です。
*自身をモーセと呼ばせたこともあるとユングにバラされたフロイト先生。お茶目ですね。
この「ユダヤ教=モーセ教」説自体は間違っていると思いますが、この仮説をもとにユダヤ人、ユダヤ教、そしてミシュナーの伝統などがくっきりと我々の眼前に広がりました。フロイトの本来の思想も「モーセと一神教」の赤裸々な記述から、はっきりと見えてきました(ユングの原型論についてのツッコミなども面白く)。
その意味で、フロイトの「モーセと一神教」は触媒として機能しています。
何かを学ぶというのは一種の化学反応だと考えれば、その化学反応を早めてくれる触媒です。
同様に日ユ同祖論についても、ここでこの劇薬を投下することで、この毒は有効な薬になるのではないかと思います。触媒から一歩進んでワクチンとして機能するのではないかと思います。
では薬が必要になる病とは何かと言えば、日本の歴史に対する過剰な感覚です。
もしくは記紀神話に対する過剰な感覚です。
なぜ過剰な感覚が生じるかといえば、そこが真空地帯だからです。心の真空地帯なので、そこを埋めようとしてしまいます。猛烈な引力があります。知識を猛烈に吸い込んでしまうのです。
そもそも歴史や宗教や思想、哲学というものに触れるときには、一定の免疫が必要です。
むしろ子どものころから、歴史や宗教や思想、哲学に次々に触れておくことで免疫をつけておきます。
免疫がないと、それほどの深みも新鮮さもない新興宗教の教義に絡め取られてしまいます。なぜなら、免疫がなく、染まりやすい真空地帯だけがあるからです。
たとえば、僕等が軽視しがちな新興宗教の教義というのは、きちんと読んでみるとかなり興味深いものです。
教義やそこに描かれる神話というか物語に強く惹かれるものがあります。
なぜ惹かれるのかと言えば、そこには様々な伝統宗教の教義や神話が散りばめられてRemixされているからです。元ネタを知らなければ、危うく感動してしまいます(^o^)(いや、感動しても良いのですが)
ちなみに、新約聖書における共観福音書がカンニングというか引き写しであることは有名です。
ちなみに、「カンニング」とか「引き写し」というのはひどい言い方のようでしょうが、前述のキリスト教大学で僕は牧師から受けた新約聖書学の講義でそう習いました。
先生いわく、期末試験などでカンニングしているか否かは答案を見ればすぐに分かる。カンニングしているものの回答というのは、些細な言い回しや送り仮名の間違いなどをそのまま書き写すから、と。すなわち主題が同じであるのは、当然として、細部の間違いまでもそのまま書き写すところが、カンニングのカンニングたる所以ということです。
それと同様なことが共観福音書にもある、とのことです。それがQ資料です。
そのオリジナルの福音書のもとのことをQ資料と言います。Q資料という言い方は屋上屋を架す感じで、Q資料のQはドイツ語の"Quelle"(資料)の頭文字です。
それとイエスの言行録であるQ資料をもとにしてマルコ福音書をパクりながら、マタイ福音書とルカ福音書が書かれたということです。
ですからマルコ1つを読むと、あとはコピペ感覚で残りが読めるのは事実です(もちろんそれ以前に4つとも同じイエスの伝記です)
同様に新興宗教の聖典もパクリです。
劣化コピーです。良く言えばシュンペーターの創造的破壊です!
イノベーションです。
イノベーションというよりは、シュンペーターの初期の言葉である「新結合(neue Kombination)」のほうがぴったりきます。
いくつかの伝統宗教の経典を「新結合」させて新興宗教の教義を創っているのが透けて見えます。
もちろんこの世に完全に新しいものはなく、すべてはリミックスですし、ロミジュリからWest Side Storyが生まれるように、新結合は世の常です。
しかし、少しばかり伝統宗教の教義を読んでいれば、どこが元ネタかは透けて見えます。
透けて見えると熱狂していたとしても、冷めます。冷静になってしまいます。
実際に新興宗教の教義というのは非常に良く出来ていて、一見すると読む人を熱狂させ、興奮させます。
「人生の回答がここにある!」と思わせるものがあります。
しかしその興奮の源は伝統宗教の教義であり、聖典なのです。それをパクっている劣化コピーのために、免疫のない初(うぶ)な人々はたちまちに感染してしまいます。
免疫がある人は感染しません。
日本教や日本の歴史をめぐるミステリーやユダヤ人をめぐる陰謀論などのミステリーも同じです。
端的に言えば、僕等にはほとんど免疫がないのです。
免疫がないから、あっさり感染して、熱病を熱狂と脳が勘違いして、ウィルスに身体を乗っ取られます。
GeneではなくMemeのウィルスもまた凶暴です。そしてmemeのほうは意外にも気づきにくいのです。
(Memeミームというのは「利己的な遺伝子」のリチャード・ドーキンスの造語ですね)
で、そろそろワクチンを打たねばと思ったりしたので、劇薬かもしれない「The lost 10 tribes(失われたユダヤ10氏族)」を投入します。
そこそこに感染力の高いウィルスです。
なぜこれを投下するかと言えば、免疫をつけるためです!
身体を鍛えるためですw
ある種の負荷ですね。
ワクチンというのは、「毒性を無くしたか、あるいは弱めた病原体から作られ、弱い病原体を注入することで体内に抗体を作り、以後感染症にかかりにくくする。弱いとはいえ病原体を接種するため、まれに体調が崩れることがある」とありますが、まさに負荷をかけて身体を鍛えるシステムです。
無邪気に感染して熱に浮かされているのも悪くないのですが、たとえば寺社仏閣を巡りながら、何を見るか、どう考えるかは知識に依存します。熱に浮かされていたら、見たいものしか見えないというか、幻覚しか見えなくなります。幻聴まで聞こえてくるかもしれません。そして熱に浮かされたまま、膨大な時間を失ってしまいます。
その前に予防接種を受けておきましょう!
免疫が無い状態でまわれば、簡単に日和見感染してしまいます。
とは言え、ちょっと膨大で、ちょっと恐ろしく、ちょっと誤解の多いテーマでもあるので、こっそりと開催したいと思います。
というわけで、今月の寺子屋「シュメール」は来月に延期し、その次の寺子屋は「失われた10部族」を通じてユダヤ人の歴史、日本の古代宗教、記紀神話、天皇制などについて俯瞰したいと思っています。
僕等はおそらく哲学や宗教を学ぶときに、対岸の火事のように眺めていたと思います。しかし自分のルーツに火がつくと、はじめて「対岸の火事」にも臨場感が沸くのではないかと思います。
ギリシャ神話は遠い日の花火ではないのです。いまここで起きている危険な火遊びなのです。我々を焼き尽くす火遊びなのです。
(そんなことも今月のスクールではやります!!)
英語講座も来月に繰り延べです!!楽しみになさってくださっている皆さん、すみません!!!
今月も来月も楽しく学び、楽しく進化しましょう!!!
【書籍紹介】
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寺子屋「はじめてのシュメール」と英語講座は2月に延期します!! 〜古代ユダヤの失われた10部族〜
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