ヒーリングをビジネスとしてやっていくには2つのパターンがあるように思います。
1つは依存させる型のビジネス。もう1つは自立させる型のビジネスです。
依存と自立です。
依存型のビジネスは簡単です。簡単というか安易です。
比較的安い単価で人を集め、大したことのない技術なのに、親密さを演出するだけのラポールと、脅しを少々ふりまいて、ともかく定期的に通うことをクライアントに進めます。その状況をホメオスタシス化させます。
僕は比較的に嫌いなタイプのビジネスです。
1回500円~1000円くらいの単価で大量に集めて、毒にも薬にもならない(というかその意味では、時間とお互いのエネルギーの無駄遣いな)施術を繰り返しています(やっているほうもよく嫌にならないなーと僕は個人的に思います)。
もう1つは自立を促すタイプのビジネスです。
基本的には高額であり、相当な技術をベースにして、知識と経験と実績をベースとしたラポールによって、明確なロジックによって施術を組み立てます。
基本は相手に自立と自律を促すので、耳に痛いこともきちんと言います。
知識不足や勉強不足、そして行動不足には容赦無い批判を浴びせることもあります。
ただ対価をいただいて、コミットする以上は、そのような「批判」もサービスの一貫と考えるのがこのタイプのビジネスです。
強烈に自律を促す「教育」という視点が背景にあります(「教育」を知識の切り売りだと考えいる知的貧困層は何か深刻な勘違いをしています。教育とは成長をサポートし促すことです。知識はただの触媒であり、二の次です)。
前者は相手をカモだと思っているか、自分のエフィカシーが相当に低くないとやっていられません。もしくはその両方。
後者は相手を人間だと思い、高いエフィカシーがないと続けられません。
クライアントは圧倒的に変わる存在だと信じて、自分がそこにコミットできると確信していないと、できないビジネスのタイプです。
なぜ変わると信じられるのかと言えば、それは自分も相手も「人間」だからです。
人の可能性を無条件に信じられる人でない限り自立型のビジネスは無理です。
そして人の可能性を無条件に信じられるということは、自分の可能性についても同様に信じられるということです。
自分が圧倒的に変われると考え、そして実際に結果も出しているがゆえに、他人に対しても可能性を信じ、可能性に賭けることができます。そこにあるのは「人間」に対する深い愛情と、可能性を信じる感覚です。
咒の文脈で言えば、目の前に可能世界が膨大に広がっていて、どこに行くのも等しく自由だと知っているという感覚です。
重要なのは知識ではなく、自我という関数をどう書き換えるかです。
「自我という関数を書き換える」ことを平たく言えば成長ということです。
成長を基本として考えれば、重要なのは知識でも技術でもないことが分かります。
まず圧倒的なゴールをたえず設定し、たえず更新し、そのことで自我が変わることが重要です。
その営みの総体が自身の自立と自律を促します。自律した個人しか、他者を見ることができません。
ですから、依存型ビジネスを採用する人は自身も依存体質なのです。依存を極めても依存にしかなりません。
気功は情報ビジネスですが、知識を切り売りするビジネスではなく、成長にコミットするビジネスです。
自分を蚊帳の外において、知識を切り売りしようと考える安易な精神では、せいぜいうまくいって依存型ビジネスしかつくれません。依存型ビジネスは心をなくさない限り、続けられません(なぜなら、結果が出ないからです。人は無意味な行為には耐えられないのです。シシュポスの神話です)。
自律した個人は自律した個人と向き合えます。
イエスの言葉で言えば、「偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい」となるかと思います(自戒をこめて)。
7:3 なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。
7:4 自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか。
7:5 偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。(マタイ7章)
(ちなみにキリスト教ではなく、イエスの言葉です。キリスト教は梁だらけです)
気功師はもっと気功での指導か施術を受け、コーチたちはきちんとコーチングをもっときっちりと受けたほうがいいと思いますし、ヒーラーは自分の身体にもっと向き合うべきですし(ヒーリングをされるべき)、教師たちはもっと自分の頭を鍛える教師につくべきです。
自らの自立と自律を絶えず模索しないと、凡庸さと無思想性という魔の重力に引きずり落とされていきます。依存型のビジネスが生き残れるほど世界は寛容ではなくなりますし、厳しくも楽しいのは自立型ビジネスです。
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ヒーリングでビジネスをやりたいと思っているときに忘れてはいけない視点 〜自分の目にある梁(はり)
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