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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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アイン・ソフ・オウルとペアノの公理

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カバラにおけるアイン・ソフ・オウルは見かけはシンプルです。

アインが0,ソフが00,アイン・ソフ・オウルが000です。

アインからアイン・ソフが生じ、アイン・ソフから、アイン・ソフ・オウルが生じたとされます。

0→00→000

ですね。

それぞれ

00
000
と書かれます。

0(アイン)は無と訳されます。Sunyaですね。
00(アイン・ソフ)は無限と訳されます。00というのは、8を倒した(無限記号)に見えないこともありませんw
000(アイン・ソフ・オウル)は無限光と訳されます。

これは「一は二となり、二は三となり、第三のものから第四のものとして全一なるものの生じ来るなり」というマリアの公理を思わせます。

マリアの公理とはシンプルに以下の通りです。
1→2→3→4としての全一


アイン・ソフ・オウルはいわゆる1進法の記載と同じです。

一進法と考えるなら、10進法との対応は、

1=0
2=00
3=000

となります。
一進法は単に数とその個数が同じような空間です。

2進法が0と1で構成され、
1=0
2=1
3=10
4=11
5=100
となるのに比べてよりシンプルです(まあ一進法なので当然ですね)。

アインがアインソフを生み、アイン・ソフがアインソフ・オウルを生みます。
この0→00→000はマリアの錬金術の中心公理だけではなく、ペアノの公理(Peano Axioms)をも思い出します。

ペアノの公理の中心は数学的帰納法であり、イメージはドミノ倒しです。
あるドミノが倒れると次のドミノを倒れます。その倒れたドミノがその次のドミノを倒します。こうやって無限にドミノが倒れ続けるのが数学的帰納法です。

n番目がn+1番目を倒すことを押さえておけば、あとは最初のドミノを押してあげるだけで十分です(いわば神の一撃ですねw)


1つのドミノが倒れると、次のドミノが倒れ、そのまた次のドミノが倒れます。ドミノが尽きるまで倒れ続けます。


そうやって、0というドミノが並んでいるとします。

ただこのドミノは倒れないと見えません。
倒れたときに見えるのですから、いわば超弦理論の弦のようです。この弦は振動しないと真空、振動してクォークなり物質になります(朝永先生は光子の説明に電光掲示板を使いました。これは確率論と重ねて非常に面白い説明なので、いつか紹介したいです。光子には顔が無い、総背番号がないという話です)。

というわけで、倒れないと見えないドミノが無限に並んでいます。

ます1つ目の0が倒れます。0ですね。
そしてその0が次の0を倒します。00です。
そして、その倒れた0が次の0を倒します。000です。

そんなイメージです。

ペアノの公理をさらっと確認しましょう(Wikipediaからの引用です)

・自然数 0 が存在する。
・任意の自然数 a にはその後者 (successor)、suc(a) が存在する(suc(a) は a + 1 の "意味")。
・0 はいかなる自然数の後者でもない(0 より前の自然数は存在しない)。
・異なる自然数は異なる後者を持つ:a ≠ b のとき suc(a) ≠ suc(b) となる。
・0 がある性質を満たし、a がある性質を満たせばその後者 suc(a) もその性質を満たすとき、すべての自然数はその性質を満たす。



「まといのば」風に翻訳すると...、

まず1つ目のドミノが存在し、任意のドミノはその次のドミノを倒します。
1つ目のドミノの前にはドミノは存在せず(当たり前ですね)、どんなドミノも次のドミノが存在します(これも当然に)。
そして異なるドミノの次のドミノは当然異なるドミノで、すべてのドミノはその性質を満たします!(もちろん、1つ目のドミノがある性質を満たし、n番目のドミノがある性質を満たし、その次のドミノもその性質を満たすとしたらという制約がありますが)。


ジョージ・ガモフの名著に「1.2.3...無限大」というのがありますが、ひとつ、ふたつ、三つのあとは「たくさん」という考え方は多くの文化圏に共通するようです。

これらを踏まえて、再びチョムスキーの発言を参照するとこれはまさに先験的な脳の機能なのかもしれません。



チョムスキーの引用を再掲します!

(引用開始)
この奇妙な有機体(人間)は、まず言語機能を得て、さらにある種の抽象化を行う能力を持っていたものですからそれを用いて言語特有の特性を全て切り捨てて、枚挙可能性の原理のみに集中した。こうして得られたものが、基本的に算術(自然数の概念)です。これが正しければ、いかにして神が自然数を創り、他の数は人間が作ったかというよく知られている直観の背後にあるものが理解できることになります。(引用終了)(ノーム・チョムスキー「生成文法の企て」p.354)


*チョムスキー!2月の寺子屋はチョムスキーに迫ります!


すなわち、このアイン・ソフ・オウルにせよ、1,2,3にせよ、ひとつふたつみっつにせよ、人間の生得的な言語機能の抽象化の可能性があるということです。


そしてそれらは本質的には脳の機能としての数学的帰納法であり、 n=n+1 というようなものであり、ドミノ倒しです。


【書籍紹介】
寺子屋・チョムスキーの教科書です!
生成文法の企て (岩波現代文庫)/岩波書店

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