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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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ジャニファー・ローレンスとリリト 〜ヘルマプロディートスとアルジャーノン〜

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ジェニファー・ローレンスが大蛇を身体にまきつけている写真がインスタグラムに出ていました。
まさにこれは神話における悪魔リリトそのものという感じです。

雑誌(Vanity Fair誌3月号)の撮影だそうですが、すごいです。




Instagramが貼付けられている自信がないので、スクリーンショットも


インスタグラムへのリンクはこちら

ちなみにリリトはこちら。


リリトも重要な悪魔の1人です。

最初は他愛もない悪霊だったのが、時代が下るにつれてどんどん昇進していきます。

恐怖が恐怖を呼ぶインフレがここでも起ります。
インフレーションというか、スノーボール(雪だるま)みたいなものです(バフェットが喜びます)。
悪魔の源流を仔細に見ていくと、悪魔は雲散霧消してしまいます。


他愛もない悪霊だったのが、リリスはずいぶんと昇格しました。
アダムの一人目の妻の座を射止めたものの、性交渉の際に自分が下になるのを拒絶し(アダムも下になるのを拒絶し)、その結果として別れたといういわくつきの女性です。

土からつくられたのがリリト、そしてアダムの肋骨からiPS細胞でクローンとしてつくられたのがエヴァです。アダムとは土、エヴァとは生命の意味です。

創世記にせよ他の旧約聖書にせよ(ヨブ記なども)、昔の神話のコラージュですので、どうしても矛盾が生じます。最後に編集者がきちんとつじつま合わせをすればいいのですが、面倒だったのかもしれませんw

ですので創世記において、アダムの奥さんとなる人は2回生まれます。最初は土から、二度目はアダムの肋骨から。
それがアダムの隠された一人目の妻リリトという物語を産んだのです。

ちなみに、リリトはのちにこれまた高名な悪魔であるサムエルと結婚し、幸せに暮らします。

アダムとエヴァを誘惑する蛇はサタンともルシファーとも言われますし、一方でこれはリリトだとする説もあります。



創世記には「蛇が誘惑した」としか書いてないので、宗教絵画では蛇として描かれることも多いのですが、このミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画は下半身が蛇で、上半身は女性です。

ちなみにこのミケランジェロの禁断の果実はイチジクです。リンゴではありません。葉っぱの形がイチジクです。
そもそも創世記の中で具体的な名称の記載があるのはイチジクだけです。
イチジクの葉が人類最初の下着です。



「禁断の果実」の「禁断」とは、まさにダチョウ倶楽部の上島竜兵さんの「押すなよ!絶対に押すなよ!」と同じです。神話における「禁止」は一種の焦らしみたいなものです。
見てはいけないと言われたら、鶴の機織りも、冥界から連れ帰る奥さんの顔も見たくなります。
食べるなと言われたら、食べたくなるものです。

それを逆手に取ると「まんじゅうこわい」です。

ですから、神様としても「押すなよ!絶対に押すなよ!」ならぬ、「食べるなよ、絶対食べるなよ」と言っているのでしょう。神様としては、人に成長してもらいたいわけですし、ほかならぬ神様ご自身が自分と同等か自分以上の存在になることを示されています(聖書の該当箇所を探しているのですが、まだ見つかりません。神と一心同体であるイエス様のお言葉です)。

禁断の果実を食べて、知恵を獲得すると善悪が分かるかどうかはともかくとして、もう後戻りできないとう意味だと思います。一度知ってしまうと(単なる知識ではなく、知恵として、抽象度の高い視点を獲得してしまうと)、もう無邪気に無知であった状態に戻れないのです。

その悲喜劇が創世記の楽園追放であり、そして「アルジャーノンに花束を」のテーマです。

アルジャーノンというかわいらしいそして自分と相似形の運命をたどったネズミの名前は、実在の詩人から名付けられています。

アルジャーノンはヘルマプロディートス(この名前からして両性具有的です。父ヘルメスと母アフロディーテの名前を受け継いでのヘルマプロディートスなのですが、その後の悲惨な運命をも暗示している名前です)の彫刻にインスピレーションを受けてこう書いています。
ちなみに悲惨な運命とは、このヘルマプロディートスはナーイアス(水の妖精)のサルマキスに見初められ、そして無理矢理襲われます。そればかりか、サルマキスの神への請願がかなって、二人は一体になってしまいます。それがこの彫刻のポイントです。二人で一つという両性具有です。



この哀しい運命とそして美しい彫刻にインスパイアされたアルジャーノンが書いたのがこの詩。


Shall make thee man and ease a woman's sighs,
Or make thee woman for a man's delight.
To what strange end hath some strange god made fair
The double blossom of two fruitless flowers?
男の姿をよそおって 女の嘆きを癒すがいい
女の姿をとるもよし 男を喜ばせるために
いかに奇妙な目的ゆえに 奇妙な神は善しとしたのか
実を結ぶことなき二輪の花が 重なり合うて咲き誇るのを?


実を結ぶことなき二輪の花」というのがいいですね。
言うまでもなく花とは植物において性器にあたります。

二重性、二面性と言えば、ローマ神話のヤヌスを思い出します。
我々は引き裂かれつつ一つであるような存在です!



AはAであり、Aでないことはない、一つは一つでしかないという幼い世界(楽園)から、我々は知恵の実によって自らを楽園から追放し、世界を多元的に見れる視点を手に入れるのだと思います!



【書籍紹介】
アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)/早川書房

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英語と日本語のヤヌス的なこちらもオススメw
アルジャーノンに花束を [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス/講談社インターナショナル

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