寺子屋の参考文献リストの第三弾です!
寺子屋というのは、「まといのば」が昨年5月から開催している大人のための学問講座です。
いまバックナンバー(音声教材)で学び始める方が多くいらっしゃいますし、また受講生にも良い復習になると思いますので、内容紹介と書籍紹介を1講座ずつ行っています!
初回の論理学、2回目の数学(微分・積分)と来て、今回は分子生物学です。
論理学ではまさにロジックを学び、数学では数学の言葉である微分・積分を学びました。これはどちらも欠かせない基礎であり、土台です。微分・積分は考え方はともかくとして、ツールとしては非常に使いやすいものですが、あまりに高校数学での導入が下手くそすぎて食わず嫌いな人が多くいます。
もったいないので、5分か10分か時間を取って、学んでください。
図形を学ぶときにユークリッド原論を読まないように、ピタゴラス教団の話からピタゴラスの定理を学ばないように、微分・積分も定義やら極限やらを無視してまずは機械的にアルゴリズムから入ると良いと思います。
論理学も論理計算を無視して、ざっくりと演算子と歴史を押さえてしまいましょう。もし論理計算を学ぶならば、プログラミングを学んだほうがいいですし、論理計算と代数学はいわば同値ですから、算数、数学でさんざん計算をやってきたのであれば、それを代替としても良いと思います(なぜか奇特にも「論理計算が楽しい!」という人もいます。ぼくもそうでした。そういう人はどんどんやってください。ゲーム感覚で)。
さて、分子生物学です!
分子生物学の最大のポイントは、生命は関数現象であるということです。
すなわち、入力→演算→出力です。
関数というのは、インプット(入力)があって、何らかの計算(演算)があって、何らかの結果が出力されるという形式です。
論理学も同様です。インプットがあって、論理演算があって、真か偽が出力されます(排中律がない論理学はさておき)。
我々の代謝のシステムも同様です。
食事という入力があって、消化、吸収、代謝という演算があって、あるものはエネルギーとして出力され、あるものは身体の部品になり、あるものは排泄されます。これらが出力です。
ですから、
入力(食事)→演算(消化、吸収、代謝)→出力(ATP、身体、排泄)
ということです。
これをミクロで見ていっても同じ現象が見れるというのは分子生物学のポイントです。
それを分子生物学の用語で言えば、シグナル、シグナル受容体、伝達経路、効果ということになります。シグナルは入力値ですし、関数の入口にあたるのがシグナル受容体です。伝達経路が演算であり、効果が出力です。
たしか講座ではアドレナリン1分子がブドウ糖を1万個つくりだすというカラクリを学びました。
アドレナリンがシグナルにあたり、1万のブドウ糖が効果です。途中の演算を一つ一つ見ていくと、あたかも広がっていくドミノ倒しのようです。
単調なドミノ倒しではなく、指数関数的なドミノ倒しです。単調なドミノというのは、一つが一つを倒す古典的なドミノ倒しですが、指数関数的なドミノというのは、たとえば、1つのドミノが2つのドミノを倒し、その2つのドミノが次の4つを倒すという風に指数関数的に増えていきます。
たとえば通常の単調なドミノ倒しというのはこんな感じです。
*ドミノ倒し。1つのドミノが次のドミノを倒します。これはたとえば数学的帰納法のイメージです。n=1で成り立つことを示して、一般にnで成立したら、n+1でも成立することを示せば、ドミノ倒しで全部倒れていきます。ペアノの公理の中身はこの数学的帰納法ですし、ワイルズもフェルマーの最終定理を証明する過程で数学的帰納法を使いました。有限な我々が無限を扱おうとするときにはこのドミノの数学的帰納法は良い方法です。
単調なドミノ倒しは一つ一つしか倒れません。ですから、アドレナリン1分子には、ブドウ糖1分子しか出ないかもしれません。しかし実際は、指数関数的なドミノ倒しです。
1つ目がいわば、シグナル受容体。
そして指がシグナルです。アドレナリンというシグナルが1つ目のドミノであるシグナル受容体に触れると、どんどん倒れていきます。
最後には1万分子になります。
これは完全に数学ですし、起きている計算を支えているのは細胞内の化学工場です。
生命現象はこのような化学工場の演算でしかないというのが寺子屋「分子生物学」のポイントです。
言い換えれば、生命現象とは関数現象ということです。
というわけで、参考書籍ですが、お馴染みのこちらを使っています。
かなり丁寧ですし、良いです!読みやすいかと思います。
カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学 (ブルーバックス)/講談社
¥1,620
Amazon.co.jp
これは3巻ですので、もちろん1巻、2巻も興味があれば読んでみてください。
カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第2巻 分子遺伝学 (ブルーバックス)/講談社
¥1,620
Amazon.co.jp
カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学 (ブルーバックス)/講談社
¥1,404
Amazon.co.jp
ちなみにお申込みはこちらです。現在、35回まで開催されています。26回までは1講座15,000円、27回以降は1講座2万円です。
*寺子屋で一歩先ゆく知性を!
↧
【分子生物学】寺子屋参考文献リスト!そして内容紹介!分子生物学というドミノ倒し
↧