当然ながら糖質が悪いわけでもなく、糖質は我々の生存に不可欠なエネルギー源です。
糖質を悪玉にし、炭水化物を悪玉にするという風潮はあまりに安易すぎると「まといのば」では考えます。
単純に「過ぎたるは猶及ばざるが如し」というだけです。
身体の中にある炭水化物(糖質)の量は数gですので、身体というホメオスタシス(平衡)を保つ器官としては消費(代謝)できない量の糖質は不要だよね、というのは事実です。
これはすべてにあてはまります。
そう言えば報道によれば、WHO(世界保健機構)は糖類の摂取に関して一歩踏み込んだようです。2002年に一日の摂取カロリーの10%とまでを推奨してきましたが、それを一気に半分にする5%未満にするという方針を打ち出したそうです。日本経済新聞の4月4日の報道です。
(引用開始)
【ジュネーブ=原克彦】世界保健機関(WHO)は5日、砂糖などの糖類を1日に摂取するカロリーの5%未満に抑えるよう勧める新たな指針案を発表した。これまでは10%までと推奨してきた。5%未満に抑えれば虫歯や肥満の予防効果が高まることがわかったとしている。5%は平均的な成人で1日25グラム、ティースプーン6杯分の砂糖に相当するという。
WHOは2002年に現在の指針を採用。今回は糖類を1日の摂取カロリーの「10%未満に抑えるべきだ」との表現を残しつつ、「さらに5%未満に減らすことを提案する」と盛り込む。新指針案については3月末まで意見を受け付け、必要に応じて変更する。
(引用終了)
ちなみに天才たちの集うWHOが糖質と糖類の区別が消化器にとって、意味のないことを知らないはずもなく、本来は糖質と言いたいところをやんわりと糖類と書いたのではないかと推測します。
糖類であれば、砂糖業界を敵に回すだけですが(圧力があったことを正式に認めていますし)、糖質であれば穀物メジャーを敵に回します。
1日25gなのであれば、一日に摂取できる炭水化物の量はご飯半杯にも満たないほどです。
しかし、糖類と言っておけば、炭水化物批判には見えなくて済みます。
ケインズではないですが、古いアイデアから逃れるのが大変なので、ゆるやかにただ責任をもって、世界のパラダイムシフトを起こそうと企図しているのではないかと勝手に推測します。
実際には、クーンがいみじくも書いたように、論敵が死ぬことによってしか、新しいパラダイムシフトは起きないにせよ、来るべき未来に理想世界が実現すれば良いと考えているのでしょう。
体質改善についてはケトン体質とか、しなやかマッチョなど様々な概念を提唱してきましたが、シンプルに言えば、身体という化学工場の平衡を移動させるということです。
関数の書き換えと考えても良いでしょう。身体という関数の書き換えです。
どう書き換えるか、どこに平衡を移動するかと言えば、本来の状態への書き換えであり、移動です。
我々の化学工場の平衡なり、身体という関数は3つの汚染によって、狂わされていると「まといのば」では考えます。
3つとは、栄養失調(もしくは低栄養状態)、糖中毒(炭水化物中毒)、筋肉不足(筋肉量不足、傷害)です。
栄養失調は食事を際限なく求めますし(栄養が満たされるまで)、糖中毒は炭水化物を際限なく求めますし、筋肉不足は身体の正常な活動を妨げます。運動障害ということだけではなく、うつやガンやある種の精神疾患も含むと推測されます。
この3つが複合して現状の壊れた平衡状態なり、身体という関数をつくりあげているので、どれだけ努力しても、その関数を動かせば動かすほど、悪い結果が出力される結果となります。
何を口にするかを思い煩う前に、まずは自らの身体(体質)を顧みることが大切でしょう。
関数が切り替わり、体質が変われば、手に取るものも、口にするものも変わるのです。
イエスではないですが、まずはゴールを求めることだと思います。
ゴールが無い限りは、自分のホメオスタシスを強烈に書き換えるなど大変なことです。
口にするものを変えるだけで、安易にパラダイスがやってくるなどというのは、お花畑に住んでいる頭の不自由な方々ですら、考えないことです。雑誌の裏に載っている怪しげなペンダントでお金がてにはいり、モテモテになり、高級外車に乗れるようなお伽話と同じです。
まずはゴールを求め、自分のありたい姿、社会に果たしたい役割(それが一般的には肯定できないものでも良いので)、その上でそこから演繹されるあり方として、体質改善に切り込むべきかと思います。
「狭き門より入れ」というイエスの言葉は糖質制限などと呼ばれる概念にとっても正しいように思います。
(引用開始)
狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。
命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。(マタイ7章13~14節)(引用終了)
糖質を制限すれば良いという滅びに至る門は大きく、広く、そしてそこから入っていく者は確率論的に言えば多いのですが、「命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない」のだろうと思います。
ダーウィンの唱えたナチュラルセレクションは現在の我々自身にも否応なく関係しているということです。日々、オーディションです。そして残るものは少ないのでしょう。
(ちなみに、ダーウィンつながりで言えば、チャイティンによるメタ数学に関して、いくつか質問を頂いています。また稿を改めます)
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*荒木先生に関してはたとえばこちらです。
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*僕自身はこれに対しては少し批判的です。ただ思考の枠組みを創ったというだけに過ぎないと考えるべきなのかもしれません。これまでの学習の復習には最適かと思います。頭は整理されます。
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悪いのは糖質ではなく、体質 〜体質という身体の関数を書き換える3つのポイント〜
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