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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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それは「ハタ」ではないかもしれない?! 〜均衡ということを真剣に考える〜

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ハタということを真剣に考えると、それは均衡ということになります。もしくは拮抗と言っても良いでしょう。

2つの力が拮抗するということです。

2つの力というのは、たとえば、屈筋と伸筋のそれぞれの力かもしれませんし、もしくは施し手と受け手の運動エネルギーかもしれません。

アイソメトリックスというのは、抵抗ストレッチと言うべき静的なストレッチです。ストレッチでありながら、筋肉トレーニングという面も持ちます。特にハタと言ったときは「まといのば」では、経典のとおりに猛烈な力と定義しています。

骨格筋を単純なモデル化します。

すると1つの関節に付着する拮抗する2つの筋肉群に分けられます。
1つを屈筋、1つを伸筋と名づけるとすれば、これは関節の運動に対して逆ベクトルであり、逆関数ということになります。片方は関節を折り曲げ、もう片方は関節を伸ばそうとします。



たとえば、「気の力」なる不思議な脱力したときの圧倒的な力の説明原理は差分であるとこれまで説明してきました。
この説明はもちろん今でも妥当だと考えています。

すなわち、通常は屈筋100に対して、伸筋99を使うとします。

100-99=1

で外に出てくる運動エネルギーは1であるということです。
屈筋はアクセルとして機能し、伸筋はブレーキとして機能します。
アクセルを踏みながら、ブレーキを踏むことで、コントロールを可能にしています。
もしブレーキを踏まなければ、暴走して、関節は壊れてしまいます。

200近い力を筋肉からは出しているけど、そとに出てくる運動エネルギーは差分のΔ(デルタ)である1だということです。

これを筋肉の力をゆるめながら、差分を調整するのが、「脱力」という系です。もしくは「気の力」の系です。

すなわち、屈筋を50に対して、もし伸筋を48にすることができれば、

50-48=2

さきほどよりも筋力は半分なのに、運動エネルギーとしての出力は2倍になります。
50+48でほぼ100です。先ほどがほぼ200であることの比べると半分です。
しかし、外に出る運動エネルギーは1から2へと2倍になります。

筋肉の中ではATPからADPへという化学エネルギーが運動エネルギーに変換されますが、その変換された運動エネルギーは差分という形でしか外界には出力されません。
差分と書きましたが、基本はベクトル和です。足し算でしかありません。ベクトルの方向が異なるので引き算に見えます。

差分(Δ)として外に出るのは、それはもちろん第一にコントロールのためであり、第二に関節を守るためです。第一は第二を包摂します。

このコンセプトだけを見ると、じゃあ、力を抜けばいいんだな、と思いがちです。

それは大枠では間違っていませんが、体感としても運用としても少し異なるという印象があります。


別の切り口で「ハタ」なりこの一連のワークを考えましょう。
すなわち、resist(レジスト:抵抗)なり、気功ストレッチです。
これは明確に拮抗を意図しています。
ペアで気功ストレッチのワークをするときは、術者と被験者の力の拮抗点を探します。

resist(レジスト)に関して言えば、重力やら身体の物理的な重量を用いて均衡点を探します。腕なり、足なり、胴体なり、首なりを支える最小限の力というのは、均衡点です。動作を継続しながら、絶えず均衡点を探すイメージです(拮抗と均衡をほぼ本稿では同じ意味で使っています)。

すなわち、実際に運用している側からすれば、差分を拡大するというよりは、むしろ均衡点をノイズなく正確に探す感覚なのです。

宇宙空間でISSとイーロン・マスクのDragonカプセルがドッキングするようなものです。
ぴったりと合わせることです。

雑に合わせると、雑な結果しか出ません。

正確に合わせれば合わせるほど、外への出力は増します。差分が増すということです。

たとえば同じように静止しているだけでも、全く異なります。

それを受講生たちは三点倒立で体感したでしょう。

すなわち、同じように倒立していても、きちんとアライメントが合う瞬間(それは均衡点を見つけた瞬間)は、グンと背筋が伸び、重心がフッと消え、何かが身体を貫きます。

それがクンダリーニやセンターといった情報の感覚です。情報には必ず物理的な現象がセットです。
それが均衡ということです。

ですので、いわゆる伝統的なアイソメトリックスや静的なストレッチをハタだと思っていると、本質を逃します。

力を入れることもハタの本質ではありません。
もちろんただ力を抜くことも異なります。

停止させることも、猛烈な力を入れることも、この均衡点を探すための方便でしかないのです。

重量の大きなものを持ち上げるとき、彼らは重量と重心と自分の筋肉との均衡点を探しているのです。決して力をただ出しているのではありません。
そこがマシントレーニングとフリーウエイトの違いです。
マシントレーニングは大雑把な筋肉のコントロールで行けますが、フリーウエイトの場合は左右でわずかにでもずれると命取りです。猛烈な力を入れつつ、猛烈にコントロールしています。その中で均衡点を探すのです。それがハタであり、気の力であり、Resistであり、ボディビルディングや重量挙げのポイントです。



物理的に停止させればいいとか、物理的に猛烈な力で押せばいいと思っているとそれは違いますし、逆に情報的に目をつぶり頭の中だけで、完結させるのも間違いです。

実際にハタを誤解していたとしても、その運動自体の余波により身体は改善はしますが、圧倒的な結果が出ません。圧倒的な結果が出ないときは、それはハタではないと考えたほうがいいのです。

物理と情報をつなぐ(Yoga)ところにハタは存在し、その均衡点で爆発的な力が静かに発揮されるのがハタです。


Yogaスクールで圧倒的な身体を目指しましょう!


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