♫真っ新(まっさら)に生まれ変わって
人生一から始めようが
へばりついて離れない
地続きの今を歩いているんだ♫
この感覚は非常に大事です。
「へばりついて離れない地続きの今」を歩いているのです。
へばりついて離れないのであれば、操作してしまえば良いことです。へばりついて離れないことを前提にして、地続きの今から逃れられないことを前提にして、自由になれば良いことです。
*(白日っぽい)ザハロワ様
僕らは過去に束縛されているのです。
ですから、逆に過去を積極的にハッキングしにいけば良いことです。
起きたことを変えることはできなくても、起きたことの意味をガラッと変えることはできるのです。その意味では過去は固定されているけど、過去は変容しうるのです。
What’s happened, happened. (TENET)
(起きたことは、起きたことだ)
ニールの口癖ですね。でも彼はFate(運命)を信じず、いま目の前に広がるリアリティーだけを見ます。過去や未来を変えようとするのではなく、現在にアプローチします。
新しいことを学び、新しいことを理論を習得し、新しい技術を手にすれば、真っ新に生まれ変わることができると思いがちですが、違います。
朝目覚めたらどっかの誰かになってやしないのですw
逆で、どんどん自分になっていくのです。
これまでやってきたバラバラなこと、失敗や後悔や誰にも話したくない秘密が、意味をもって繋がっていき、未来の自分につながることに気付くのです。
それをたとえば「本来の自分になる」とか、「隠れた才能を発揮させる」と言い換えても良いのですが、いずれにせよ、そういうようなことです。
裏切られた、手痛くフラれた、全財産を失った、詐欺にあった、大きなチャンスを逃した、、、どんな黒歴史も、もしきちんとそれに向き合って、偉大なる謎を解くならば、すべて本来の自分に戻るための必須アイテムとなります。
ただし、謎を解く必要があります。
抽象度を上げると言っても構いません。
ただ「抽象度」という言葉は最近バーゲン・セール中のようで、猫も杓子も、言葉が分からなそうなオランウータンたちまでもが、なんだか口にしているので、避けたくなります(笑)
オイディプス王の謎と同じです。
なぜ悲劇的な予言が、そしてその成就が、幸福につながるのかということを真剣に考えたことがあれば、TENETの謎も読み解けるのです。
c.f.ああ!知っているということは、なんという恐ろしいことであろうかーー知っても何の益もないときには。 2019年03月17日
ハンナ・アレントはセネカのこんな言葉を紹介しています。
「自由がこんなに手近にあるのに、それでも奴隷であるとは?」
もう少し分かりやすく言えば、
「死に方を知る徳をもたぬ生活は奴隷的なものだ」
と。
*ハンナ・アレントについてはこちらの映画で一気にゲシュタルトを。イメージを掴みましょう。偉大な人です。
(引用開始)
「ソロンの時代までに奴隷となることは死よりも悪いものとして見られるようになっていた」。それ以後、「生命への愛」と臆病とは奴隷的性格と同じになった。たとえば、プラトンは、奴隷が死よりも奴隷状態を好むという事実によって奴隷に本来的な奴隷的性格を立証したと信じることができた(『国家』386A)。これに後になって呼応している言葉が奴隷の不満にたいする次のセネカの返答に依然見られよう。「自由がこんなに手近にあるのに、それでも奴隷であるとは?」ーーまた「死に方を知る徳をもたぬ生活は奴隷的なものだ」。奴隷たることにたいする古代人の態度を理解する上で、大多数の奴隷は敗北した敵であって、一般的に生まれながらの奴隷はほんのわずかな割合しかいなかったということを知っておくのは無意味ではない。(略)彼らは自殺しないことによってその奴隷の本性を立証したのであり、勇気がすぐれて政治的な徳であった以上、それによって彼らは市民たりえない「本来的な」無価値と不適合を示したのである。(引用終了)(p.118 ハンナ・アレント『人間の条件』ちくま学芸文庫)
だからこそ(タイトルコールの直後が)
Welcome to afterlife(死後の世界へようこそ)なのです。
ニールの行動原理も同様ですね。
(たとえば、チベット密教の法要というか、僧になる儀式は一度世俗の生から離れて、死ぬことです。ですから、僧であるということは、本来はすでに死んでいるということです)
ここで藤井風さんの「帰ろう」を紹介したくなりますね(^o^)
で、話がふくらみすぎたので、ブログサイズにShrinkさせると、ヒーリングやコーチングで「朝、めざめたら どっかの誰かに なってやしないかな」という期待に関しては、その期待の風船をさっさと弾かせておきましょう。割りましょう。
いや、もしくはふくらましすぎても良いかもしれません。
どちらにせよ同じことです。
というのも、結局、へばりついた過去からは逃れられないけれど、その過去をリサイクルしたら、素晴らしい資産になることはよくある話です。それどころか、本来の自己に立ち返ることすら、オマケとしてついてきたりします。
そしてこの道以外は存在しないのです。そうであれば、妄想を追うのではなく、現実的になることです。過去を直視し、そこにある謎を解くことです。謎を解く鍵はシンプルに「ゴール」とか「ビジョン」と呼ばれるものです。でも、謎解きが重要です。
その謎解きを一緒に手伝ってくれる存在を「まといのば」では仮に「メンター」と呼んでいます。別にヒーラーでも構わないと思います。
謎を解けばどうなるかと言えば、、、、
過去への旅はなにひとつ変えませんでしたが、わたしが学んだことはすべてを変えました。そして、こうでしかありえなかったのだということを理解しました。(テッド・チャン『商人と錬金術師の門』)
という感慨に近いものに出会えます。
「わたしが学んだことはすべてを変えました」と言えるところまで、自分を追い詰め、謎を解くことが肝要です。実際に、すべて変わるのです。それは過去を変えたり、未来を変えたりしようとすること以上に宇宙の神秘を感じることだと個人的には思います。
【書籍紹介】
過去と未来は同じものであり、わたしたちにはどちらも変えられず、ただ、もっとよく知ることができるだけなのです。過去への旅はなにひとつ変えませんでしたが、わたしが学んだことはすべてを変えました。そして、こうでしかありえなかったのだということを理解しました。もしわたしたちの人生がアラーの語る物語なら、わたしたちはその聞き手であると同時に登場人物でもあり、そうした物語を生きることによって教訓を学ぶのです。(テッド・チャン『商人と錬金術師の門』、『息吹』所収)
こちらの漫画は、過去を変えることで、未来を変えようとすることの無意味さについて、描いています(いや、この漫画の中でのその行為が無意味とは思いませんが、TENET同様にこれもまた一つのビルドゥングスロマンだからです)。
新宿スワンの作者の方の作品です。
同様に以前、何度も紹介したループものですね。