*アメンバー限定記事でしたが、限定解除しました(2020/05/11)
専門家会議による5月1日の「分析・提言」は非常に興味深いものでした。
この「分析・提言」をもって、「緊急事態宣言を即日解除します」、という展開しか思いつかない内容です。
もっと言えば、4月7日に出した緊急事態宣言は全く無意味で、むしろ有害であり、4月16日に対象地域を全国に拡大したのは完全な間違いでした、、、、という発表が専門家会議からなされてもおかしくありません(数字が読めて、科学や学問に忠実ならば)
というのも、専門家会議によれば、4月10日時点で感染拡大の指標である実行再生産数が1を大きく割っているからです。
全国:0.7
東京:0.5
(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 5 月 1 日))
4月10日時点ですよ、4月10日(笑)
5月10日ではなく、4月10日です(←しつこいw)
実行再生産数が「1」以下になれば感染拡大はしないのは単なる数学です。
実行再生産数が1ということは、1人が1人に感染させるということです。
1人が1人にしか広めないとしたら、数字は変わりません(感染者はどんどん治り、稀に死にます。どちらにせよずっと感染していることはないので、1人が1人にしか広めないとしたら拡大できないのです)
僕が何か話すよりも、はるかに永江さんのほうが華やかにまとめていらっしゃるので、そちらを紹介します。
日本(アジア)の新型コロナ感染者、重症者、死者が欧米よりはるかに少ない理由はHLAと仮定するとドンピシャにはまる 2020年5月3日
永江さんのこの記事のポイントは、
(引用開始)
日本は3/25、非常事態宣言2週間前にピークアウト!!!
しかも非常事態宣言の4/7で0.7、つまり他国が解放する以下の数値まで下がっていました。レポートにはこの理由が書かれていないのです。隠蔽しているわけではなくて、感染症の専門家も「なんでこうなってんだ」ということが理解できないから書けない。東京都のピークアウトはもっと早くしかも劇的に下がっている。(引用終了)(永江さんのブログより引用)
という点だと思います。
(後半のHLAが免疫となっているのではという仮説に関しては、僕自身は「分かりません」としか言いようがありません。感触としてはネガティブですが、反論する論理的な材料は無いという感じです)。
5/1に専門家会議が出した資料には非常自体宣言の10日も前に増加率が止まりピークアウトしていた実効再生産数グラフ。これを出すのをずっと拒んでいたのは何が何でも緊急事態宣言したかったから。そしてこの後も下がった様子はこのグラフにはない。だってそうしたら延長に意味がないことがバレる pic.twitter.com/YE1RU8MZzr
— Isseki Nagae/永江一石@「虎の穴」 (@Isseki3) May 3, 2020
特に実行再生産数と呼ばれる指標は大事です。
(R0 (アールノート)は「基本」再生産数)
これは1人が何人に感染させるかというもので、Covid19では2.5などが良く使われます。
たとえばわかりやすく2であれば、倍々ゲームに増えていきます。ねずみ算のように。
これが指数関数的増大とか、感染爆発という根拠になっています。
2→4→8→16→32→64→128→256→512→1024
というやつですね。
それと、どうでも良いことですが、、、、以前も書きましたし、バイリンガルたちもこぞって指摘しますが、、、、そもそも英語のOvershootに感染爆発という意味はありません。
制御しようと思った値に対してそれを「通り過ぎる、行き過ぎる」のがOvershootです。
#新型コロナクラスター対策用語定義
— 新型コロナクラスター対策専門家 (@ClusterJapan) April 3, 2020
『オーバーシュート』とはー
爆発的な感染者の増加のことをいいます。2〜3日で累積感染者数が倍増するようなスピードの感染者数の増加が継続的に続く状態をいいます。
このような状況では、外出や移動の制限など速やかな対策が必要になります。
*そろそろ用語の間違いを誰かが指摘してあげれば良いのに。
逆にこの実行再生産数が1を下回れば、どんどん感染者数は減っていきます。いわゆる収束に向かうというイメージです。
(ちなみに僕自身はこのR0 や実行再生産数は3密と同じくらいに、今回のケースに関しては、それほど意味のない概念だと思っています。というのもこれだけ不顕性感染が多い症例に対して、仮説に仮説を重ねるような概念だからです。
とは言え、目安程度にはなると思いますが。
今後、抗体保有率が明確になるにつれて、いろいろと調整されていくでしょう。明らかに感染者は観測された数より、はるかに多いことが高い蓋然性で推定されているです。
もっと言えば、逆にそれが今回の感染爆発が起きない理由かもしれないと思っています。平たく言えば弱毒性ゆえに誰にも気づかれずに大きく広まり、そしてほとんどの人が不顕性感染で抗体保持者となっているということです。ですから、通常の風邪ということですね)
(実際に専門家会議のこのレポートにも「不顕性感染者を除く」とあります)
ただ、この実行再生産数は少なくとも政策決定においては大きな目安となると思います。
で、専門家会議は恐るべきことに、後出しジャンケンになるとは言え緊急事態宣言は無意味だったという分析と提言をしています。
・全国における推定感染時刻を踏まえた実効再生産数を見ると、3月25日は2.0(95%信頼区間:2.0、2.1)であったが、その後、新規感染者数は減少傾向に転じたことにより、4月10日の実効再生産数は 0.7(95%信頼区間:0.7、0.7)となり、1を下回った。しかし、後述する東京都ほどには下がっていなかった。
繰り返しますが、4月10日時点の実行再生産数は1を下回ったと彼ら自身が書いています。
0.7と専門家会議が発表しています。
自分たちがつくったゲームなので、自分たちがつくったルールに従うべきではないかと思います。
すなわち彼らの定義によれば、明らかに感染拡大は収まっているのです。遅くとも4月10日時点では、劇的に。
その上に、1300万都市の東京はもっと早く収束していると専門家会議は言っています。
(1300万という数字は評価されるべきで、シンガポールは563万、ニュージーランドは488万、香港は745万人です。ちなみに北海道は528万人です)
東京都においては、感染者数が増加しはじめた 3月14日における実効再生産数は2.6(95%信頼区間:2.2、3.2)であった。(略)また、4月10日の実効再生産数は 0.5 (95%信頼区間:0.4, 0.7)に低下し、1を下回った。
本来は1を下回れば良いはずですが、西浦先生の目指す無茶な0.5という明らかに厳しい数値も、4月10日はクリアしているのであれば、、、、、、パンデミックならぬ大パニックに専門家会議はおそわれているのではないかと心配します(笑)
*朝日新聞によれば、西浦先生いわく、4月1日ごろには1を割っているそうです。
(引用開始)
厚生労働省クラスター対策班に参加する西浦博・北海道大教授(理論疫学)は、1を下回ったのは全国も東京も緊急事態宣言が出る前の4月1日ごろだったと説明。そのうえで、「1を割るだけでは感染者数を十分に減らすことには足らない。全国的にみると、8割の接触機会の削減で求めていた水準には達していない」と指摘。目標とする0・5以下になることを確認していく必要があるとした。(引用終了)朝日新聞(感染者減「期待に至らなかった」 専門家会議の分析は 有料記事 新型コロナウイルス 2020年5月2日 5時00分)
ただ、この数字遊びも大事ですが、基本的にはきちんと他の感染症と比較して対策を考えることだと思います。
以下は専門家会議が出している数字です。
(僕は専門家会議はオオカミ少年だと思っていますので、その不誠実な少年たちですら狼は去ったと言っていることに注目です)。
こちらは感染者数の推移の東京都と全国のデータです。
そして見るべきは本来は推移ではなく、実際の人数です。
圧倒的に少ないのです。
ちなみに、その前後に面白いことが書いてあります。東京の感染者に関連して、院内感染と家庭内感染が増加していると書いてあります。
(引用開始)
・その内訳として、夜間の接待を伴う飲食店における感染者数は減少する傾向にあるが、病院内および福祉施設内での集団感染や家庭内感染が多くなってきている。(引用終了)
繰り返しますが、「病院内および福祉施設内での集団感染や家庭内感染が多くなってきている」です。
としたら、彼らのルールに従えば、これからの外出規制の意味はますますないですよね?
とは言え、枝葉に入っていくと、仮説と主観のジャングルなので、もっとバッサリと考えましょう。
僕の好きな海外ドラマのBlackListの中でしたか、「嘘には3つある」というセリフがありました。
小さな嘘
大きな嘘
そして、統計だ。
と(笑)
(という風にセミナーでも紹介していましたが、海堂尊さんによれば、これはマーク・トウェインがしきりに引用した言葉だそうです)
(引用開始)
厚生労働省の失態を耳にするたびに、マーク・トウェインが、英国首相ディズレーリの言葉としてしきりに引用した言葉を思い出します。
「世の中には三種のウソがある。
嘘、大嘘、そして統計だ」(引用終了)(海堂尊『ナニワ・モンスター』の電子版あとがき㉖より)
あとがきにこう書いてあります。
(引用開始)
そんな中、2009年5月に新型インフルエンザ騒動が起こりました。海外旅行から戻った高校生が感染確認され、厚生労働省の不適切な対応で関西が経済封鎖にあったようなパニックになった事件です。(引用終了)
この騒動から厚生労働省が学んでいることと言えば、今回はクラスター対策班や専門家会議を隠れ蓑にして批判の矛先を交わすことなのかもしれません。
本来はこの感染者数に対して、たとえばインフルエンザのデータを並べれば、無視できる小ささにのけぞると思います。
結核を並べても良いでしょう。
(「人の命は大切だ!」というのはその通りですが、これは公衆衛生の議論です。そこに無邪気なワイルドカードの入る余地はないのです、、、、本来は)
その中で緊急事態宣言の延長を決めるというのは、論理的整合性が取れませんし、この提言が出た以上は緊急事態宣言は即日解除で良いでしょう。
また一応確認ですが、、内閣官房が出しているメッセージではこうあります。
・緊急事態宣言は、罰則を伴う外出禁止の措置や都市間の交通の遮断等、国外で行われている「ロックダウン」(都市封鎖)のような施策ではありません。
(内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」https://corona.go.jp/ ←すごいURL!!)
ここを誤解している人は多いかもしれません。
ということで、僕らとしては自分自身に対して、不要不急な自粛の自粛を要請しなくてはいけません。
ちなみに超蛇足ながら、、、、
僕が驚いたのは、裁判所が「不急な破産などの申立てを控えるように」と地裁が弁護士会に要請したというニュースです(一ヶ月前のニュースですが)。
フェイク・ニュースかと思ったら、本当なのが面白すぎます。
(「緊急事態宣言 → 地裁の業務縮小 → 不急の申立を控えるようにと弁護士会に要請」というロジックはわからないでも無いのですが、、、まあ、なぜ業務を縮小しているのかは問い詰めたいですねw。やりようはいくらでもあるでしょう。そして破産件数がまだまだ少ないのは、地裁が止めているだけということも分かります)
「不急の破産など申立てを控えるように」 東京地裁が要請、緊急事態宣言を受けて(東京商工リサーチ)
(引用開始)政府が4月7日、「緊急事態宣言」を発出したが、東京地方裁判所民事第20部(破産再生部)は宣言期間中に破産など法的手続きの「不急の申立て」を控えるよう東京の3弁護士会に要請したことが4月9日、わかった。
政府が東京など7都府県を対象に、特別措置法に基づき「緊急事態宣言」を行ったことで、東京地裁は業務を縮小している。
東京地裁などによると、「緊急事態宣言」の解除を待つことができない事情がある事件を除き、破産などの不急の申立てを控えるよう東京の3弁護士会に要請した。同地裁は、「(破産など)申立ての受理は行うが、緊急度が高くなければ、開始決定は緊急事態宣言の解除まで処理を停止する」と説明。(引用終了)
そんな妨害工作(笑)にもめげずに倒産件数は、「新型コロナ」関連の経営破たんは、2月2件、3月23件に対して、4月は100件に行きそうだそうです。(東京商工リサーチ)
増えていくことは必至ですね。
というわけで!!
これからは大手振って、外出もビジネスも再開できますね!!(いや、変な空気に圧迫されるのは分かりますがw)
何と言っても専門家会議のお墨付きがありますので、すでに一ヶ月も前にCovid19は収束していたという(笑)
いやいや、真面目な話、もはやsars-cov-2なる未知のウィルスとの闘いではなく(それは終わったので、いや始まってもいなかったですが)、Infodemic(インフォデミック)との闘いです。
それも敵が内にいるのです。