またまたテクニカルな話です。
C0(シーゼロ)と勝手に読んでいる術技のシリーズです。
ちょっと振り返ると、頚椎は1番から順番に動くという話でした。
1番 → 2番 → 3番 → 4番 → 5番 → 6番 → 7番
と動きます。
C1→C2→C3→
ですね。
*骨の長さということでは、頚椎にほとんど個人差はありません。
首が長い人と、首が短い人の差は骨ではないのです。使い方です。
ただ、たとえば我々が知識ではなく、視覚に頼って首を動かしてしまうと、5番から動かすみたいな無茶をして、首を傷めます。
首の付け根というのは、ほぼ耳のあたりにあります。
「こんなに高いところが首なんだ!!」と驚いてください(^o^)
驚きが重要です。
知識として知っていることと、その知識が身になることの間には大きな断絶があります。
広中平祐氏(フィールズ賞受賞)ではないですが、ショックによってのみ人は進化します。
同じことで言えば、四肢の付け根というのは、見た目と違います。
太陽の運行も見た目とは違います。
四肢の付け根、そして首の付け根の認識が変わると、動きが変わります(ここだけの話、幸福度もアップします。IQもアップします)。
で、C7から積み上げていって、一番上がC1ですが、その上に頭蓋骨があります。頭蓋骨をC0(シーゼロ)と冗談で呼んだのが、この技術群の命名の由来です。
ちなみに、この耳の横というのは、結構重要な部位が目白押しですので、まとめて触ってしまいましょう。
耳たぶのちょっと下から、首の側面を頭蓋骨に向かって指を沿わせると、乳様突起に出会います。
乳首の様な突起ということで乳様突起です。
そこから指3本分が胸鎖乳突筋です。
このWikipediaの図で観るとわかるように、かなり太いでかい筋肉です。
頭蓋や頚椎の中では最も大きな筋肉です。
僧帽筋は大きそうですが(面積は広いのですが)、体積は少ないのです。ペラペラです。
で、この胸鎖乳突筋によって、頭蓋骨(Cの0番)が動いて、それがc1,c2と伝わっていくと考えると、まずこの胸鎖乳突筋をゆるめるべきです!
とは言え、施術の現場で使ってみると分かりますが、相当に凝っている人ならともかくアスリートやダンサーでこの筋肉が凝っている人はいません。
筋腹が全く確認できないくらいにトロトロです(是非、「さあ、胸鎖乳突筋をリリースして、頚椎の問題を解決するぞ!」と意気込んで、絶望する体験をしてみてくださいw)。
逆に普通の方であれば、胸鎖乳突筋がリラックスしていても、ムキッと固まっていることがあります。これは施術の方針も立ちやすいです。
きちんとC0のカラクリを説明して、胸鎖乳突筋を説明して、触ってもらいましょう。
(↑ちなみに、「まといのば」では施術する時は、小学生であっても普通に解剖学の用語で説明します。本人のゴールに合致していれば、解剖用語は普通に頭に入ります。お茶を濁されるよりも、子供であっても、きちんと大人扱いされて説明された方が良いのです。
これは極端な例ですが、意識障害があっても、僕は発話して説明します。動物に対しても。動物などは面白くて、あたかも言葉がわかるかのように、そのあと大人しく協力的になります。これは、動物病院などで働いている方にとっては、普通のことかもしれません。
ちなみに、「先生にお任せします」という時代ではないので、きちんと説明して、納得してもらいながら進めることが重要です。
時代のせいばかりではなく、気功の本質ということを考えても、まず相手の脳内を変えて、そして身体を変えたいのです)
これまで硬かった胸鎖乳突筋がゆるむという体験は、触ってわかるので、楽しいです。
そのあとに首を動かすと、首に羽根が生えたように軽くなります。これまで何だったのかと思うでしょう。
これは胸鎖乳突筋の筋腹が硬い人のケースです。拘縮しているケースです。
ですが、身体を鍛えている人は、明らかに胸鎖乳突筋が拘縮しているようでも、実際に仰向けに寝かせてみると、トロトロです。
ここで頭を抱えてください(←しつこいw)
で、そこで、筋腹からゆるめる作戦から、停止部をゆるめる作戦に変えます。
これは簡単です。乳様突起(と後頭骨にかけて)を骨に沿って押します。圧をかけます。
(このときに、運動している状態を思い描いて、それを書き込みながら、ゆるめるという4D技があります。4D技というか、5次元技というかw、4つ目の次元のである時間を想定してやります。そもそも個別具体的にゆるめても、実際の動作というのは全身の連動なので、そのときにいつもの癖で動かされたら、ゆるめた意味はないのです)。
その上で、首を動かしてもらってください。
胸鎖乳突筋は重要ですが、もっと強くもっと強力なのがトン単位の力を出す頭蓋骨唯一の可動関節ですw
などと言わなくてもわかると思いますが、、、、そう、、、顎関節です。
乳様突起、顎関節、そして頚椎一番(環椎・C1)の横突起はすべて近いところにあり、すべて似ています。
繰り返しますが、乳様突起と顎関節、C1横突起は近いところにあるので、どさくさ紛れて全部触っておきましょう。意外と相関しています(意外でもないか)
顎関節に関しては、顎(がく)をガクッと外すとおぼえてください。
顎をガクッと、です。
ダジャレですが、ダジャレではなく、重要なコツですw
まあ、顎関節に関しては、顎関節症と関連して、過去記事にたくさん書いています。
これも覚えてしまうと、非常に応用範囲が広いです。
そして、C1の横突起にもきちんと触りましょう。
すべては慣れです(その「慣れ」を10年ではなく、数日で引き起こすのがBoot Campです)。
携帯を観る姿勢というのは、首が前に突出している不自然な形です。
これは、上部頸椎伸展して、下部頚椎が屈曲しています。自然な状態ではなく、しかしこれが「普通」となっています。
5kgから6kgという頭蓋骨が小さな骨のレンガ積みの上で不安定に置かれていますので、僧帽筋も大変です。
僧帽筋は遠心性収縮をされていますので、パツパツになっています。
ここで、大胸筋の広げ方を(肩関節の外旋)を思い出して欲しいのですが、菱形筋を鍛えれば良いというわけではないという話をしました。
いや、ハムストリングスと大腰筋の関係も同様です。
遠心性収縮(トレーニングにおけるネガティブ)というのは、一種のいじめみたいなものです。引っ張られているのに、いつも頑張らなくてはいけません。
幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません
ということになりかねないのです。
その疲れ切った僧帽筋を押したり引いたり(筋膜リリースしたり、ストレッチしたり)してはいけません。
ハムストリングスも同様ですし、菱形筋も同様です。
まずは主働筋をゆるめることです。そのあとに拮抗筋を使えるようにします。
ブレーキをゆるめてから、アクセルを踏むことです。そうでないとエンストしてしまいます。
というわけで、まずは胸鎖乳突筋をがっつりゆるめること、そしてC1から動かすことを理論的にも体感的にも頭と身体に覚え込ませて、大胸筋をゆるめて菱形筋がゆるむようにして、そのあとに僧帽筋に入ります。
ただし、そのころには僧帽筋はゆるゆるになります。
その上で、僧帽筋の起始を押しましょう(「まといのば」ではずっと大孔と呼んでいます。大後頭孔ですね)。大後頭隆起の正中線上ですね。
ともかく大きな筋肉から行うこと、そして起始と停止を近づけていたわること(遠心性収縮を続けている筋肉に対しては特に)、拮抗筋のブレーキを外してから、主働筋のアクセルを踏ませること(アクセルを踏むと、ブレーキが強くなるばかりです。ここでトレーニングの基本を思い出します。ポジティブよりネガティブの方が強く、そして成長しやすいのです)。
というわけで、今回もとっちらかっていますが(すみません)、これで終了です。
メンター生のお一人がグレイズ・アナトミーを買われたそうで、「面白い!」と読んでいらっしゃいます。
(メンターセッションで「第1版」をすすめたら、すぐに買ったそうで(^o^)
第1版はともかくシンプルで良いのです。4版を持っていて、余裕があれば、1版も覗いてみてください)。
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その方が「最近のブログはネタバレですね」とおっしゃっていました。
まさにその通りです。
基本的には、「まといのば」のブログはとことんネタバレの精神でいましたが、特にBoot Campについては、とことんネタバレします。
(とは言え、スクール受講生はわかるように、書いても書いても書ききれないコツみたいなものが膨大にあるのですが)
ネタバレの理由は、この知識が広まって欲しいというのがあります。
Boot Campに来たり、ソルジャーになるとか関係なく、心ある施術家の皆さんのヒントになって欲しいと僭越ながら思います。
実際にこのブログに書かれているのは、かなり面白い知見だと思いますし(自画自賛w)、PTやOTやマッサージ師、整体師などで、かなりの数の施術をしていて、オープンマインドで、かつ解剖を知っていれば、ここで書かれたことだけで、結果を出せていると思います。
それにそれほどトリッキーではなく、オーソドックスですしね。基本は解剖学なので。
というわけで、ガンガン活用してください!!
そして、身体の面白さに目覚め、そして可能性に気付いてください。
一緒に楽しみましょう!!