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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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抽象観念を恐れることはない、最初はすべてを理解しようとしないで、小説を読むように進みなさい

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寺子屋「はじめてのギリシャ神話」で紹介したこの言葉は誰あろうゲーデル先生の言葉です。
つまづきながらも必死で学ぼうとし続けるわれわれに大きな指針を与えてくれます。

「抽象観念を恐れることはない、最初はすべてを理解しようとしないで、小説を読むように進みなさい」

ギリシャ神話という文脈で言えば、物語を読むように抽象観念の森を進めということでしょう。

僕自身はこのような考え方に対してどちらかというと批判的な立場を取ってきました。悪い意味での文系的な思考法とも言うべき牽強付会な解釈が多く見られ、それに辟易してきたからです。もちろんスピリチュアリズムの方々の自由すぎる解釈は問題外としてです(「不完全性定理よりすべては不完全なんだ」とか「量子場にアクセスすることでヒーリングがはじまる」などのような)。牽強付会は避けるべきです。そして牽強付会かどうかを判定する厳密なテストというのはありません。以前は仲間たちにそのような方々と同じコミュニティーにいたので、いちいち目くじらを立てて批判していましたが、最近はそのようなコミュニティーから離れたこともありますし、論理を解さない人に論理的に批判しても仕方なく、知識が無い人に知識に基づいて間違いを指摘しても無理だということに途中で気付きました。とすると合理的な選択としては、ニコニコして離れるのが最適解と考えています。倶(とも)に天を戴(いだ)かずです。

寺子屋シリーズと称して、基礎的な知識を確認するという講座を開催しています。
そこで学び続ける皆さんを見ていて、少し意見が変わりました。
牽強付会とは違うのですが、ゲーデルの言うように「小説を読むように進み」、ゴールまで到達してからまた戻って読み返せばいいと考えるようになりました。

というのも非常に些細で重要性がないことを「理解しようと」して、つまづいてしまうケースが多い気がするからです。

たとえばシンプルな数式が理解できないということで、全体が見えなくなることや、些細な不明点で先へ行けなくなります。

もちろん教師としては、シンプルな数式の理解を助けたいと考えますし、些細な不明点は積極的に解消の手伝いをします。しかし、「そこを飛ばしてしまってまず全体像を把握してしまうほうがいいのではないか」とも思います。

「まといのば」では、学習にせよ気功にせよ、新しい場所へ出かけることというメタファーを用います。学校でも会社でもいいのですが、新しく出かけるときのことを考えます。最寄り駅までの道のりにせよ、最寄り駅から歩いての道のりにせよ、初回は地図を見ながら、右往左往して目的地へ到着します。2回目は初回よりは見慣れてくるので、それほど迷いません。3回目は迷わず到着できるでしょう。4回目からは何か別なことを考えながら歩けます。

学習も同じで、全く新しい概念世界を学ぼうとするときは、新しい道を歩くのと同じです。最初はともかく目的地へ辿り着くことのみに専念します。目的地とは全体像のことであり、ゲシュタルトです。「ああ、こういうことなんだな」というぼんやりとしたマップと感触を手にします。2回目から少しずつ周りを見る余裕ができてきます。3回目は野辺の花や、入りたいお店や喫茶店などが見えてくるでしょう。4回目は路地裏が気になりのぞいてみるかもしれません。

学習もそのようにイメージするといいように思います。数式がわからなければ飛ばしてしまうことです。そして全体像ができてから、数式にとりかかるとあっさり理解できます。

きちんとコツコツと積み上げて、べったりとリニアに学ばないと理解したことにはならないという幻想がわれわれの脳を支配しますが、そんなことはありません。どんな風に行ったとしても目的地へ辿り着けばいいのです。経路は無限にあるのです。

以下が寺子屋「はじめてのギリシャ神話」のレジュメで引用したゲーデルの話です。

(引用開始)
彼(引用者注:ゲーデル)が親しくつきあった人の中に27歳年上のA.アインシュタイン(1879-1955)がいた。2人 の家は近く、家族ぐるみのつきあいをすることになった。ゲーデルは、アインシュタインが特殊相対 性理論のために哲学的分析をおこない、たぐいまれな成功を収めたことに尊敬の念をもっており、アインシュタインは、ゲーデルの気品ときちょう面さとの組合せに惹かれていたという。彼らは互いに 定期的に訪問しあい、哲学、数学、物理学などについて、議論しあっていた。ゲーデルの母は、アインシュタインとの友情を聞いて思わず感きわまったという。彼女はさっそく、アインシュタインの業績を勉強しはじめたが、それに対してゲーデルは彼女に手紙で、抽象観念を恐れることはない、最初はすべてを理解しようとしないで、小説を読むように進みなさい、と勧めている。
(ゲーデルの世界 海鳴社 p.14)

(引用終了)

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科学というのは誤解を恐れず言えば、現代の神話です。
神話とはわれわれの生に意味を与えるものであり、われわれはどこから来て、どこへ行くのかを教えてくれます(それが正しいか否か、正しさがあるのかなどは別にして)。
「私とは」「宇宙とは」「世界とは何か?」という疑問に対する1つの回答です(答えているかどうかはともかくとして)。われわれの宇宙観は地球の下に亀が無限に連なっていてもいいし、アトラスという神様が天を支えていてもいいのです。

その現代の神話の1つとして、次はブラックホールの熱力学という視点から、量子論、相対論をつなぐ特異点として(これは比喩です)ブラックホールを考えたいと思います。
ブラックホールはきわめて高度な抽象観念ですが(アインシュタイン解の1つなので)、一方で観測できる実際の物理的存在でもあります。われわれは抽象観念を恐れず、最初はすべてを理解しようとしないで(できませんし)、神話のダイジェスト版を読むように進みましょう。
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