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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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「この新しい大衆は、彼をとりまく世界に甘やかされてきたのである」(オルテガ)

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子供を叱ることについてご質問を頂くことが少なくありません。

叱るべきか、叱らないほうがいいのかというのはどうでもいいことです。

ある叱っている親が単なるヒステリーで、ストレスの発散であるとしたら、そのことなど子供は早くに見抜きますし、笑顔で注意されても、子供は威圧と底知れぬ恐怖をその大人に感じることもあります。

結局は人間と人間のぶつかり合いであり、コミュニケーションです。



僕自身は子どもは厳しく育てるべきと考えます。

勘違いしている方も多いですが「自由」を認めるとは、厳しく育てると同義です。
自由放任は無責任な態度です。

自由を認めるとは厳しく育てるのと同じです。なぜなら自由に対する子ども自身の「責任」が伴うからです。
それを苫米地理論では「何をしても構わない。ただ自己責任でね」と言います。

親や社会や周りがお膳立てするのではなく、自分自身の意志で世界という暗闇を子どもは跳躍します。人生はいつも未知との遭遇ですし、死と絶望が寄り添っていることを人生の早い内に知ることは大切かと思います。

自己啓発なり啓蒙思想なりコーチングなりを勘違いして、結果的に深く子供を甘やかす親や教師がいるようですが、それは期せずしてご自身の信念と真逆のことをしていることに気付くべきです。

クライアントを甘やかすのも同じです。
(いや、クライアントに厳しくしすぎるのも問題です。ここでも中庸が求められます)

「バカを励ます」のは奈落の底に落とすのと同じです。間違いに対して良いフィードバックをしたら、間違いを繰り返します。無知を賢いと評価したら、無知のままです。
「おまえはバカだよ」と教えてあげるのが、親や教師として正しい態度です。子どもも現状認識が正確にできれば、そこから這い上がることができます。いまどこにいるのか把握できずに、目的地を目指すことはできません。
微分積分を習っていない子供に、「君の潜在意識は微分積分を理解しているよ!」と言われても何の解決にも成りません。微分積分に無知であることを認めて、微分積分を学びます(ってか前提です)。前提なのですが、大人が何かを学ぶ時、しばしば自分が無知であることに気づかなかったりします。もしくは知っていると勘違いしていたりします。そのときはまずその勘違いを咎めます。

豚はおだてても木には登りません(豚に真珠も投げてはいけませんw)。

これは持論だが 躾に一番効くのは痛みだと思う」というリヴァイ兵長の言葉に、多くの心ある人は同意すると思います(参照動画はこちら。ちなみにこちらの記事で言及しました)。
人生をふりかえってみてもそうでしょう。
No pain no gainなどと月並みなことを言う気はありませんが、脳は失敗のコレクションによって最善を目指す臓器です。


痛みと言っても、もちろん体罰肯定などという話しではありません。

体罰などというぬるい甘やかされた前近代的なシステムではなく、社会やシステムや環境が「痛み」を本人にフィードバックしてくれるのです。

ちなみに「まといのば」は今でこそ温厚な空気がありますが(笑)、それはいまのメンバーが規律ある状態で入ってこられているからです。
社会で意味のある地位や職業に従事しているということは、傍からどう見えたとしても「規律」があるのです。
「まといのば」も以前は勘違いした、甘やかされた人が多少いたので、ほんの少しだけ厳しくしていました(本音で言えば、もっと厳しくすべきでしょうが、それは僕の役割ではないと最近は思っています。もしくはそれに見合う人がいたらそうします。たとえばRayの主宰などは僕に師事して誰よりも長いですが、みなさんが想像しているよりはるかに厳しく躾けられています。そのかわりその苛烈さにも逃げ出さないで生き残るならば、激しく成長するチャンスがあります)。

というかご自身は厳しく育てられていて、きちんと成長しておいて、自分の子どもや生徒を甘やかすのは意味不明です。

自分は良いものを与えられていて、次の世代には石を与えるようなものです。(あなたがたのうちで、自分の子がパンを求めるのに、石を与える者があろうか マタイ7:9

ただ、ついついそうやって間違いを犯します。

コーチングの元祖であるルー・タイスが良くしていた話に、オリンピックの長距離選手の話があります。
(ちょっと記憶で書いているので、ディテールが間違っていたらすみません)
その選手はレースを走っていてあと一周でゴールというときに、必ずお腹が痛くて走れなくなります。

それに対してルー・タイスは何とコーチングしたでしょう?

コーチングとは「マインドの使い方を教える」ことです。

ルーは「がんばれ!」とも「君ならできる!」とも「どうすればゴールできるようになるかな?」とも言ってはいません。「ゴールを設定してスコトーマを外せ」とも言っていません。

「走れない?それなら、走るのをやめればいい。苦しいんだったら歩けばいいし、トラックの内側で横になればいい」と言います。

僕はこの逸話こそがルー・タイスであり、コーチングだと思います(ホンモノのまわりには偽物がゴマンとまとわりつくものです。厄介なのは自覚がないこと。ただマーケットはいつも正直です。偽物には数回しかお金を払いません)。

選手「いや、それでは失格になってしまう」

ルー・タイス「でも、お腹が痛いんでしょ?走れないんでしょ?」

「いや、ゴールしなければ、Cowがもらえない」と選手は答えます。メダルを取ると国から牛がもらえるそうです。その牛が欲しいので走りきりたいと選手は言います。


*ピカソの「牛の顔」なら僕も欲しいです。

「じゃあ、走ればいい」とルーは言います。
これがルー・タイスであり、これがコーチングだと僕は思います。

コーチングは素晴らしいシステムだと思いますが、スピリチュアルや自己啓発から来た人はどうしても自分に引き寄せて理解します。バカには理解できないきわめて抽象度の高い内容だってことが分からないのでしょうか?(あ、だからバカなんですよね)。
謙虚に必死で学べばいいのに、分かったつもりになって、バカを撒き散らすのはたいがいにしてほしいと思います。あ、ヒーラーも同じですね。
まあマーケットが「一番効く痛み」を処方してくれます。
前は気になって、一つ一つ指摘していたのですが、最近は指摘するのをやめました。逆ギレされるのも残念ですし、言っても伝わりませんし。


オルテガ・イ・ガセットの名著「大衆の反逆」にはこんな一節があります。

(引用開始)
誰かを甘やかすというのは、彼の欲望になんの制限も加えないこと、自分にはいっさいのことが許されており、なんの義務も課せられていないという印象を彼に与えることである。こうした条件のもとで育った人間は、自己自身の限界を経験したことがない。外部からのいっさいの圧力や他人との衝突のすべてから守られてきたために、そうした人間は、ついには、自分だけが存在していると思い込むようになり、自分以外の者の存在を考慮しない習慣、特にいかなる人間をも自分に優る者とはみなさない習慣がついてしまう。自分よりも優れた人間がいるという感じを彼に実感させうるのは、彼よりも強い人間が、彼に欲望の一つを放棄するように強制し、分を守り控え目にするように義務づけることができた場合だけである。
(引用終了)(オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」pp.80-81)

スポーツや音楽、バレエや将棋などをするのが良いのは、負けや失敗があるからです。特に音楽や将棋、バレエなどは特に自分の責任でしかありえないような環境に追い込まれます(スポーツもほぼ同様です。個人はもちろんチームスポーツでも当然ながら言い訳しようのない自分の責任を痛感することはあります)。

そうすると「自己自身の限界を経験」することが可能になります。

将棋道場などで、負けて静かに悔し涙を流す子供がいます。自分に対する怒りと情けなさで、頭がぐるぐるしている子がいます。「負けました」の言葉が出ずに、茫然自失になっている子がいます。

壁にぶつかり、自分に怒り、自分の訓練と思慮の足り無さに悔しく思うことが大事です。

そのときはじめて人は「自分を超える存在」に畏怖することを少し覚えるからです。少なくともぼんやりと「自分の限界」に気付き、その限界があまりに近くにあることに気付き、そしてその限界を少しでも押し広げるべく死ぬほど努力することを覚えます。

その逆が甘やかされた子どもです。

外部からのいっさいの圧力や他人との衝突のすべてから守られてきた」としたら最悪ということです。親として子供に良い環境を与えたいと思ったら、千尋の谷に突き落とすことです。

少しは謙虚になったところで、「彼よりも強い人間が、彼に欲望の一つを放棄するように強制し、分を守り控え目にするように義務づける」ことが重要です。それが親の役割です。


しかし、それでも生命なり魂が圧倒的なビジョンに触れて、それを達成したい、なぜか自分はそちら側の人間であると思ってしまうときに、ゴールという概念が成立し、Want toという概念が成立します。


自分を間違って猛烈に過大評価し、やりたくない嫌なことなど一切やらなくてよいというような薄っぺらな理解をエフィカシーとHave toにまつわる定義だと思っている人は、社会と宇宙から「躾に一番効く」ものを処方されると思います(されればむしろ幸いだと思います。されずに人生が終わることもあります)。


というわけで、自己に苛烈にガシガシ学んでいきましょう!!!
(そういえば今月末はブート・キャンプですw)



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ちなみに訓練の様子はこちら。


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