怒涛の気功講座ならぬ、怒涛の動画配信が続いております。
今回は寺子屋「錯視・サブリミナル」です。
人間の認知のカラクリを視覚システムと脳のシステムから切り込み、錯視を通じてシステムのエラーを現前化させつつ、現代的なサブリミナルに切り込みます。楽しんで復習してください!
基本的にはブライアン・キー博士のメディア・レイプをとりあげました。
とりあげましたが、この著書自体はもちろん少し古く、現代のサブリミナルの一つ前の世代と言えます。キー博士のような形できちんとまとめている人はいないので(僕が知るかぎりは)、現代の錯視研究をつなげながら、現代的なサブリミナルに切り込みました。
錯視というのはかなり古くから知られていましたが、錯視芸術がいまのように花開くのはCG以降と言えます。手書きの時代から、コンピュータで描けるようになって一気に可能性が広がりました。
錯視とは何か?
錯視を通じて、我々は視覚システムのバグを知ることができます。
視覚というのは、自らを無謬と信じて疑わない支配階級(?)のようなものです(まあ、そんな支配階級はお伽話にしか存在しないでしょうが)。
錯視と錯覚の何が違うかと言えば、錯覚は正しい在り方を知れば、認識が修正されます。
錯視は正しい在り方を知っても、修正ができません。これが錯視の本質です。
「頭では分かっているのに」という言い方がありますが、錯視というのはまさにそうです。知識としては知っているのですが、感覚がいつものように盛大に我々を裏切ります。
![]()
*ご承知のとおり、この2つの小さな正方形は同じ色です。とは言え、実際に印刷して、切り貼りしてもなお信じることができません(僕は画面上でやりました)。
同じ色が、周りによって全く異なって見える。まさに、環境によって性格が変わって見えるメタファーとして用いたくなりますw
感覚は我々をいつも裏切ります(^^)
直線と言われても直線には見えません。
![]()
*本当にカフェの壁紙だったそうです。カフェウォール錯視w
同じく同心円ですが、同心円には見えません。
![]()
*同心円と言われても、なぞっても頭は受け入れません。
そうすると昔ながらの百聞は一見にしかずとか、Seeing is believing.という言葉を再考を迫られます。見たままを信じてはまずいことを錯視芸術は教えてくれます。
というか、まあ認知科学の洗礼を受けた我々はブリーフシステムが何を見るかを決めることを知っています。信念体系と言っても良いですし、知識が目の前の何を見るかを決めます。
![]()
キー博士の著書では印象的な図版が多いですが、これもその一つです。
これは二重の意味がこめられています。
というか、大人が見るとR指定で、子供が見ると牧歌的な絵に見えます。
子供はこの壺に描かれた美しいイルカに夢中になります。
知識がないと見えなくなり、知識があると、それしか見えなくなるのです。知識がスコトーマになるということもこんなささやかな実験で見えてきます。
キー博士の結論は「真理を追求し、客観世界を信じる人がだまされやすいというものでした。引用します。
誰でも客観的現実、永遠の真理を受け入れた瞬間から、抵抗力を失い、操作されやすく、途方もなく搾取されやすい存在になってしまう。そういう人々はもはや、統合された総合的依存的世界に住む、自立した、創造的な、思考する個人であることをやめる。(ブライアン・キー著「メディアレイプ」)
キー博士はアリストテレスがいけない!、と面白いことを言っています。排中律が諸悪の根源と。
(詳しくは著作か、寺子屋のバックナンバーを是非)
量子重ね合わせ的な世界観はスピノザの神を信じるアインシュタインからすると気持ち悪いものでしょうが、そちらのほうがもしかしたら宇宙をよりよく記述し、もしかしたらサブリミナルに引っかからない人を多く創るのかもしれません。
というわけで、リヴァイアサンやAppleや動物行動学やら盛りだくさんでした。
まずはHondaの素晴らしいCMからだまし絵の世界を概観しましょう。脳は騙されるのが大好きです。
*メイキング映像も素晴らしい。
そして、新しい作品として、Appleです。
*ワンショットで撮っているのがすごすぎます。テクノロジー企業がアナログなだまし絵をコンテンツに持ってきたところにAppleの時代精神を感じます。
*こんな床があったら素敵ですね。
動物行動学ではないですが、猫は錯視を認識するのでしょうか。。。。
![]()
します( ー`дー´)キリッ
*ニャンとも不思議ですw
顔はゲシュタルト統合しやすい部位です。顔を見たら、それが不完全であっても不正確であっても、顔だと認識してしまいます。
たとえば顔文字 (^^)
そして懐かしすぎる人面犬や人面樹などがありました。あ、あと人面魚としてのシーマンw
シーマンはともかく、人はどんなものにでも顔を観てしまいます。
これは進化論的に考えれば、生き残るためには必須の機能であったと思います。
というわけで、顔に反応してしまう我々の性質を利用したこんな錯視。
*これはちなみにビデオカメラ越しにしか見えないそうです。最後の方に種明かしがされています。
ただいわゆる凹んだデスマスクは昔から錯視として使われていました。アインシュタインの顔
そして、リヴァイアサン型の錯視芸術です。モザイクアートですね。これもコンピュータの出現によって、コンピュータで作れるようになりました。
![]()
とは言え、手作業の凄みはまだまだ健在です。
作者のサイトにはドラフトや詳細な画像があります。
そして埋め込まれたSex,Violence,などのVitalな情報がサブリミナルを起こすというキー博士の論考を踏まえ(ざっくりとまとめると、我々は広告を見た瞬間にそれを発見するが、すぐに脳の防衛機制が抑圧する。その抑圧が目にしているものの記憶の長期化、すなわち広告効果の持続を産むというものです)、現代のサブリミナルに切り込みます。
現代のサブリミナルは検証可能な物理空間よりも、情報空間にサブリミナルを置いています。
広告技術に関しては圧倒的なAppleのCMを題材にして、寺子屋でが議論しました。
*Misunderstoodというタイトルです。我々はAppleは素晴らしいとMisunderstoodしていたのでしょうかw
というわけで、これも以前に紹介しましたが、我々の脳が怪物を見る仕組みです。
あ、その前に幽霊を見る仕組みとしてはレジュメの女性の鼻をしばらく眺めてから、白い壁を見てください。存在しない美しい女性を壁に観ます。見たこともないのに明確なカラーでw
というわけで、怪物を我々の脳が見ているカラクリにかなり迫っているのではないかというこちらの錯視動画をお楽しみください。高速で脳内情報処理しているときに、怪物が出現するはずですw
認知のカラクリ、視覚システムや脳の癖などについてメタ視点で考えながら、一つ一つのシンプルな錯視を考えると、サブリミナルの仕組みが見えてきます。上手に行動経済学などと組み合わせると人間というStrongAIの構造がよりくっきりしてくるのではないでしょうか?
楽しんで復習してください!!
![]()
*というわけで、寺子屋で一歩先ゆく知性を鍛えていきましょう!!
メディア・レイプ/リブロポート
![]()
¥2,700
Amazon.co.jp
今回は寺子屋「錯視・サブリミナル」です。
人間の認知のカラクリを視覚システムと脳のシステムから切り込み、錯視を通じてシステムのエラーを現前化させつつ、現代的なサブリミナルに切り込みます。楽しんで復習してください!
基本的にはブライアン・キー博士のメディア・レイプをとりあげました。
とりあげましたが、この著書自体はもちろん少し古く、現代のサブリミナルの一つ前の世代と言えます。キー博士のような形できちんとまとめている人はいないので(僕が知るかぎりは)、現代の錯視研究をつなげながら、現代的なサブリミナルに切り込みました。
錯視というのはかなり古くから知られていましたが、錯視芸術がいまのように花開くのはCG以降と言えます。手書きの時代から、コンピュータで描けるようになって一気に可能性が広がりました。
錯視とは何か?
錯視を通じて、我々は視覚システムのバグを知ることができます。
視覚というのは、自らを無謬と信じて疑わない支配階級(?)のようなものです(まあ、そんな支配階級はお伽話にしか存在しないでしょうが)。
錯視と錯覚の何が違うかと言えば、錯覚は正しい在り方を知れば、認識が修正されます。
錯視は正しい在り方を知っても、修正ができません。これが錯視の本質です。
「頭では分かっているのに」という言い方がありますが、錯視というのはまさにそうです。知識としては知っているのですが、感覚がいつものように盛大に我々を裏切ります。

*ご承知のとおり、この2つの小さな正方形は同じ色です。とは言え、実際に印刷して、切り貼りしてもなお信じることができません(僕は画面上でやりました)。
同じ色が、周りによって全く異なって見える。まさに、環境によって性格が変わって見えるメタファーとして用いたくなりますw
感覚は我々をいつも裏切ります(^^)
直線と言われても直線には見えません。

*本当にカフェの壁紙だったそうです。カフェウォール錯視w
同じく同心円ですが、同心円には見えません。

*同心円と言われても、なぞっても頭は受け入れません。
そうすると昔ながらの百聞は一見にしかずとか、Seeing is believing.という言葉を再考を迫られます。見たままを信じてはまずいことを錯視芸術は教えてくれます。
というか、まあ認知科学の洗礼を受けた我々はブリーフシステムが何を見るかを決めることを知っています。信念体系と言っても良いですし、知識が目の前の何を見るかを決めます。

キー博士の著書では印象的な図版が多いですが、これもその一つです。
これは二重の意味がこめられています。
というか、大人が見るとR指定で、子供が見ると牧歌的な絵に見えます。
子供はこの壺に描かれた美しいイルカに夢中になります。
知識がないと見えなくなり、知識があると、それしか見えなくなるのです。知識がスコトーマになるということもこんなささやかな実験で見えてきます。
キー博士の結論は「真理を追求し、客観世界を信じる人がだまされやすいというものでした。引用します。
誰でも客観的現実、永遠の真理を受け入れた瞬間から、抵抗力を失い、操作されやすく、途方もなく搾取されやすい存在になってしまう。そういう人々はもはや、統合された総合的依存的世界に住む、自立した、創造的な、思考する個人であることをやめる。(ブライアン・キー著「メディアレイプ」)
キー博士はアリストテレスがいけない!、と面白いことを言っています。排中律が諸悪の根源と。
(詳しくは著作か、寺子屋のバックナンバーを是非)
量子重ね合わせ的な世界観はスピノザの神を信じるアインシュタインからすると気持ち悪いものでしょうが、そちらのほうがもしかしたら宇宙をよりよく記述し、もしかしたらサブリミナルに引っかからない人を多く創るのかもしれません。
というわけで、リヴァイアサンやAppleや動物行動学やら盛りだくさんでした。
まずはHondaの素晴らしいCMからだまし絵の世界を概観しましょう。脳は騙されるのが大好きです。
*メイキング映像も素晴らしい。
そして、新しい作品として、Appleです。
*ワンショットで撮っているのがすごすぎます。テクノロジー企業がアナログなだまし絵をコンテンツに持ってきたところにAppleの時代精神を感じます。
Optical illusion: This floor is completely flat. pic.twitter.com/oVH0n3Ld5a
— SciencePorn (@SciencePorn) 2014, 2月 26
*こんな床があったら素敵ですね。
動物行動学ではないですが、猫は錯視を認識するのでしょうか。。。。

します( ー`дー´)キリッ
*ニャンとも不思議ですw
顔はゲシュタルト統合しやすい部位です。顔を見たら、それが不完全であっても不正確であっても、顔だと認識してしまいます。
たとえば顔文字 (^^)
そして懐かしすぎる人面犬や人面樹などがありました。あ、あと人面魚としてのシーマンw
シーマンはともかく、人はどんなものにでも顔を観てしまいます。
これは進化論的に考えれば、生き残るためには必須の機能であったと思います。
というわけで、顔に反応してしまう我々の性質を利用したこんな錯視。
*これはちなみにビデオカメラ越しにしか見えないそうです。最後の方に種明かしがされています。
ただいわゆる凹んだデスマスクは昔から錯視として使われていました。アインシュタインの顔
そして、リヴァイアサン型の錯視芸術です。モザイクアートですね。これもコンピュータの出現によって、コンピュータで作れるようになりました。

とは言え、手作業の凄みはまだまだ健在です。
ジブリキャラで宮崎駿監督♪ pic.twitter.com/nSIqPLQYbj
— ジブリまとめ (@ghibli_bot__) 2013, 12月 23
作者のサイトにはドラフトや詳細な画像があります。
そして埋め込まれたSex,Violence,などのVitalな情報がサブリミナルを起こすというキー博士の論考を踏まえ(ざっくりとまとめると、我々は広告を見た瞬間にそれを発見するが、すぐに脳の防衛機制が抑圧する。その抑圧が目にしているものの記憶の長期化、すなわち広告効果の持続を産むというものです)、現代のサブリミナルに切り込みます。
現代のサブリミナルは検証可能な物理空間よりも、情報空間にサブリミナルを置いています。
広告技術に関しては圧倒的なAppleのCMを題材にして、寺子屋でが議論しました。
*Misunderstoodというタイトルです。我々はAppleは素晴らしいとMisunderstoodしていたのでしょうかw
というわけで、これも以前に紹介しましたが、我々の脳が怪物を見る仕組みです。
あ、その前に幽霊を見る仕組みとしてはレジュメの女性の鼻をしばらく眺めてから、白い壁を見てください。存在しない美しい女性を壁に観ます。見たこともないのに明確なカラーでw
というわけで、怪物を我々の脳が見ているカラクリにかなり迫っているのではないかというこちらの錯視動画をお楽しみください。高速で脳内情報処理しているときに、怪物が出現するはずですw
認知のカラクリ、視覚システムや脳の癖などについてメタ視点で考えながら、一つ一つのシンプルな錯視を考えると、サブリミナルの仕組みが見えてきます。上手に行動経済学などと組み合わせると人間というStrongAIの構造がよりくっきりしてくるのではないでしょうか?
楽しんで復習してください!!

*というわけで、寺子屋で一歩先ゆく知性を鍛えていきましょう!!
メディア・レイプ/リブロポート

¥2,700
Amazon.co.jp