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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」 〜パガニーニとニュートン〜

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映画「パガニーニ」を見てきました。
天才的なヴァイオリニストの生涯を描いた作品です。
渋谷で二ヶ月公開していましたが(現在終了)、近郊ではしばらく上映しているようです。

同じく天才を描いた作品といえば、アマデウスがありますね。こちらは何度見たかわかりません。
全世界のモーツアルト像を決定的に変えてしまった映画なのではないかとさえ思います。

このパガニーニも音楽映画として傑作だと思います。




天才つながりで言えば、天才と言われたニュートンにこんな逸話があります。



ニュートンは自分の研究結果を公表することにひどく臆病でした。臆病というのが正確な言い方かはわかりませんですが、少なくとも公開することに積極的ではありませんでした。たとえば、ハーレーの助言と支援がなければ、プリンキピアは日の目を見ることはなかったでしょう。
そっくりな天才にガウスがいます。彼もまた公開を嫌い、後世の人間が発見し、理解することを望みました。

明らかに自分の抽象度が高いことが分かっており、そして周囲の人間がそれを理解しないことがわかっているとき、人は次の世代に希望を託すのだと思います。この諦観はしかし実に重要な事だと思います。

それはさておきニュートンの逸話です。

ベルヌーイというこれまた数学史上に燦然と輝く高名な人間が懸賞問題として新聞に出した数学の問題を、ニュートンは一晩で解いてしまい、そして匿名で投稿します。新聞に数学の懸賞問題が出るというのも優雅な時代ですね。
その出題者であるベルヌーイが匿名の回答を一目見て、それをニュートンからのものであると見抜きます。そして、「獅子はその爪で分かる」と言ったのは有名です。
ちなみに、このヨハン・ベルヌーイの弟子がオイラーです。

「獅子はその爪で分かる」とは言われてみたいセリフですね。

余談が長くなりましたが、パガニーニを見ていたら、まだに「獅子はその爪で分かる」と言いたくなりました。現代のパガニーニとも言われる主演のデヴィッド・ギャレットが一音奏でただけで、魂を持って行かれます。

芸術とはこのような瞬間のためにあると思います。

5億円とも言われるストラディバリウスの音色も素晴らしいのでしょうが、やはりその音に魂を吹き込むのは人間です。

天才性と性格というのは、ゴシップ好きが好きなテーマです。好色であり、だらしないパガニーニが描かれますが、それは目がよく見えない凡人の妬みでないのでしょう。

パガニーニも浅薄に見れば、練習嫌いな、女好きな、博打の好きな、自制心のないだらしない男です。

しかし、本質は違います。


デヴィッド・ギャレットがインタビューで答えているように、天賦の才能というのは(そう見えるなにものかは)、節制と訓練の賜物なのです。




もちろん「節制と訓練」が天賦の才能を発揮させるのではなく、天賦の才能の写像が「節制と訓練」であるということは理解されて良いと思います。この逆転現象を看破したのがフレーム問題です。まずは情報ありきです。


「本気を出せば、結果を出せる」「おれはまだ本気を出していないだけ」「これならできる」と思えるうちは幸いなのです。若いのです。そのような勘違いがエンジンとなり、我々を遠くへ運んでくれます。そのときようやく圧倒的な才能や圧倒的な壁にぶつかります。

そのときは赤い彗星・シャア・アズナブルのようにつぶやきましょう。過ちは重要です。若さゆえの傲慢で突っ走ることで、自身の限界にぶち当たり、自分が何者でもないことに気づき、自分には可能性も、将来性も、才能もないことに気付けば良いのです(明らかに言いすぎですが)。



とことん気付いて、軽く何度も絶望したあとに、それでもなおやりたいと思えることを人生の主軸にすえ、あとはどうでもいいと流せば、その人は自分の人生と才能に忠実に生きたと言えるのではないかと思います。死と税金以外は相変わらず不確定な世界です。ささやかな才能、ささやかな将来性、ささやかな努力など、吹けば飛ぶのです。

そうであれば、早い時期に吹き飛びましょう。全力を尽くし、本気を出し、一瞬一瞬命を燃焼させ、そしてふっとばされる経験をさっさと済ませることです。それを何度も何度も。

自分は何者でもないということに深く気付けたあとに、何者(somebody)になる可能性が拓けます。



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