「飛ぶ」というとエリカ・ジョングの「飛ぶのが怖い(Fear of Flying)」を思い起こします。
70年代のベストセラーです。
精神分析家の世界ってこんな感じなのかなと思いながら子供のころ読んだ記憶があります。文体に惹かれます。読みなおしてみると隔世の感があるのではないでしょうか。フェミニズムも、性の解放も、状況が違いすぎます。
40年後の我々がいまの私たちのIT革命の浮かれようと困惑を冷ややかに見るのと似ているでしょう。
精神科医としてはいろいろな解釈がありますが、飛ぶのが怖いのは本能的なものでしょう。未来への恐怖も、飛ぶことの恐怖やそれに伴う落ちることへの恐怖と共に刻印されています(落下の恐怖というのは本能的ではなく、後天的な学習であることは知られていますが。まあここではほぼ本能的なものとして議論します)。
しかし未来は確実に来ますし、過去は確実に二度と繰り返さないので(記憶の中で以外は)、確実なほうにBETしたほうが確実だと思います。
すなわち予言された未来をたえず先取りするということです。
昨日紹介したCMの映像ですが、まさに映画であり、近未来的であり、SFです。しかしこれはすでに存在している未来です。ですから、これはすでに過去として、もうすでに起きていることとして自分の身体に入れることかと思います。それが先取りするということです。
メイキング映像も面白いですが、TEDレクチャーでも紹介されていた以下の研究室での映像はもっと舞台裏が見ることができて、より楽しいです。
ただこれだけを見るといくらバラ色の未来を描かれてもちょっと不気味な感じがあります。あたかも鳥や昆虫のようです(自律した編隊飛行のアルゴリズムは基本的に同じものですし)。この動画に萌えるのは理系ヲタだけなのかもしれません(僕は比較的そちら側ですが)。
ですので、社会に受け入れられるには、Artにしていくことかと思います。その萌芽がこちら。
人は虫は嫌いでもホタルは好きです。幻想的なホタルの群れには感動します。
ホタルとして認識され、社会に受け容れられたら演奏する可愛らしい小人たちの印象として、より意識ある存在として受け容れられるようにするのかもしれません。これはTEDレクチャーのために即興でつくられたアルゴリズムであり、完全な自律した演奏だそうです。TEDレクチャーの最後で紹介されています。
というかその意味ではTEDレクチャーは開発者本人の顔が見えて、きっちりサマライズしてくれるので、非常に効率が良いと言えます。上記の動画もレクチャーの中で次々に紹介されます。その意味で栄養価が高いです。
この中でたとえば、地図を自律的に作成していく様などは感動的です。
僕はもう20年ほど前になりますが、利根川進博士の講演会を聞いたときのことを思い出しました。
ラットの脳内をモニターしながら、ラットに迷路を解かせるという実験です。ラットが試行錯誤し右往左往しながら、次々と迷路の地図を頭の中に構築していく様が時間経過と共にモニターで見ることができます。これはまさにこの自律型Miniヘリコプターがやっているのと同じです。自律的にリアルタイムで迷路を作る様は12分50秒あたりで見れます。これは災害救助などでも役に立ちます。実際にテストレベルですが、震災後の仙台でも活躍しているそうです。
昨日はAmazonが5年以内に実現したいというヘリコプターを使ったサービスを紹介しました。
この流れは自動改札機や、セルフレジや自動走行と同じで、流れを止めることは難しいと思います(止める必要もないですし)。急激すぎれば社会は混乱するでしょうが、徐々に変えれば良いことです。携帯電話が普及し、スマートフォンが普及し、その前で言えば、そろばんが計算機となり、大型コンピュータとなり、スパコンとなり、パソコンになったようなものです。かつてのスパコン以上のものを我々は手の中におさめています。
同様のサービスはドミノ・ピザでも考えられていて、DomiCopterというそうです。
ストリートビューを撮影する車や手押し車たち(アマゾンの奥地ではランドクルーザーでも厳しいので)もこのMiniヘリコプターになるのかもしれません。当初、SUVだったのが現在は普通の乗用車で済んでいるのはコンピュータの小型化によるものだそうです。(リンクはhttp://www.google.co.jp/help/maps/streetview/technology/cars-trikes.html)
というわけでささやかな未来を手の中におさめるために、こんなのをアマゾンでこっそり買ってみました。
【アマゾン紹介】
赤外線ヘリコプター NANO-FALCON ナノファルコン/シー・シー・ピー
¥4,704
Amazon.co.jp
3.5ch ナノコプター(ブラック)/ピーナッツクラブ
¥価格不明
Amazon.co.jp
アマゾンで探すといろいろと出てきます。
【書籍紹介】
僕は1976年版の表紙が好きです。こちらで読んだということもあるのでしょうが。
飛ぶのが怖い (1976年) (新潮文庫)/新潮社
¥462
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飛ぶのが怖い (河出文庫)/河出書房新社
¥1,260
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「飛ぶのが怖い」のであれば、一足先に飛んでみる 〜未来を手の中に〜
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