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Channel: 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ
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来年の寺子屋のラインナップも豪華です!クリプキ、ファインマン、そして脳科学も!!

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先日の「やさしいブラックホールの熱力学」を終えて、メンバーのレベルが非常に上がっているという感触を得ました。


面白いもので基本的なことや初歩的なことに躓くのですが、難解なことや高度なことには理解が進むというタイプの人がいます。
すなわちウサギタイプの人は亀とは競ってはいけないのです。ウサギはむしろチーターたちと争わせるべきです。
「まといのば」のメンバーは亀ではなく、ウサギであり、チーターだと考えます。先へ先へ進む中で超初歩的な内容も包摂されます。長足の進歩をする中で超初歩的な基礎中の基礎も勝手に学びます。
ウサギは亀の真似をして基本的なことをコツコツ学ぼうとうすると、おかしくなります。もちろんコツコツが良いタイプの亀タイプの方は多くいるのでしょうし、その学び方を否定するつもりはありません(僕自身はどちらからと言えば自分はカメのほうだと認識していますし)。ただウサギはウサギの学び方があり、亀には亀の学び方があります。どちらが良いとか悪いとかではなく、単にそれぞれの傾向があり、その対策があります。


*僕は人参は苦手です。

寺子屋は当初は中学・高校のいわば義務教育過程(高校は法的には義務教育ではありませんが、実質的には大学まで義務教育とみなして良いと考えます)のコンテンツをきちんと理解することが目的でした。しかし、最近の寺子屋はファインマンをやったり、ホーキングをやったり、クリプキをやったりとその範囲をはるかに超えているように見えます(ラテン語やギリシャ神話もやりましたね)。実際に偏微分方程式でシュレディンガー方程式を導出したり(これは寺子屋ではなくスクールでしたが)、オイラーの公式の導出もやっています。ただ見た目はたしかに高度な(と言っても学部レベルの)感じがしますが、依然として中学・高校レベルを出ていません。

いまの寺子屋は「中学・高校レベルでは全然ない!」と思う方は試しに中学3年生の理科の教科書を読んでみるといいです。そこには物理があり、化学があり、生物があります(地学もですが)。ニュートン力学も、エネルギー保存則も遺伝もあります。細胞について学び、光合成について学び、化学反応も電気もきちんと学びます。僕自身も現在中学生たちに教科書レベルの内容を加速学習させていて驚くことがあります。光学の授業を寺子屋でしたあと、ほとんど同じ内容を試験対策講座で行ったりします。
いやいやもっと言えば小学生が解く中学受験の算数や理科、社会、国語なども驚くべきものがあります。以前、「算数」と称した整数論の寺子屋で、中学受験の整数論を用いた入試問題を出そうかと思ったことがあります。整数論の絶好の教材はそんなところにあります(難解なのでやめましたが)。それよりは補講でやったリーマンゼータ関数の導入のほうが易しいのです。

ですので、実際は依然として中学・高校の初等教育のレベルを寺子屋は出ていません。ですので、安心して大人になるための教養としてガシガシ学んでいただければと思います。

「こんな難しいことを知っている大人は周りにいない」と思うかもしれませんが、それは僕らの目が節穴なだけです。能ある鷹は爪を隠すものです。
もう1年、2年経って、周りを見回し、そして自分のかつての姿を思い出すと、なんであれほどモノを知らなかったのだろうと赤面すると思います(僕も日々赤面しっぱなしです)。そして知れば知るほど、自分の無知の領域が広がります。知識が増えるというのは無知の自覚が深くなるということです。1しか知らないときは、無知の大海が10ですが、10を知ると無知の大海が1000にも1万にもなります。1のときよりは10倍知っているのですが、自分が知らないことが広大にあることを痛感するようになります。それは素晴らしいことです。
知らないことを知る(自分が知らないということが分かる)というのは素晴らしい体験ですし、学んでその知らないことが理解できるというのも素晴らしい体験です。そこに生きる喜びはあると思います。世界が拓(ひら)けていく体験をどんどんしてください!

というわけで、来年も寺子屋は豪華に進めていきます。

1月から3月のラインナップをざっくりと決めました。事前学習の参考にしてください。

まずはクリプキ様からスタートです。前回は主著「名指しと必然性」をめぐって、様相論理の完全性定理とそれに関連して様相論理の意味論である可能世界論を考えました。今回は引き続き「ウィトゲンシュタインのパラドックス」に迫ります。クワス算やGlue、Breenという奇妙な懐疑主義者の「ああ言えばこう言う」という態度にどれほどの意味があるのかに迫ります。受講後はおそらくはその「奇妙な懐疑主義者」に自分がなっていることに気付くと思います(そしてそれこそが正しいことを確信するかと)。というわけで、1月第1講座は「クリプキの『ウィトゲンシュタインのパラドックス』」。おそらくウィトゲンシュタイン自体には触れないつもりですが、できれば少し言及したいです。ちなみにこのクリプキの「ウィトゲンシュタインのパラドックス」とウィトゲンシュタインはほとんど関係がありません。もちろんウィトゲンシュタインの言葉を解釈するというところからスタートしていますが、ウィトゲンシュタインの理解にはほとんど役に立たないと僕は考えます。言うなれば本歌取りの感覚と近いのではないでしょうか(もしくはDJのリミックス)、テキストとして捉え、
それを加工することで何か新しいものを創りだすという感じです。ただウィトゲンシュタインは僕の若いころのヒーローですので、わずかでも言及したいという気はしていますが。
前回に続きこの2講座でクリプキについてはがっちりと身体に落とし込めると思います。あとは繰り返し著作を読んで腑に落とすことです。


*さわやかなクリプキ様。

この調子で全部書いていくと長くなりすぎるので、短めに紹介します!

第2講座は「ファインマンの量子電磁気学」です。
これは僕がファインマンが好きということもありますし、電磁気学をマクスウェルやファラデーでいまさらやりたくないということもあります(波動とか電磁気学って好きな人いるんでしょうか?)。
ファインマンさんでやるとかなり楽しいのではないかな~と思っています。

2月は「はじめての脳科学」、そして「ハイゼンベルクの不確定性原理」です。

「はじめての脳科学」は包括的な内容にしたいと思っています。この10年ほどで圧倒的に進化した脳科学をざっくりと見たいと思います。もちろん古典となったリベットの「自由意志はない」や受動意識仮説などもチラッと触れます。脳についての新しい手触りを得た上で、チューリングの「機械は思考するのか」を読むとその先見性に驚かされます。我々がいかに古い「脳」の見方に囚われているかに気付き、新しく見方にヴァージョンアップできる講座としたいと思います。

「ハイゼンベルクの不確定性原理」はまさに量子論の根幹をなすものであり、最重要と言えます。「観測」の意味を再定義し、物理学というかつての客観世界の王国をバラバラに解体したのがこの不確定性原理でした。その歴史的な意味とその正しい解釈を論文ベースにシンプルに理解しつつ、小澤の不等式についても言及します。小澤の不等式によって、ある意味で不確定性原理は完成しました(理論は随分前に出ていましたが、実証に多少の時間がかかりました。アインシュタインとエディントンの関係のようなものですね)。そのインパクトと意味も考えていきたいと思います。量子論の意味不明な世界観を手触りを持ってなんとか理解しようとするのに不確定性原理は絶好の教材だと思います。

3月の寺子屋は久々の数学復活ということで「数学の風景」と「はじめてのリーマン幾何学(仮)」です。
「数学の風景」は数学世界の全貌を一覧するという試みです。かなり楽しいと思います。数学音痴や数嫌いが治癒すると思います。
強いて言えば「天才のリレー」の数学版のような感じです。数学に対する根深い誤解を取り除き、「数学ができる」や「数学がわかる」ということを理解し直したいと思います。実際に数学がどのような歴史をたどり、どう進化してきたか、そのドタバタぶりを眺めることで、数学に対する印象を変えて欲しいと考えています。来年中に「フェルマーの大定理(最終定理)」「ポアンカレ予想」などの論文も寺子屋で読みたいと本気で考えていますので(無謀ですが、ゴールはいつも現状の外に)、その大きな布石になると思います。もう「数学嫌い」を卒業しましょう。数学もしょせん学問の1つでしかありません。学校でやっていた数学は計算でしかなく、実際の数学とは似ても似つかないものです(とあえて言います)。

「はじめてのリーマン幾何学」は数学というよりは、まさにGeometry(幾何学)ということを再定義して楽しく、リーマン幾何学の世界を遊びたいと考えています。代数学ではなく幾何学ということがポイントです。この数百年は代数学が席巻したと僕は考えています。その図形的な意味、幾何学的な意味が分からなくてもともかくゴリゴリ計算すれば答が出る。その答を解釈すればいいという立場は有効ですが、時として息がつまります。逆に幾何学で図形的に考えることで直感的な理解が進み、そのことが代数学的な処理の助けになることがあります。もちろん幾何学だけですと、天才的なひらめきが必要である事が多く、それはそれで息がつまります。ですので幾何学と代数学のいいとこ取りが理想です。もちろん。実際にそうやって数学は発展してきました。

かなり楽しいと思います。

実際に少しだけ「ブラックホールの熱力学」の講座中にリーマン幾何学の導入をしました。
そもそもGeometry(幾何学)というのは、古代ギリシャ語で「地球の測量」を意味します(ちなみに漢文では「いくばくぞ(幾何)」ですね。「どれくらい?」ということですね。どちらも長さや量をはかるというニュアンスで共通しています)。
Geoが地球をあらわし、metryがmeasureです。それでGeo-metryです。
というわけで、Wikipediaを引きますと、
Geometry (Ancient Greek: γεωμετρία; geo- "earth", -metron "measurement")

とあります。
で、もし地球を測量していたら、必然的に非ユークリッド幾何学になります。地球はたしかに十分に大きいので、地表面はほぼ平らです。そこに三角形を書くと内角の和は180度になります。
しかし、少し視野を大きくして、同じように地面に三角形を書いてみます。
まず一つ目の頂点を北極にそこから直角に2本直線(経線)を伸ばします。そして赤道を底辺とします。赤道と経線の為す角はいつも90度ですので、北極の頂点が90度、底角も90度ずつで、内角の和は270度になります。これが非ユークリッド幾何学の正三角形の1つです。

地球の測量という意味で幾何学を考えると、直線の定義も少し変わります(拡張されるというべきか)。
ユークリッドは「二つの異なる点を与えれば、それを通る直線は一つに決まる」と言います。これを別な角度から見て、二つの異なる点を結ぶ最短距離と定義します。Geo-metryにおいても同じように考えると、東京とNYを結ぶ直線はメルカトル図法の直線ではありません(正距方位図法なら直線でしょうが)。いわゆる大円という中心を通る円周が直線となります(直線=異なる2点を通る最短距離)。この大円はいわば測地線です。測地線というのは局所的な最短距離のことです。測地線の概念が入れば、一般相対性理論において、物体の慣性運動とは測地線に沿っていることが見えてきます。

経線は定義上すべて大円です。輪切りの緯線はすべて(赤道を除く)大円ではありません。赤道だけが中心を通る円です。そして北極と南極は経度で考えると特異点になります。「北極の経度は何度?」と聞いてみると分かります。

ちなみに未来の数学の授業はおそらくは非ユークリッド幾何学やトポロジーから始まると僕は思います。具体的にはリーマン幾何学を最初にざっくりと学び、リーマン幾何学における曲率が0の例(インスタンス)としてユークリッド幾何学を学ぶという順番ではないかと思います。そのほうが合理的で早いと思います。で、我々もそう学ぼうというのがこの講座の考え方です。

という感じで楽しくリーマン幾何学を題材にざっくりとゲシュタルトを創っていきたいと思います。ゲシュタルトさえあれば学習は加速します。賽の河原積みはハードで虚しいのですが、建造中の大伽藍のために運ぶ石ならば同じ作業でも楽しくできます。

来年も張り切って寺子屋で学んでいきましょう!!



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